さて、今回は先日文庫版が発売された『THE 密室』のあらすじや感想などを。
本屋さんで目立つ場所に平置きされていた為、思いっきり目に入ってしまった「密室」の文字。
表紙のイラストもかっこいいし。
これはつい手に取ってしまいますよね(○´∀`)
見てみるとなんとも贅沢な、密室だらけのアンソロジー7編収録ってことで読まずにはいられません。
しかも!その作家さんは
飛鳥 高(あすか たかし)さん
鮎川 哲也(あゆかわ てつや)さん
泡坂 妻夫(あわさか つまお)さん
折原 一(おりはらいち)さん
陳 舜臣(ちん しゅんしん)さん
山村 正夫(やまむら まさお)さん
山村 美紗(やまむら みさ)さん
というね。
たまらないですよ。
密室好きな方、どうぞご参考にしていただければ幸いです●´З`●)ノ

目次
『THE 密室』
先ほどサラッと述べたように、今作は7人の豪華作家さんたちが描く「密室ミステリー」が7編収められたアンソロジー作品となっております。
早速、それぞれがどんなお話なのかちょっとだけあらすじをご紹介です。
1.飛鳥高「犯罪の場」
大学にある土木工学科の教室で、まさに実験をしている最中に一人の学生が殺された。
学生の後頭部からの出血。近くには錆びた鉄の棒が落ちていた。
この棒を使って背後から一撃・・・という単純なものに思われたが、犯行時刻にその実験室に出入りした人物はいないということが明らかになり、事件は謎に包まれる。
2.鮎川哲也「白い密室」
雪が降り止んだある夜、佐藤キミ子が教授の家を訪れると中から見知らぬ男が出てきた。
彼曰く、自分も今来たところで、中で教授が刺殺されているのを発見したということだ。
警察の調べによると、死亡推定時刻は雪が降り止んだ直後とのこと。
しかし、家の周りに積もった雪には彼ら二人の足跡しか残っていなかった!
つまりは完全な「雪の密室」である。
鮎川哲也さんといえば『リラ荘殺人事件 (角川文庫)』などの本格ものをはじめ、『黒いトランク (創元推理文庫)』などのアリバイトリックを用いたミステリを書かれ有名ですね。
個人的にも好きな作家さんで、この『THE 密室』を購入した理由の一つでもあります。
はい。やっぱり面白かったです。
密室の王道である「雪の足跡」はなぜこんなにワクワクするのでしょうかね(●´ェ`●)

3.泡坂妻夫「球形の楽園」
「さそりの殿様」などと呼ばれる大富豪が、特殊な球形のカプセルの中で殺された。
そのカプセルに扉は一つしかなく、それも被害者自身で閉めたとのこと。
その扉以外には、蟻の入る隙間どころか、空気すら入り込む隙間のない完全な密室。
一体どのような方法で彼は殺されたというのか。
これも面白かったですね。
隙間一つない完全な密室での殺人。言われてみればなるほど!となるのですが、自力では全くわからなかったです。そういうやり方もあるのね(*´∇`)
4.折原一「不透明な密室」
とある建設会社の社長がナイフで刺され死んでいた。
犯行現場はもちろん密室。窓は閉められ、ドアにもチェーンがかかっていた。
一見自殺とも思える状況の中、密室が大好きの警部はこれを自殺に見せかけた殺人と断定。
では一体どうやって犯人は密室殺人を成し遂げたのか。
これまた私の好きな作家さん、「叙述トリックの名手」としてお馴染みの折原一さんです。
『異人たちの館 (講談社文庫)』『倒錯のロンド (講談社文庫)』とか最高に好きです。
今回の「不透明な密室」もユーモアがあってよかったですねえ。まさかの殺害方法でした(∀ `*)

5.陳舜臣「梨の花」
大学の文学史研究所で一人の男性が襲われた。
なんとか一命を取り留めたが、襲われた時激しい閃光が目に入り犯人の顔を見ていないという。
唯一の扉には鍵がかかっており、窓には鉄格子。人間が出入りできる隙間はなかった。
犯人は密室の中どうやって彼を襲ったのか。そして彼の目をくらませた閃光はなんだったのか。
6.山村正夫「降霊術」
降霊術によって、三十八年前に死んだ恋人の霊を呼び出してもらった男。
そんな彼が完全な密室状態の仕事場で殺された。
人間が出入りできないとすれば、彼を殺した犯人は恋人の霊なのか・・・。
7.山村美紗「ストリーカーが死んだ」
若い女性のストリーカーが突然道端に倒れ、「デンワ、デンワボックスニ・・・」と言い残して死んだ。死因は毒殺。
それだけでも謎なのに、この女性の父親と婚約者は事件前に彼女の部屋に電話をし会話していて、そのまま彼女のマンションで女性が出てくるのをずっと見張っていたのだ。
しかし女性はマンションから出てこなかった。そしてこの事件。
彼女は一体どうやってマンションから出て、そしてどうやって殺されたのか。
山村美紗さんといえば二時間サスペンスでお馴染みの大御所作家さん。
正直あまりタイプではないかな、、、なんて思っていたらこれが予想以上に楽しめました。
女性はなぜストリーキングなんてしたのか?
どうやって毒を飲まされたのか?
そして、見張りのついたマンションからどうやって消え失せたのか?
謎に続く謎。うーん面白い。
古き良き密室を堪能!
収録されている作品はどれも書かれた時代が結構昔でして、どことなく香る昭和の雰囲気が素晴らしいんですよ。
でも古臭いって感じではなくて、ミステリとしての味わいがある。「古き良き」ってこのことですね。
また「密室」という一つのテーマながら、その幅の広さに驚かされます。
何一つ同じ密室がない。当たり前ですが。
殺害方法も違うし、密室の状況も違う。
それぞれのお話に、それぞれの密室があるんです。なので飽きることは全くないし毎回楽しめちゃう。
たった一冊で様々なタイプの密室を味わえるというだけでも素晴らしいことだと思いますね(o´ェ`o)
おわりに
というわけで今回は、密室だらけのアンソロジー『THE 密室』をご紹介させていただきました。
いろいろな密室が楽しめるので、密室好きな方はぜひ読んでみてくださいな〜(*´∇`)
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