やっぱり夏になると青春ラノベを読みたくなるじゃないですか。
なりますよね?
そうです、なるんです。
そこでぜひおすすめしたいのが、この『スカートのなかのひみつ。』という作品。
タイトルから想像するような変な話ではなくて、とーっても面白くてアツい青春ラノベなんです。
というのも主人公は「女装が趣味」の男の子で……。
これはラノベ好きなら読まなきゃ損!ってことで、さっそくあらすじいってみましょー!
宮入裕昂『スカートのなかのひみつ。』
女装が趣味の天野翔は、GWの街でクラスメイトである八坂幸喜真に出会います。
名は体を表すと言いますが、八坂幸喜真という男はその名前の通り好奇心の塊のような男だったのです。
一方で、天野翔は女装趣味を周りに隠し続けていました。そんな天野翔に八坂幸喜真は「せっかく可愛いのにもったいない」と言い放ちます。
それだけにとどまらず、天野翔に学校へ女装してくるように持ちかけるのでした。
これまで周りに女装趣味を隠し続けてきた天野翔は、「絶対に嫌だ」と言うのですが……というのがひとつの区切りになります。
「スカートのなかのひみつ。」という作品にはもうひとつの視点があって、そこでは広瀬怜という人物が登場します。
この広瀬怜は学校へ向かう途中で、ある女子高生のスカートの中を目撃してしまいます。
そこからは奇妙な日常が始まり……という感じです。
この作品では、彼も彼女もスカートの中に秘密を隠しているのです。
「第24回電撃小説大賞“最終選考作”よりお届けする、怒涛の青春群像劇!!」というだけあって、かなりの勢いのある作品です。
キャラ立ちがしっかりしていて、生き生きしている!
「スカートのなかのひみつ。」という作品の見所としてまず挙げられるのが登場人物のキャラクターです。
作品においてキャラクターって本当に大事ですよね。
この作品はストーリーももちろん面白いのですが、仮にストーリーがイマイチであってもキャラクターでごまかせるというか盛り上げられる部分はあると思うんですよね。
この作品はストーリーもしっかり面白くて、その上でキャラクターがひとりひとり立っているから素晴らしいんです。
キャラクターの名前も凝っていて、名前が凝っているからこそ癖が強すぎるんじゃないかと不安になるんですが、全然そんなことはありません。
いや、むしろ確かに癖は強いんですが、すんなりと受け入れられるんですよね。なぜなのかわからないけど、自然と受け入れてしまうキャラクター……これはやはり作者の腕なのかな?
キャラクター以外だと、伏線とか構成とかそのあたりも見所ですね。この作品は、ふたりの視点で切り替わっていくことになります。
最初のうちは「コロコロ変わるなぁ……」と思ってしまうでしょうが、これによって至るところに伏線が張り巡らされることになるんですよね。
ラストに向けて伏線を根こそぎ回収していくような構成も最高です!
純粋な感想。
「スカートのなかのひみつ。」なんですが、第24回電撃小説大賞の最終選考作なんですよね。
どういうことかというと、賞を取ってないんです。
賞を取ってないのに作品として世に出されるってすごいと思うんですよね。そういったこともあって期待感MAXで読みました。
女装男子が登場するということで癖がすごそうだと思ったんですが、確かにキャラクターの癖が強いものの、それが逆にいい!という感じでしたね。
キャラクターひとりひとりが立っているというかどこかぶっ飛んだ感じなんですが、嫌味な感じもなくすんなりと受け入れてしまうんです。
これは完全な主観なんですが、この作品を読めば八坂幸喜真のことは間違いなく好きになると思いますね。とてもいい男です。
読み始めは視点の切り替わりに慣れない感じがあったんですが、慣れてくると伏線がなんとなくわかるようになります。
ミステリーをよく読む人ならこの伏線がどういう形で生かされてくるのかわかっちゃうかもしれませんね。ただ、それがわかってしまったとしてもこの作品の面白さは変わらないでしょう。
この夏イチオシの青春ラノベ!
第24回電撃小説大賞の最終選考作ということで、賞を取っていないのにも関わらず作品として世に出されたものです。この時点で、期待を持っていいです。
視点が切り替わる系の作品になれていない人にとっては慣れるまでページを要するかもですが、慣れた頃にはすっかりハマりこんでいるはずです。
ミステリーを読み込んでいる人ならトリックに気づくかもしれませんが、仮にそれがわかってしまっても無問題です!
こういう仕掛けのある作品においては騙される楽しさと謎解きをする楽しさのふたつがあると思うんですが、この作品ではどちらでもいけるというかどちらにもなり得るカメレオンのような一面もあります。
どちらにしても、ラストに向けての怒涛の伏線回収は圧巻ですし、かなりの爽快感があります!
ぶっ飛んだ個性派のキャラクターたちも嫌味がなく、愛おしく思えるくらいです。全体的にスピード感のある作品なので、読み終わった後が本当にジェットコースターに乗った後みたいです。
パワフルでセンスもよくて読みやすい……「女装ラノベ」の傑作と言われているだけあって、読んで損はない作品です!

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