「透明人間は密室に潜む」は表題作を含めた短編集となっていますので、ここでは表題になっている短編の一つ「透明人間は密室に潜む」のあらすじについてご紹介していきます。
「透明人間は密室に潜む」の物語は、細胞の変異によって全身が透明になってしまう奇病が蔓延している世界が舞台となります。
主人公はこの奇病にかかっている患者の一人で、自分が透明人間であることを利用して、この病気を研究している研究者の殺害を企てます。
しかし、研究者殺害のための完全犯罪計画を立てますが、予想外の事態が続発して次第に計画が狂っていく…というもの。
透明人間になれば完全犯罪なんて余裕に見えますけど、実際はなかなか上手くいかないんですねえ。
その他、法廷もの、特殊能力持ち探偵、脱出ゲームをテーマにした作品と、趣向の異なる四作を収めた濃厚な一冊になっています。
阿津川辰海著『透明人間は密室に潜む』
「透明人間は密室に潜む」の見どころは、収録されている四つの作品それぞれが本格ミステリーであり、なおかつ独自の設定やシチュエーションを盛り込んだ作品であることです。
例えば先にもご紹介した通り、表題にもなっている「透明人間は密室に潜む」では「透明人間になってしまう病気が蔓延している世界」という独自設定がありますし、他に例を挙げるなら同じく収録作品の一つである「盗聴された殺人」は探偵が超人的な聴力を持っているという設定があります。
透明人間なら簡単に殺人を行えそうだけど意外な不都合があったり、裁判員裁判の裁判員が全員同じアイドルのオタクだったりと、ちょっと変わった設定が面白いですよね。
表題作はもちろんですが、私は『六人の熱狂する日本人』が最高に面白かったです。全体に馬鹿馬鹿しく、でもしっかりとロジカルに推理が描かれていてオチまで見事に決まっているんです。読んでいただきたいなあ。
こうした独自の世界観や設定、シチュエーションを持った作品が四作品も収録されているので、非常に読み応えがあるのが特徴です。文体が軽く読みやすいのも魅力ですね。
著者である阿津川辰海さん自体がこうした特殊設定のある作品を得意としているというのもあって、まさに阿津川節が詰まった本と言ってもいいでしょう!
ただし、独自設定が多い作品というのはその設定を理解するのに労力が必要になるため、苦手な方もいるというのがネックです。
それでも食わず嫌いせず一度読んでみてほしいと思います!

「透明人間は密室に潜む」は短編集ということもあって、一冊で様々な物語を読むことが出来るというのが最大のメリットです。
一つ一つの作品のボリュームはさすがに単独の作品には及びませんが、気軽にスッキリと読み切ることが出来る上、一冊で様々な作品に触れることが出来るので飽きずに読み続けることが出来ます。こうした点は短編集ならではの強味と言えるでしょう!
また、収録されている四つの作品はその一つ一つが趣の異なったものに仕上がっていますが、それぞれ高いクオリティでまとまっているため「駄作だったな…」と残念な気持ちになることもありませんでした。どれを読んでも満足出来る良作ばかりです。
一粒で四度美味しい一冊なので、興味がある方はぜひ購入してみてほしいと思います。
この作品を一言で表現するなら「特殊設定ありの本格ミステリーが好きな方にはたまらない一冊」といった感じです。
奇抜な設定の中でも、トリックはロジカルな本格ミステリーなところも嬉しいですよね。
一つ一つのボリュームこそそれなりなものの、独自設定が盛り込まれた本格ミステリーが四作も堪能出来るのは非常にお得です!
また、一つ一つのボリュームが少ないというのは、裏を返せば一作を気軽に読み切ることが出来るということでもあるので、あながちデメリットでもありません。
それに、どれも本格ミステリーでありながら違った毛色を持つ作品なので、最後まで飽きずに読み進めることが出来ます。
・独自設定がある作品でも苦にならないという方
・本格的なミステリーが読みたいという方
・長い物語を最後まで読むのが苦手な方
こうした方々にはおすすめの一冊ですので、ぜひ手に取ってみてください!
こんばんは。
特殊設定…面白そうですね。
先日阿津川さんの「紅漣館~」を読みましたが、あれも一応特殊設定なのかな?ブッ飛んでましたねー。あれやこれやと詰め込んだ欲張りセットのバカミスばんざーいで。
管理人さんの紹介を聞くと、「紅漣館~」よりこちらの作品の方がわたし好みな感じがします。チェックしておきます。で、いつか読みます。ご紹介ありがとうございます。
手持ち豚さんさんこんばんは!
紅漣館面白いですよね〜
私も紅漣館も好みですが、『透明人間は密室に潜む』もかなり好みです。
ぜひぜひチェックしてみてくださいな(*’▽’*)