可愛いジャケットの本の中身は奇抜で不思議な世界観。
大澤先生の特徴であり、特長でもある存在感は、今作も健在です。
今回する作品は『Y田A子に世界は難しい』ですが、タイトルからして何かの犯人や仮名のような不思議な世界観を表しています。
この作品をカテゴライズするにあたって、「SF」なのか「ファンタジー」なのか「コメディ」なのか非常に悩みます。
その位どの作品とも違うオリジナリティあふれる設定と世界観なのです。
そんな中、筆者である私は「青春物語」であると断定しストーリー解説を勧めていきたいと思います。
私たちが大人になるにつれて忘れてしまった、甘酸っぱくもどこか涙の味がするあの感覚を取り戻せるセラピー的要素のある作品です。
今回はこの不思議なストーリーを紹介しながら、大澤イズムについても詳しく解説していきたいと思います。
大澤 めぐみ『Y田A子に世界は難しい』のあらすじ
主人公の名前は和井田瑛子。見た目はごく普通の高校生女子。
しかし、彼女は他の人と決定的に違う特徴があった。
実は、彼女は女子高生に扮しているが、その正体は自我を宿したAI内蔵人型ロボットなのだ!
ふとしたきっかけから女子高生に紛れて生活しているのだが、普通ではない彼女の生活はどうしても普通ではなくなっていく。
ロボットがアルバイトをしたら。ロボットが部活動に勤しんだら。ロボットがクラスメイトと友情を育もうとしたら。
人間としてごく当たり前な行動が、AIロボットには難しく、失敗も数多く経験する。その失敗がロボット自体を成長させていく。
ロボット独自の感覚と、AIロボットであるという前提だからこそ味わえる良い意味でヘンテコで面白い青春小説です。
しっかりと設定が作りこまれているので矛盾もなく、最初から最後まで面白くまとめられています。
この本の主人公はロボットでしたが、人間にも当てはまる部分が非常に多く、社会の溶け込み方や、団体行動の方法など、基礎的な部分を改めて教えてもらえます。
最初はヘンテコな設定に戸惑うかもしれませんが、読み終わるころにはいとおしく感じる感動青春物語を是非読んでみてください。
大澤 めぐみ『Y田A子に世界は難しい』の口コミ【読者の感想】
それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。
[jin-iconbox06]表紙がとてもかわいくて思わず買ってしまいました。内容は、青春小説風であり、学生時代を思い出しながら話に引き込まれて行きました。
人型ロボットの少女が次第に人間とかかわっていき、心のようなものがどんどん生まれていく過程にとても感動しました。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]主人公の和井田瑛子は、自我を宿したAI内蔵人型ロボットという少し突拍子もない設定。
ロボットがゆえの思考や言動が少しずつ人間に近づいていく様子が愛おしくなるような描き方をしていて感動的な気持ちになります。
文体は独特で作品の文量は多いですがスラスラ読み進められた作品でした。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]女子高生口調なのに、実はロボットというのが印象的といいますか他の小説では味わえない発想だと思います。
ロボットというのは、プログラミングされて指示された事だけをやれば良いのですが、明確な目的を付与されないで AIが現実世界と関わって行く事で、成長する姿が非常に興味深かったです。[/jin-iconbox06]
[jin-iconbox06]大澤先生あるあるのトンデモ設定ですが、やっぱり面白い!
他ではない設定で最初は戸惑いましたが、今ではこの設定の奇抜さに虜になっています。
ロボットとAIという今話題のものをうまく組み合わせながらSFのようなファンタジーのような独特な世界観を表現されています。
短編というわけではないのに、感動しながらどんどんと進んでいく展開が気になりすぎて一気読みしてしまいました。[/jin-iconbox06]
どの方も大澤先生の設定や物語の奇抜さに対して次第に夢中になっていくという様子がありました。
大澤先生の作品で『彼女は死んでも治らない』という作品もありますが、こちらの作品の感想でも大澤先生の設定の面白さを語っている読者が非常に多く、これが大澤イズムなのだと感じられずにはいられません。
突飛な主人公を通して感じる私たちの在り方
本作ではロボットである主人公の奮闘記というあらすじでしたが、大澤先生の作品ではその他にも何度死んでも生き返る美少女の話など、普通ではありえないSFチックな登場人物が目立ちます。
可愛い本を見てジャケ買い(見た目だけで購入すること)をした人からしたら衝撃的な内容過ぎて最初はついて行けないという読者も多くいます。
しかし、気付けばそのストーリーに感動し没入しているのです。
例えば、何度死んでも生き返る場合、命の大切さを考えさせられる部分がありますし、ロボットが人間世界のなかで奮闘している場合、私たちが当たり前だと思っている行動がロボットには理解できない、AIでは不自然に思える(非合理的であったり、無駄に思えたり)ことが描かれています。
突飛な登場人物から気付けば自分たちの世界線を思い起こし、普通であることにホッとしたり普段の生活や考え方を考えさせられます。
普通の生活とは違うからこそ、普通の生活や考えの尊さや、近づいていく努力に対する感動が浮き彫りになります。
このような感覚に目覚めた時、読者はすでに大澤イズムにどっぷりとはまり込んでいるのです。
ただのハチャメチャストーリーだと思ってあまり期待していなかった読者が気付けば心揺さぶられ、涙を流すもしくは大笑いする等、琴線に触れて良い経験をします。
読み終わった後の爽快感や、「あー楽しかった」という感覚をいとおしく思えてしまうマジックがここにはあるのかもしれません。
大澤先生の本はどれも不思議な切り口から私たちの生活を見ている新しいカテゴライズのストーリーとなっています。
読みやすい文章でどんどんと入り込んでいけますので、ぜひ一度読んでみてください!

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