出版社勤めをしていた山本安雄は、推理小説家になることを夢見て退職します。
その後推理小説を執筆して新人賞に応募しますが、一次予選で落ちてしまいました。
後に同作を書き直し、今度は自信を持って新人賞に応募しようと試みますが、しかしひょんなことからせっかく書き上げた原稿が盗まれてしまいます。
一方、その盗んだ原稿を読んだ永島一郎は自身の作品として発表するために、作者である山本安雄の殺害を計画しますが、そこには大きな間違いがありました。
盗作された作品は作者である山本安雄の手元に戻ってくるのか、永島一郎は自身の犯罪を完璧なものにできるのかなど、登場人物のさまざまな勘違いから物語は複雑になっていき、物語は意外な結末を迎えます。
タイトルの通り「倒錯」した登場人物たちが見せる狂気的とも言えるラストは必見です。
折原一『倒錯のロンド』
さまざまなトリックを駆使した贅沢な作品です。
作品のどの部分から触れてもネタバレになりそうで、他の人にこの作品をどうおすすめすれば良いかわからないと悩んでしまう方も多いでしょう。
「こう来るか!」という展開が次々に待ち受けており、ラストまでドキドキしたまま一気に読むことができます。
ミステリー小説をこれまでたくさん読んできたという方はトリックを見破れるかもしれませんが、それでもさらに次の謎が待っているので飽きることもありません。
ミステリー小説の中では禁じ手とされるような、読者を騙すギリギリのラインの描写、設定もあります。
それを見破れるか、それに騙されても読んでいて気持ちいいと思えるかどうかで、この作品に対する評価は大きく分かれるでしょう。
どんでん返しが多く、現状をしっかり把握しながら読まなければ混乱してしまいます。
長編に分類されるほどの長さの小説なので、登場人物の行動などをメモしながら読み進めた方が良いかもしれません。
読後も、「自分は本当にこの作品の謎をすべて解くことができたのだろうか?まだ騙されているのではないだろうか?」と思う方も多いでしょう。
謎解き部分がわからなくても、登場人物たちの勘違いやトリッキーな行動、心理描写を重視した物語はユニークで、楽しみながら読み進められます。
最初から騙されるのを覚悟して読んでみるのもいいかもしれません。
作者の折原一氏は叙述トリックの天才とも呼ばれる人物です。
現在まで叙述トリックが登場する多くの作品を発表していますが、その中でもかなり初期に発表された今作「倒錯のロンド」は折原氏の原点を知る上で非常に重要な作品です。
まだ読んだことがないという方はぜひチェックしてみてください。
完成版が発売されたこの機会にぜひ!
今作は1989年に発表された小説ですが、2021年1月に「完成版」が出版されました。
30年以上前に書かれたとは思えないほどの斬新なトリックは現代のミステリー小説ファンも必見です。
読みやすいサイズになっているので、これまで読んだことがなかった方はぜひチェックしてみてください。
「倒錯のロンド」は、折原氏の倒錯三部作の二作目です。「倒錯の死角」「倒錯のロンド」「倒錯の帰結」といった三作が発表されています。
シリーズものではないのでどの作品から読んでも単品でも楽しむことができます。
三つの作品ではすべて登場人物の勘違いや読者の思い込みなどを生かしたトリックが使われています。三作通して読んでもそれぞれに違った仕掛けがあるので、騙されてしまうことでしょう。
その他にも黒星警部シリーズ、幸福荘シリーズ、~者シリーズなど、折原氏は名作を数多く発表しています。
今作をきっかけに折原氏を知ったという方は他の作品も楽しんでみてください。
いずれの作品でも心地よい叙述トリックを楽しめますが、中でも代表作とされている日本推理作家協会賞の候補作となった「異人たちの館」や翌年の同じ賞を受賞した「沈黙の教室」などもおすすめです。
まだ未読な方はもちろん、もう読んだことがある方も、この機会に『倒錯のロンド』の完成版を読みましょう!(*’▽’*)

コメント
コメント一覧 (2件)
早い! もう読まれましたか!w
倒錯シリーズだとぼくはアングルが1番好きなのですが、今回の完成版ロンド、一体結末がどう変化しているのか それが長年の折原ファンをうならせるものなのか、色んな意味でとても楽しみにしていたわけです(まだ買いに行けれてないんですよ…)
アンチも多いですが、ぼくはグランドマンション、異人達の… などなど、好きすぎて何度読んだことか( ˙-˙ ) が、何度読んでもanpoさんも書かれている通り、全ての伏線や謎を読み取れているかどうかは疑問符なんですよね
それがまた折原一という作家の魅力なのかなと思います ニューロンド楽しみすぎます(▰╹◡╹▰)
もう読んじゃいました!笑
ずっと心待ちにしていたので。
本当、折原一さんの作品は素晴らしいですよね。
私もグランドマンション、異人達は好きです!
ぜひぜひニューロンド楽しんでください!(*゚∀゚*)