山口雅也(やまぐち まさや)さんのミステリー小説ってすごく特殊なんですよ。
今回選んだ4作品に「普通の」ミステリはありません。
死者が蘇る世界が舞台だったり、変な日本が舞台だったり、初めて読んだ時は「え?!」って思っちゃう世界観のものばかりなんです。
でも、そんな特殊な舞台設定の中でもしっかり「本格ミステリー」している所が面白いんです。
これぞ山口ワールドです。ぜひご堪能くださいませ。
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1.『生ける屍の死』
山口雅也さんといえばコレ!という方も多いでしょう。
アメリカの田舎町で死人が蘇る、というゾンビ映画のような舞台での殺人事件を描きます。
この特殊な世界観でのミステリーってどうなの?って思うじゃないですか。それが実はちゃんと本格ミステリしてるんですよね。
この設定だからこそできる驚きというか、逆にこの設定じゃなければなりたたないわけで。一応しっかりルールも守られていますし。
「どんな風になるのかなー?」と疑問に思ってしまったなら最後。一読の価値ありです。
山口雅也さんのおすすめ、というよりミステリー小説としてのおすすめ。
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで甦った。この怪現象の中、霊園経営者一族の上に殺人者の魔手が伸びる。死んだ筈の人間が生き還ってくる状況下で展開される殺人劇の必然性とは何なのか。
2.『13人目の探偵士』
これもまた名作。実に面白い構成なのです。
なんと、作品に登場する3人の探偵士の誰に依頼をするかでストーリーが変わってくる、というゲームブック風ミステリー作品なんです。
というのも、元々ゲームブックだったのを小説にした作品らしいですね。
遊び心があって楽しく読めますし、ミステリ好きを楽しませてくれる謎も盛りだくさん。ちゃんとミステリしてるんです。着地も見事なり。
奇妙な童謡を模して、探偵ばかり狙う殺人鬼・猫。残忍かつ狡猾な見立て殺人は、13人目の犠牲者に向け研ぎ澄まされていった。密室で発見された探偵皇の死体、血文字の伝言と記憶喪失の男、そして消えた凶器。
3.『日本殺人事件』
外国人が抱く「間違ったイメージの日本」を舞台にした珍しいミステリー短編集。
正確にいうと、日本をあまり知らない外国人作家が日本を舞台にしたミステリー小説を書き、それを山口雅也さんが翻訳した、という奇抜な設定。
どうですかコレ。めっちゃ楽しそうでしょう?
もうむちゃくちゃ。いつの日本だよ!ってツッコミたくなります。
でもね、中身はちゃんと本格してるんですよ。すごいですよねえ、この発想。
人生を一からやり直すため、長年憧れ続けた日本へ赴いた私立探偵トウキョー・サム。そこは、伝統と現代が奇妙に交錯し、神とホトケ、そしてサムライ・スピリットがいまなお息づく神秘の国であった。
4.『キッド・ピストルズの冒涜』
山口雅也さんを代表する「キッド・ピストルズシリーズ」の第一弾。
ミステリの王道「マザーグース」をテーマとしたミステリー短編集です。
舞台となる世界も、起こる事件も、登場人物も奇抜。しかし一見ふざけているようで、トリックもストーリー構成も伏線回収も抜かりない!実に山口雅也さんらしい。
どれも安定して面白いですが、中でも『曲がった犯罪』は傑作と呼べる出来栄えですね。一度読んでいただければこの凄さがわかります。
キャラも個性的で読んでいて楽しい作品ですので、ぜひお気軽に。
パンク族の陰鬱なミネルヴァ神とも言うべきキッド・ピストルズと悪戯好きのニンフ、ピンク・ベラドンナが関わった四つの事件記録をまとめた第一短編集。
おわりに
というわけで、山口雅也さんの作品でまず読んでほしい!という作品はこんな感じですね。
どれも特殊な設定で山口さんらしさが存分に堪能できます。
この中のどれから読めばいいかわからないという方は、まずは『キッド・ピストルズの冒涜』からどうぞ!
それでは最後までありがとうございました。良い読書ライフを(* >ω<)=3
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