『誰の死体?』-ドロシー・L・セイヤーズ「ピーター卿シリーズ」の順番とオススメなど

ドロシー・L・セイヤーズといえば「クリスティと並ぶミステリ女王」として有名なお方。

特に代表作である《ピーター卿シリーズ》がとっっっても面白いんです。もう海外ミステリを読むなら必読ってくらいに。

「クリスティとどっちが好き?」と聞かれても「そんなの選べないよ!」としか言えないくらい好きなシリーズなんですよ。

一度読んでいただければその面白さがわかっていただけるでしょう。

今回はシリーズ一作目『誰の死体?』を簡単にご紹介。その他シリーズ作品の読む順番やオススメなども参考にしていただければと思います。

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『誰の死体?』

貴族探偵ピーター・ウィムジイ卿の初登場作品。

あらすじはとっても簡単。

ピーター卿の知り合いである建築家・シップスが住む家の浴槽から、「眼鏡だけをかけた素っ裸の男の死体」が発見されるという始まりです。

それを聞いたピーター郷はワクワクを抑えきれず、聞くや否やシップスの家にすっ飛んでいくわけです。

死体にまつわる複数の謎

さて、浴室に「眼鏡だけをかけた裸の死体」が突然現れるという魅力的な始まり。

それだけでも十分に不可解ですが、調べてみると死体にはさらに多くの謎があることがわかります。

 

①死体は服を着ておらず、高価な金縁のメガネだけをかけた状態だった。

②手にタコがあり、両足もマメだらけだった。まるで長時間歩いたようだ。

③メガネは老眼鏡で、2回ほど修理に出した跡があった。

④爪を噛む癖があり、爪が短くなっていた。指までかじった跡があった。

⑤高価な金縁のメガネをかけているのに、歯をみると虫歯だらけ(お金があるならまず歯を治すのでは?)。

⑥髪の毛には香水、手にはマニキュア、とお洒落に気を使っているのに、耳掃除をした痕跡がない。

⑦身だしなみに気を使っているはずのその体は、全身にノミに食われた跡があった。

⑧マニキュアを塗ってお洒落にしているのに、足の爪は何年も切った様子がなく汚れで真っ黒だった。

⑨土砂降りの中に窓から入ってきたであろうこの死体は、髪に一筋の乱れもなく、髭も剃りたてであり、口の中にもシャボンの泡と毛がこびりついていた。つまり死んだ後に、何者かに剃られたことになる。

 

この数々です。

なんてワクワクするのでしょう!!!

そしてテンションが上がってしまうピーター郷。

僕たちが相手にしているのは犯罪者ーー第一級の犯罪者ーー想像力のある本物の芸術家ーー完成された本物の芸術なんだ。嬉しくなってきたよ、パーカー

P.48より

 

さらに捜査をしてみると、サー・ルーベン・レヴィという金融界の名士が失踪していたことが判明しました。

これも不可解なことが多くあり、

1.寝巻きに着替えてベットに入った様子はあるが、朝になったらいなかった。

2.普段着ている服も靴も、時計も財布も部屋に置いたままだった。

3.そして何より、極度の近眼だったのにもかかわらずメガネも部屋に置いたままいなくなっていた。

というのです。

つまりサー・ルーベン・レヴィは誰にも何も言わず、何も持たず身につけず家から出ていったということです。

なんと奇妙な。

 

それなら「浴室で見つかった死体はサー・ルーベン・レヴィではないか」という考えにいたるの普通ですが、浴室で見つかった死体とサー・ルーベン・レヴィは別人だということがわかります。

 

じゃあ、あの死体は誰なのか?

 

ワクワクするでしょ?

まさにタイトル通り『誰の死体?(Whose Body?)』ってわけです。

でもですね、真相が明かされた時の「衝撃度」的なものは実は控えめなんですよ。

それなのに面白いんです。読んでいて楽しいんです。

驚きを求めるのではなく、魅力的な謎に彩られた物語をピーター郷と一緒に楽しむ、というような作品です。

一度読んでいただくと、その「読みやすさ」と「楽しさ」に驚くことでしょう。

ピーター郷のキャラクターの良さもこのシリーズの魅力。一度読んだら「ピーター郷の活躍をもっと見たい!」って思わせてくれるんですから。

 

読む順番とオススメ度

やはり一作目から順番に読むのがベターですが、一作目を最初に読んでおけばあとはどれを読んでも楽しめるでしょう。

1.『誰の死体?』★★★★★(最初に読むべし)
2.『雲なす証言 (創元推理文庫)』★★★
3.『不自然な死 (創元推理文庫)』★★★★★
4.『ベローナ・クラブの不愉快な事件 (創元推理文庫)』★★★★
5.『毒を食らわば (創元推理文庫)』★★★
6.『五匹の赤い鰊 (創元推理文庫)』★★★
7.『死体をどうぞ (創元推理文庫)』★★★★★
8.『殺人は広告する (創元推理文庫)』★★★
9.『ナイン・テイラーズ (創元推理文庫)』★★★★★(《乱歩の10選》にも選ばれた傑作)
10.『学寮祭の夜 (創元推理文庫)』★★★★★+★(個人的な最高傑作)
11.『忙しい蜜月旅行 (ハヤカワ文庫)』★★★★★(最後に読むべし)

まあ結局、全部オススメなんですけどね。

ピーター郷ものは本当に「読んでいて楽しい」ので。

面白い海外ミステリー小説が読みたい、という方はぜひ一読を。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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