9月中に読んだ面白かった新刊の中で、
伊坂幸太郎さんの『ホワイトラビット』
塩田武士さんの『騙し絵の牙』
三津田信三さんの『忌物堂鬼談』
の記事を書けずに放置してしまっていたので、一気にまとめて書いちゃおうと思います(*´∀`*)
伊坂幸太郎『ホワイトラビット』
伊坂さんの新刊。
単刀直入に言いまして、面白すぎてビックリしました。
なんというか、初期の頃の伊坂作品をパワーアップさせた感じの、あの頃の伊坂さんが好きなら絶対に読んでみてほしい作品でした。
伊坂さんの作品をあまり読んだことがない方でも、十分に楽しめます。とりあえず、いろんな伊坂作品に登場する「黒澤」という泥棒が今回も活躍する、という知識だけあれば大丈夫です。
仙台の住宅街で起きた人質立てこもり事件、通称「白兎事件」を、いろんな人物の視点から見て、最終的に絡み合っていく、という伊坂さんらしい物語。
いまさら言うまでもないですが、話の展開のさせ方が天才的にお上手ですね。
物語が進むにつれて少しづつ「白兎事件」の全貌が明らかになっていくわけですが、「え、そういう展開!?」「うわー、やられた!」と叫んでしまいました。
散らされまくった伏線をシュルシュルと収束させていく終盤のスピード感、からのどんでん返しの炸裂。完全に騙されました。この感覚も、初期の伊坂作品を思わせるものがありました。
エンターテイメントとサスペンスが混じり合う、伊坂作品の中でも傑作の一つでしょう。文句なしに、オススメです。
ストーリー★★★★★
読みやすさ★★★★★
ミステリ度★★★
おすすめ度★★★★★
やられた!★★★★★
塩田武士『騙し絵の牙』
「グリコ森永事件」をテーマとした『罪の声』でおなじみの塩田武士さんの新作。
帯に書かれた〈最後は”大泉洋”に騙される!〉という言葉が気になりすぎて、つい買ってしまいました。
雑誌編集長を勤める「速水」が、出版業界の厳しい現実に揉まれながら生き抜いていく物語。
で、この「速水」という人物を大泉洋さんが演じている、という程で書かれた作品です。大泉洋さんを当て書きして書かれた小説、ということですね。
もうね、頭の中で大泉洋さんが動く動く。脳内で完全に映像化されてました。ドラマを見ているようで。特にセリフの言い回しとか完全に大泉洋さんで、常に大泉洋さんの声で脳内再生されてましたよ。
そして「大泉洋に騙される!」に関しては、「はあーなるほどー!そういうことかー!」という感じです。さすがに面白いですね。
出版業界の事情や問題もリアルに書かれていて、本や小説、雑誌が好きな方なら特に楽しめるんじゃないでしょうか。本をもっと大切にしたくなります。
それにしても、この大泉洋さんはカッコよすぎるかな!笑
ストーリー★★★★★
読みやすさ★★★★★
ミステリ度★★
おすすめ度★★★★
やられた!★★★★
三津田信三『忌物堂鬼談』
三津田信三さんの新シリーズと言われれば、読まないわけにはいかないでしょうよ。
所有しているだけで祟られてしまうような〈忌物(いぶつ)〉について語られていく連作短編集。
何かに怯える中学生・由羽希は助けを求めて遺仏寺を訪れ、そこで住職の天山天空(イケメン坊主!)と出会う。
助けてもらうためにその寺に通うことになった由羽希は、訪れるたびに天山天空から忌物にまつわる怪異譚を聞かされることになる。
イケメン坊主と少女という組み合わせのおかげか、ホラーなのに結構楽しく読めましたね。
最初の方は王道の怪談話なので、特に第二夜『後ろ立ち』は三津田さんらしさ溢れる怪談で嬉しく思っていたら、第四夜の『霊吸い』がまさかの超スプラッターでドン引きしました(褒め言葉)。
笑ってしまうくらいにグロい。描写が凄まじいというか、細かいところまで丁寧に書きすぎです。三津田さんのこんなスプラッター、珍しいのではないですかね。
しかもこの『霊吸い』、話を聞きながら〈なにが忌物なのか?〉を当てるミステリー要素もあって面白かった。
とりあえず、これからどんな〈忌物〉のお話が聞けるか楽しみなので、シリーズを追いかけていきます。
ストーリー★★★★
読みやすさ★★★★★
ミステリ度★★
おすすめ度★★★★
ホラー度★★★★
おわりに
というわけで、9月に読んだ面白かった新刊の中で、まだ記事にしていなかった3冊まとめてのご紹介でしたー。
ぜひ参考にしていただければ幸いです(*´ω`)ノ
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