マイケル・ロボサム『天使の傷』- 少女の秘められた過去と、児童連続殺害事件の関係に迫る!

元警視のウィットモアが、空き地で死体となって発見された。

自殺のように見えたが、臨床心理士のサイラスは「実際は他殺ではないか」と考える。

調べを進めると、ウィットモアがかつて児童連続殺害事件を担当しており、その犯人が逮捕後に獄中で死亡していたことがわかった。

奇妙なのが、彼がホワイトボードに残したメモ。

そこには「エンジェル・フェイス」と書かれていた。「エンジェル・フェイス」は、サイラスが里親となり引き取った少女イーヴィの呼び名だ。

なぜ殺されたであろう元警視が、この呼び名を?

イーヴィは、彼が追っていた児童連続殺害事件と何か関わりがあったのだろうか。

サイラスは一連の事件の関連性を探るためにイーヴィの過去を調べ始めるが、あまりにも凄惨な事実が明らかになり……。

目次

ついに明かされるイーヴィの過去

『天使の傷』は、「サイラス&イーヴィシリーズ」の第二弾です。

二人ともそれぞれに心の傷を背負っており、特にイーヴィの過去は凄絶で、彼女は子供の頃、拷問殺害事件の現場で遺体とともに数ヶ月潜んでいたようです。

体には虐待の痕がありましたが、彼女がその時の出来事を頑なに話さないため、サイラスはもちろん読者にも詳細はわかりませんでした。

それが今作『天使の傷』では、なんと冒頭からいきなり語られます!

流れとしては、当時イーヴィを事件現場で発見した元巡査のサシャから、サイラスが細かな話を聞き出し、そこから色々と見えてくる感じです。

発見時のイーヴィの様子や、イーヴィが潜んでいた隠し部屋のこと、そして事件や遺体の主のこと、etc……。

前作を読んだ方にとっては、どれも気になっていた情報ですから、もう最初の1ページ目から飛びつくように読んでしまいます。

さらに今作では、作中でかつて起こったという幼児連続殺害事件に、イーヴィが関わっていたこともわかってきます。

これがまた興味を引く展開で、事件を捜査していた元警視が自殺に見せかけて殺され、その直前にイーヴィの呼び名を書き残していたという不穏な流れ。

どうやらその奥にはさらに大きな事件が関係している様子で、陰謀めいたものが見え隠れしてきます。

イーヴィの過去には一体どれほどダークな事情が隠されているのか、先が知りたくてたまらなくなるのです。

イーヴィの想いとサシャの登場

物語も魅力的ですが、それ以上にキャラクターがとても魅力的な「サイラス&イーヴィシリーズ」、やはり主役二人が物語をより濃厚に感動的に盛り上げてくれます。

特にイーヴィの気持ちや行動が切なすぎて、胸に迫ります。

イーヴィはその不幸な子供時代ゆえに、どこか幸せを諦め、不幸を受け入れてしまっている感じがあります。

でも心の奥底では求める思いを止められず、ちょっと優しくしてもらえると、その人に過度に入れ込んでしまうのですね。そこが読んでいてなんとも痛々しくて……。

サイラスと出会う前にも、彼女に手を差し伸べた人は何人かいたのですが、彼らとイーヴィとの関わりにはぜひ注目してください。

きっと胸が締め付けられ、イーヴィに対する思い入れがより強くなることと思います。

そしてイーヴィがサイラスにほのかに向けている想いも、注目ポイントのひとつです。

その想いが恋なのか家族愛なのかは微妙なところですが、イーヴィの心の支えになっていることは間違いなく、多くの傷を負った心を癒すには必要なのでしょう。

日常でのふれあいはもちろん、凶悪な事件を追う時でさえ、サイラスと過ごす時間はイーヴィにとって、かけがえのないもの。

ところが今作では、そこに元巡査のサシャが入ってきます。

サシャもこれまた魅力的なキャラクターで、ちょっとクールでつっけんどんなところはありますが、情に厚く思いやりのある女性です。

7~8歳の頃のイーヴィを知る人物でもあり、彼女のことを心から心配して力になろうとし、サイラスと共に児童連続殺害事件に挑みます。

前作ではサイラスとイーヴィがバディを組んでいましたが、今作ではサイラスとサシャのバディが大活躍。

これがサイラスとイーヴィの関係に何をもたらすか、複雑な人間模様からも目が離せません!

今後さらに広がるドラマの予感

イーヴィの辛すぎる過去といい、サシャの登場といい、気になる要素が満載でしたね。

前作同様に上下二巻と長いですが、一気読みさせるパワーがあり、読み始めたら睡眠時間に注意です(笑)

そして物語としては、ここで一応の完結となります。

といっても完全なエンドではなく、第一部完といったところでしょうか。

イーヴィの過去については今作で語られましたが、まだサイラスの過去の事件については細かくは語られていないのです。

とりあえず今作までで出た情報としては、実の兄が父母や妹たちを惨殺し、現在は精神病院にいるらしいということ。

イーヴィの過去に劣らない深刻な内容であり、今後かなりダークで衝撃的なドラマが展開されそうですね!

またイーヴィの過去についても、全てが明るみになったわけではありません。

今回の事件を絡めた大きな陰謀が背後に存在している様子ですので、そこも今後のシリーズで語られていくことになるでしょう。

個人的には、幼少時のイーヴィも気になります。

今作で少しだけ明かされるのですが、イーヴィには不正に〇〇に入ってきた過去があり、ここにも大きなドラマが隠されていそうなのです。

ちなみにシリーズ第三弾は、本国では既に刊行されているそうです。

翻訳されて日本に上陸する日が待たれますね!

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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