皆さんは朝永理人さんをご存知でしょうか。
第18回『このミステリーがすごい!』大賞・優秀賞を受賞し、今作にてデビューした、弱冠29歳の今を引っ張っていきそうなミステリ小説家です。
若さゆえのフレッシュでライトノベルのような読みやすさと新人とは思えない技巧的な本格ミステリが見事に融合した作品、『幽霊たちの不在証明』。
今回は朝永ワールドにしっかりのめり込んでもらおうと思います。
それでは小説の口コミやあらすじを存分にご紹介していきます!
朝永理人『幽霊たちの不在証明』あらすじ
羊毛高校文化祭。そんな文化祭の楽しい時間は突然終わりを告げる。
二日目の午後、二年二組の出し物であったお化け屋敷内で、首を吊っている幽霊のコスプレをしていたクラス委員・旭川明日葉が絞殺死体となって発見されてしまった。
彼女に想いを寄せていた「僕」である主人公閑寺尚は彼女の死にかなりのショックを受ける。
しかし尚は好きだった人の仇を討つべく、真犯人を暴くべく、クラスメイトである甲森瑠璃子とともに調査に乗り出した!
幽霊役であったはずの明日菜はいつ本物の死体になったのか。
分レベルの時刻アリバイトリックに文化祭という本来浮かれるはずの非日常の空間、さらにお化け屋敷という特殊な環境下が読者をミステリの渦に巻き込む!
解決編に入る前に登場する、探偵からの『読者への挑戦状』。ここで解決できたらすっきりするのだが、そうはいかない。
読んだあなたは必ず分刻みのアリバイトリックに騙され続けてしまう!
高校生たちの奮闘と青春、そしてそれと相反する本格的なロジックを基に解決していく難事件が異色ながらうまく溶け込む話題作。
殺人事件さえなければ恋愛小説にも思えるような環境下なのにも関わらず、起こった内容はあまりにも悲しくグロい。
そしてその真実を知った瞬間のすっきり感はたまらないものとなっているでしょう。
ちょっと変人な甲森とどこか高校生らしい主人公の織りなすストーリーは読みごたえバッチリです。
朝永理人『幽霊たちの不在証明』の口コミ・読者の感想

ではここで、この作品を実際に読んだ方の口コミや感想をいくつかご紹介していきましょう。
『ミステリーでありながら、友情や恋愛も描いていて、とても気持ちがワクワクしました。
もし、彼らと同じ年代に戻れたら一緒に解決したくなるような、そんなストーリー展開でした。
それでいて、推理はかなり本格的でハラハラドキドキもできました』
『どちらかというとライトノベルのようなドタバタなノリがあって、少し読む層を選ぶ部分がありますが、
そのノリが動問題ないと思う方なら十分楽しめる作品だと思います。
殺人の機にちょっと理解できない部分もありましたが、
物語の構成がちょっと特殊でパズルを組み立てるかのようにストーリーが進み
後に伏線が回収されたときにそういうことだったかと思う驚きもあります』
『かなりライトな読み口で、ミステリ初心者でも読みやすい作品となっています。
青春の1ページのように進んでいくのに、本格的なミステリとしてどんどんと事件が明るみになっていく姿は見事でした。
賞を受賞するにふさわしい作品だと思います』
『分刻みの”時間当て”からのフーダニット。時間をしっかり整理して読んでいたはずなのに、主人公と同じミスリードにハマってしまい、あえなく断念。後から読んだら伏線がしっかり書き込まれていたのに、本当に残念です。
しかし、読みやすい書き方なのに見事な本格的ミステリだったため、読み終わった後のすっきり感は最近では味わったことの無いものでした!』
どの口コミも評判はかなり良く、ミスリードや分刻みのアリバイに舌を巻く人が多発しました。
私も解決した!と思ったら騙されてしまったので少し悔しさが残りました。
青春の中に潜むミステリにゾクゾクしてほしい、初心者でも楽しめる作品

この作品は作者が若いこともあり、疾走感とライト感がある素晴らしいものだと思いました。
重厚なミステリもいいですが、その合間にサクッと読みたい方には大変おすすめです。
文化祭のわくわく感、お化け屋敷のゾクゾク感がこのミステリを綺麗に彩ってくれており、読んだ私たちを不思議な世界にいざなってくれます。
犯行動機などに注目してミステリを読む方には物足りない部分もありますが、時間のアリバイやロジックをパズルのように組み立てるタイプのストーリーが好きな方は絶対にハマります!
ホワイニットからフーダニットに移行する流れがかなり秀逸なこれからを引っ張っていきそうな朝永先生。
この作品に続編を期待する声もありますし、違ったテイストも読んでみたい!これからも朝永先生を私も追っていきたいと思います。
学園ミステリではあまり見かけない本当の殺人事件と重篤なトリックに脱帽したい方、自身も学生の方にお勧めの今作品。
ライトノベル調なところもあり、少し若い世代向けかもしれません。
それでもしっかりと作りこまれた世界観を是非堪能してみてください。