待ってましたあああああ!
というわけで、島田荘司さんによる御手洗潔シリーズの最新刊『鳥居の密室: 世界にただひとりのサンタクロース』です。
サブタイトルが「世界にただひとりのサンタクロース」。
鳥居とサンタクロース。いやーこれだけでなんだか密室感がありますねえ……(?)。
帯にはこんなことが書いてありますよ。
厳重な密室に 殺人者とサンタだけが出入りした。
古都で御手洗潔が見出した「奇蹟の道」とは?
殺人者とサンタ、一番同居してほしくないコンビじゃないですか。多分。
さーどうなることやら。
島田荘司『鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース』
鋳物工場を営んでいた社長の突然の失踪。
その社長は早朝の京阪電車に飛び込み、自殺していた。
同じころ、社長の奥さんも何者かによって絞め殺されていた。
奥さんの殺された場所は二階建ての自宅の一階だが、家じゅうの窓も扉も完全に施錠されていた。
鍵は外からでは絶対に開けることのできないタイプの鍵であった、完全な密室殺人ということになる。
だが、二階で寝ていた一人娘は生きていた。ただ不思議なことに、その枕元にはサンタクロースからのプレゼントが置かれていた。
家が貧しいため、これまでサンタからのプレゼントなどなかったのに。
密室に入りこみ、殺人を犯し、プレゼントを置いていったのは誰なのか。
なぜ社長は死ななければならなかったのか。そのころ近辺で発生していたといわれる怪事件とはなんなのか。
そして謎を解く鍵になる猿時計とは?
……プロローグからいきなり怖いです。魑魅魍魎がでてきます。
まあ、舞台が京都なんでね。千年の都なんでね。戦さもたくさんありましたから。
そりゃ、魑魅魍魎もいるのかもしれないですけど、それにしてもいきなりって。
で、その後しばらくおどろおどろしい京都の風景が描かれたかと思うと、いきなり人が死にます。ひえー。
相変わらず御手洗潔の推理力に脱帽
見所 なんといっても、御手洗の推理力。
自然科学の法則を活かしながら謎に迫る姿は読んでいてほれぼれしちゃいます。
頭が良いとかそんなレベルじゃない天才っぷりは最高ですね。
まあ、10代でアメリカ留学して20歳でコロンビア大学の助教授をしていた、っていうだから、そりゃ頭は良いわけなんですが。
自然科学を利用したカラクリって、実は読者にはよくわかんないときもあったりして、「なんだかよくわかんないけどそーなのね」ていう感想になっちゃうものもあったりするけど、この作品ででてくる仕掛けはとってもわかりやすいので安心してください。
たぶんみんなも実験したくなっちゃうかも。
あとは、人間の描写も見どころです。
登場人物がそれぞれいろんな背景を抱えてるんだけど、その描写がとても丁寧でついつい引き込まれちゃう。
うんうん、そうなのね 泣、という場面が満載。
特に大好きだったのはいっちばん最後の弁護士さんのセリフ。人間ってやっぱりいいわあー。本ってやっぱり楽しいわあ、と思わされます。
あーここに載せたい!
載せたいけど、やめときます。
ぜひ本作を手にとってみてください!
最後のシーンが最高でした
中盤は、ある人を詳しく描写することになるんです。
ある人ね。あえて言えないけど。そのシーンがちょっと長いのね。
なんというか、御手洗さんが「分かったぞ!謎が解けた!!」って言ったっきりその後しばらく出てこなくて、謎は?なぞはどうなった?ってやきもきさせられてるところにその人の状況が延々描写されるので、なおさら長く感じちゃうのかも。
でも、それこそが、結局この事件の真相だし、エンディングを100倍楽しめる伏線になってるので、焦らずそのあたりも楽しんでもらえると嬉しいです。
暗い過去を抱えた人たちがいっぱい出てきて、せつないな、って思わされるところも多いんだけど、エンディングは素敵なので、とっても温かい気持ちになります。
この読後感は久々ですね。御手洗潔シリーズ読んでて良かったなあ!って思えるくらい感動しました。
ほんと、この世界の住人の仲間に入りたいくらいだったし、最後のシーンなんか、映像になったら見てみたいなって。
京都を背景にどんな映像に仕上がるんだろう、って思っちゃいました。映像化するなら脇役でいいから出演したい(無理)。
御手洗潔シリーズの中でも「名作」の部類に入った!
さっきも述べましたが、御手洗潔シリーズ読んでて良かった、と心から思える作品でした。
最近の御手洗潔シリーズの中でも特に良かったです。
トリックに関しては確かに大掛かりですが、初期の御手洗潔シリーズほどの破天荒さはなかったかな、という感じ。
その点ちょっと寂しかったですが、人間ドラマに重点をおいた一つの小説として素晴らしかったです。
そうそう、この鳥居は実際にある鳥居らしいですね。
こんな事件が実際に起こったかどうかはわからないけど。
この物語の舞台になっている京都・錦のエリアは何回も通ったことがあるはずなのに、鳥居には全く気付かなかったです。
でも、あの鳥居をモチーフにこんな悲しくて素敵なお話を仕上げることが出来るんだ、と思うとちょっと感動。
ちなみに、装丁とか帯には、完全に施錠、とか、殺されていた、とか、亡霊、時計の怪、とか、怪現象とか、こわそーな文字が躍ってますが、ホラーの要素はないのでご安心を。
いずれも科学で説明をしてくれますので、夜トイレに行けなくなる、ということはございません。
御手洗潔シリーズが好きな方はもちろん、
推理が好きで、人間が大好きで、たまには家族のことも考えてみたいな、と思っているあなたにオススメの一冊です。


コメント
コメント一覧 (6件)
初めまして。去年からこのブログを見ている者です。
私は、島田荘司御大と同郷で、映画が公開された時に書店で島田荘司フェアをやっていて、たまたま手にした「占星術殺人事件」を読み衝撃を受けファンになりました。島荘御大の作品は少ししか読めてないのですが、読む度に衝撃 受けます。anpo39さんの文章が好きです。これからも記事楽しみにしています! 長文、自分語り失礼致しました。
くうりさんはじめまして!
去年から見ていただけているとのことで大変嬉しいです。ありがとうございます!
「占星術殺人事件」、あんなの読んでしまったらファンになってしまいますよねえ。
私も島田先生を好きになったのは「占星術殺人事件」を読んでからです。
ほんと、毎回予想だにしない衝撃と大掛かりなトリックを見せてくれるから病み付きになってしまって。
嬉しいお言葉ありがとうございます!これからも頑張ります!
くうりさんもお身体に気をつけて、良い読書ライフを送ってください!(*´∀`*)
設定の時点でページを開く前から読む手が止まらなくなるのが確信できる気しかしませんw サンタクロース…..?鳥居…..?なんなんだろう
ぼくの中では衝撃度の強さで言えば、御手洗シリーズは初期のものの方が未だに強く、占星術、斜め屋敷、やはりここらへんのがいつまでも忘れられないトラックですが anpoさんがそう綴るからにはそれらに勝るとも劣らない内容なのでしょうねえ彡(^)(^)
舞台が京都のようですが、京都と言えばそろそろ今年?来年?あたりには館シリーズ最終作と言われる10作目も出るとか出ないとか….. やっぱ本格は何年経っても何歳になってもやめられないです 麻薬ですw
こはるさんこんにちは!
いや本当にページをめくる手が止まりませんよ笑
正直な話、トリックに関しては占星術、斜め屋敷あたりの初期の御手洗潔シリーズほどの破天荒さはなかったかな、という感じ。
確かに壮大なんですけどね、御手洗潔シリーズを読んでいるとこのくらいじゃ満足できなくなるから困ります。笑
でも人間ドラマに重点をおいた一つの小説として素晴らしかったです。
え!館シリーズにそんな噂があるのですか!!!
大事件じゃあないですか。
早く読みたいけど、終わってほしくない、微妙な感情です。
館シリーズが終わったら生きる楽しみが一つなくなってしまいますねえ……。
でも早く読みたいです!
特にコアなファン(おそらくanpoさんクラスの方ばかり)のネットの討論なんかでは、今までの刊行年などのスパンから予想したり、色々な情報から2018年後半から2019年あたりではないかと言われています
何の館かっていう論争もあったり….. (ネタバレになるので詳しくは書けませんが)中也の経験が館シリーズに関連する事を考えると、鏡屋敷じゃないか、とか 人魚屋敷じゃないか…..とか ぼくは原点に戻り青屋敷なんかいいなあとか勝手に想像したりw
すいません、話題が本文と逸れてしまいました あと1週間でダリアの日なので大目にみてくださいw(?)
とりあえず次の日曜、書店へ急ぐ予定だけは決まりました 久々の御手洗シリーズ、たっぷり堪能したいと思います彡(^)(^)
そうなんですねえ!
私も次は何館になるか妄想したりしてます笑
いやあ、そろそろですかあ。楽しみで仕方がありませんな!!
ぜひ御手洗を堪能してください彡(^)(^)