今回は、西澤保彦さんの匠千暁シリーズ(タック&タカチシリーズ)の順番をご紹介させていただきます。
結論から言いますと、西澤保彦さんの匠千暁シリーズは時系列順に読むことを強くオススメします。
というのも刊行順と時系列順では少しだけ順序が異なり、刊行順で読むと登場人物たちの人間関係や成長などの時系列がバラバラで「ん?」ってなる事がよくあります。
また、時系列順に読まずにいきなり途中の作品から読むと、「ああ!最初から読めばよかった!」ときっと後悔するはずです。
それだけ作品との繋がりが大事なシリーズなのです。
というわけで、今回は匠千暁シリーズの時系列順をご紹介するよ!
匠千暁シリーズをまだ一作も読んでない!って方はぜひこの順番に読んでみてね(≧ω≦)ノ
1.『彼女が死んだ夜』
時系列的に一作目。匠千暁の最初の事件。
アメリカ旅行の前夜、浜口美緒が帰宅すると部屋に知らない女の死体が!
文章の読みやすさは抜群。二転三転する展開、どんでん返しなども楽しめるシンプルに面白いミステリー作品です。
私はこの作品を読んで匠千暁シリーズにはまりました。
出発前日、親の外出をいいことに同級生が開いた壮行会から深夜帰ると部屋に女の死体が!夜遊びがバレこれで渡米もふいだと焦った彼女は自分に気があるガンタに遺棄を強要する。
2.『麦酒の家の冒険』
タカチたち4人は山の中で迷い、とある山荘にたどり着く。
その山荘には1台のベッドと冷蔵庫しかなく、冷蔵庫の中には96本のビールと13個のジョッキが。
「この状況は一体なにを意味するのか?」をみんなで推理するのです。
青春感が強く、匠千暁シリーズの中でも1位、2位を争うくらい好きな作品。
匠千暁シリーズっていうのは、こんな風に、なんでもない謎にみんなでワイワイ推理合戦するのが良いんですよねえ。
冷蔵庫には、ヱビスのロング缶と凍ったジョッキ。ベットと96本のビール、13個のジョッキという不可解な遺留品の謎を酩酊しながら推理するうち、大事件の可能性に思い至るが…。
3.『仔羊たちの聖夜』
同じ場所で3度も起こった転落死の謎に迫る。
本格の要素を取り入れつつ、単なる青春ミステリーではない「重さ」が良いですね。苦味が残ります。
特に今作は終盤の展開が見事でした。完全に油断してましたので、余計に。
クリスマスイヴの夜、一人の女がマンション最上階から転落死した。偶然、現場に遭遇した匠と高瀬。状況は自殺だが結婚式を控えた彼女に動機はなかった。ならば殺人か?
4.『スコッチ・ゲーム』
時系列的に4作目。タカチの過去の事件がメインの物語です。
タカチの恋人が殺される、という重たい事件ではありますが、伏線回収やトリックは安定して楽しめました。推理力も驚異的でしたね。
途中で「あ、犯人分かっちゃった」って思ったら全く違かったのはいい思い出です。
高校三年の冬、学園の女子寮に戻った高瀬千帆は、ルームメイトで同性の恋人・恵の惨死を知る。容疑者は恵と噂があった教師・惟道。だが彼は「酒の瓶を持って河原へ向かう男を尾行していた」と奇妙なアリバイを主張。
5.『依存』
時系列的に5作目。シリーズ最高傑作とも名高い作品。
前作ではタカチの過去、今回はタックの過去に触れる物語です。
この作品を読むには、前作『スコッチゲーム』を絶対に読んでおかなくてはなりません。
相変わらず重いお話なのですが、あのラストシーンはシリーズファンにとってとても印象に残るものとなるでしょう。
安槻大に通う千暁ら仲間七人は白井教授宅に招かれ、そこで初めて教授が最近、長年連れ添った妻と離婚し、再婚したことを知る。新妻はまだ三十代で若々しく妖しい魅力をたたえていた。
短編集『解体諸因』
刊行順で言えば今作が一番最初の作品。
バラバラ殺人事件ばかりの連作短編集。
やっぱりバラバラ殺人の面白い所は「なぜバラバラにする必要があったのか?」という部分ですよね。
匠千暁シリーズ感は控えめな印象ですが、それぞれの短編がラストで収束する構成は何度読んでも好き。
六つの箱に分けられた男。七つの首が順繰りにすげ替えられた連続殺人。エレベーターで16秒間に解体されたOL。34個に切り刻まれた主婦。トリックのかぎりを尽くした九つのバラバラ殺人事件にニューヒーロー・匠千暁が挑む傑作短編集。
短編集『謎亭論処』
時系列はバラバラですが、特に問題なく読めます。
短い物語ながらキレもあり、ちょっぴりブラックな味付け。
でも「いつもの4人」感が強くて好き。こういう作品を読むと、彼らのことをもっと好きになる。
女子高教師の辺見祐輔は、忘れ物を取りに戻った夜の職員室で、怪しい人影に遭遇した。その直後、採点したばかりの答案用紙と愛車が消失。だが二つとも翌朝までには戻された…。誰が?なぜこんなことを?
短編集『黒の貴婦人』
続いても短編集。
これまでの作品を順番に読んできた方ならニヤニヤできる場面が多数あります。シリーズファンにはもってこいの作品。
もうミステリとかどうでも良くて、ただただキャラクター小説として面白い。みんなの事がもっと好きになります。
四人の女子合宿にただ一人、参加した男子が若者の心の暗部に迫る「スプリット・イメージ」ほか本格ミステリにしてほろ苦い青春小説、珠玉の短編集。
6.『身代わり』
『依存』の後日を描く物語。なので『依存』は絶対に読んでおきましょう。
美人女子高生が自宅で殺された。さらに現場には警察官の遺体もあった。
一方では、女性を襲った大学生が反撃されて死亡した事件が。それぞれ何の関係もないように見える事件だが……。
無関係に見えた二つの事件が高瀬千帆と匠千暁の名推理で交錯するとき、複雑な悪意の糸が解け出す。
7.『悪魔を憐れむ』
タック、タカチ、ウサコたちの大学卒業後エピソードが4編。
謎解きに特化したパズラーものが収められた珠玉のミステリ連作集です。
改めて謎解きの面白さを教えてくれる、西澤保彦さんらしい作品。「シリーズが好きだから」という理由を除いて純粋に面白いミステリです。
それでいて、これまでのシリーズ作品を読みこんでいるファンにとっても最高の一冊。
みんな大人になっていくなあ、と、時の流れをしみじみ感じる。
ミステリの魔術師・西澤保彦の、四つの珠玉ミステリ連作集。
まとめ
というわけで簡単にまとめると、
1.長編『彼女が死んだ夜 (幻冬舎文庫)』
2.長編『麦酒の家の冒険 (講談社文庫)』
3.長編『仔羊たちの聖夜(イヴ) (幻冬舎文庫)』
4.長編『スコッチ・ゲーム (幻冬舎文庫)』
5.長編『依存 (幻冬舎文庫)』
☆短編集『解体諸因 (講談社文庫)』
☆短編集『謎亭論処―匠千暁の事件簿 (祥伝社文庫)』
☆短編集『黒の貴婦人 (幻冬舎文庫)』
6.長編『身代わり (幻冬舎文庫)』
7.長編『悪魔を憐れむ』
という感じです。
ただ細かく言うと、「短編集」は収められているお話がそれぞれ時系列が違っていたりしますので、あらかじめご了承下さい。
以上が「匠千暁(タック&タカチ)シリーズ」の時系列順です。
このシリーズは時系列順に読んだ方がより楽しめるので、ぜひ順番に読んでいただければと思います。
彼らの活躍を心ゆくまでご堪能ください!
それでは、最後までありがとうございました。良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ
コメント
コメント一覧 (2件)
あんぽみくちゃん!ありがとうございます!
身代わりまで長いですが読んでみます!
身代わりまで確かに長いですよね 笑
でも面白いシリーズですのでぜひ読んでみてくださいな!(つ*´∀`)つ