『十日間の不思議』- 新訳版が登場!ミステリや探偵の存在自体を考えさせられる濃密な十日間の物語

ミステリの巨匠であり、日本人作家だけでなく世界中の作家が参考にした名作家(2人の共同ペンネームなので名作家「たち」かもしれません)、エラリイクイーン。

今回はその中の『十日間の不思議』をご紹介致します。

1948年に発売されたこの長編推理小説も、長き時を経て今でも色あせない人気を誇っています。

不朽の名作だからこそファンも多く、2021年2月17日に新訳版が発売されました。ちなみにハヤカワ文庫では「エラリイ」と表記するのもポイントです。

今作は大人気シリーズ18作目になりますが、架空の町ライツヴィルを舞台にした作品の第3話になります。

作中でそれよりも前に発売されたライツヴィルシリーズ、「ライト家の騒動」と「フォックス事件」について登場人物が語るシーンがあり、『災厄の町』、『フォックス家の殺人』のネタバレに繋がっています。

そのため、この本を読む前に『災厄の町』、『フォックス家の殺人』を読んでおくことをおすすめします。

エラリイ クイーン『十日間の不思議』のあらすじ

名探偵エラリイの友人である彫刻家ハワードからの懇願が届いた。

その内容は「ぼくを見張ってほしい」というものだった。

ハワードはたびたび謎の記憶喪失に襲われ、その間自分が何をしているのか全く分からなくなるのだ。

そんな彼が最近起こしたことは、気が付くと血まみれで安宿にいたという何とも恐ろしいものだった。

記憶喪失の間に犯罪に関係したのではと不安になり、エラリイに相談するに至った。

自分で自分がわからなくなってしまったことに怯え切っているハワードを助けたい。

そんな思いでエラリイは彼の故郷であるライツヴィルにまた赴くことになった。

しかし、そこでとある秘密を打ち明けられたことから、調べるきっかけからは想像もできなかったような異常な脅迫事件に巻き込まれ、エラリイはその出来事たちに振り回されるのだが・・・。

友人の相談から壮大な迷宮に迷い込んでしまった壮絶なミステリの結末はどうなってしまうのか?

夢遊病や記憶喪失など、自分が自分でなくなるというのはかなり怖い経験です。

しかも、最初はただの記憶喪失のハワードを見張るだけと思いきや、事件の香りがプンプンするという、徐々に徐々にミステリになるお決まりのゾクゾク感からスタートします。

ここからはエラリイワールドにどっぷりハマること請け合いです。

エラリイ クイーン『十日間の不思議』の口コミ【読者の感想】

実際にこの作品を読んだ方の感想や口コミをいくつかご紹介いたします。

読者A

エラリイ・クイーンの苦悩の程が分かる、途轍もなく重厚な作品であり、物語が進行するほど登場人物のライツヴィルの人間模様に深みが出てくる素晴らしい内容でした。
本当に、生きている間に読むことができて良かったと満足しています。
たった10日間の出来事とは思えないぐらい濃厚な内容に、読んでいる内に、自分がまるでライツヴィルの街に迷い込んでしまったかのような錯覚さえ感じました。
ハワードが体験した奇妙な話から始まり、やがて物語はハワードと美しい義理の母との関係へと繋がります。
許されない愛や脅迫、さらには殺人とどんどん謎めいて行くストーリーに、ページを捲る指が止まりませんでした。

読者B

読者C

お人よしのエラリィが、どうしたものか、面倒事に巻き込まれる話。
まあ、面倒事で済ませられれば良かったのであろうが、ことはそんなにやさしいものではなかった。エラリィが最後に行う、犯人に対するアクションが意外でした。
エラリイの悩みとハワードの悩み、そして人間関係・・・さまざまなものが入り乱れて内容が濃く深くなっています。
読み応えばっちりでさすがエラリイクイーンだと思いました。過去作もまた読み返したいと思います。

読者D

エラリイの探偵としての分岐点、必ず読むべき作品

この作品は、探偵エラリイのシリーズの中でもかなり重要な分岐点となっています。

今までのエラリイの実績や積み上げてきたものが、どんどんと崩れていく。「名探偵の苦悩」を描いた作品です。

この作品は、シリーズの中では登場人物が少なく、その分ひとりひとりの描写が丁寧に描かれているところが特徴です。

その分どっぷりと作品に入り込むことができます。ジリジリと忍び寄る心理戦のようなストーリー展開はハラハラドキドキの連発です。

また、このストーリーが小説の中ではたった10日の出来事なのか、と思うくらい濃密です。

9日目からの怒涛の展開や畳みかけていくところはまさに超特急。ジェットコースターのような展開に是非期待していただければと思います。

そして、事件の解決だけでなく、エラリイの探偵としての意義や今後どうしていくのかという部分でも考えさせられるストーリー展開になっています。

エラリイはお人よしが故に巻き込まれていくという展開なのですが、エラリイの在り方を逆手に取ったようにも感じる今回の犯罪は、エラリイにとっても忘れられない経験になったのだと感じます。

この作品から名探偵エラリイは「悩める探偵」へとさらなるチェンジを遂げていくのです。

トリックや内容は今の作品の中ではずば抜けてすごい!と思うものではないと感じる方もいらっしゃると思いますが、作者エラリイの力でとんでもなくすごいもののように、劇的ダイナミックに描かれているところが素晴らしいと感じずにはいられません。

名探偵とは何なのか、推理とは何なのか。様々な思いを胸に是非読んでいただきたい作品です。

読む順番ですが、①『災厄の町』②『フォックス家の殺人』③『十日間の不思議』④『九尾の猫』の順番で読むことをおすすめします。

エラリイ・クイーンの名作『災厄の町』を新訳版で改めて読んだけど、やっぱり面白いね! エラリイ・クイーン『フォックス家の殺人』の新訳版が登場したので改めて読んでみる 『九尾の猫』-中期エラリイ・クイーンを代表する傑作を新訳版で読む。

2 COMMENTS

ShoTime

旧訳版を持っていながらも、新訳版が発売されたので思わず買ってしまいました。
新訳版が出るのが遅すぎるほどの名作。
探偵の頭脳が明晰であるが故に出現したような今回の犯罪、エラリイが苦悩する理由もよくわかります。私なら立ち直れないでしょう(>_<)
私が作者であれば、「エラリイ・クイーンの敗北」とか「名探偵の敗北」のようなタイトルにしてしまうかなと思いました。「十」というのがこの作品のポイントではありますが。
この作品は探偵エラリイシリーズの中だけでなく、「後期クイーン的問題」として他の作品に残した影響も大きいと思います。
本格ミステリーに興味がある人には是非とも読んでほしい作品ですね。

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anpo39

ShoTimeさんこんばんは〜(*’ω’*)
私も新訳版買ってしまいました!やっぱり欲しくなっちゃいますよね〜
確かに、そういうタイトルにしてしまう気持ちわかります!
そうですよね〜この作品は私も重要なものだと思います、本格ミステリ好きにぜひ読んでほしいですね!
私もこれはもっと読まれるべき名作だと思います!

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