物語は、登場人物の一人であるテッドがある美女に出会う所から始まる。
テッドはある日、ヒースロー空港のバーで飛行機の離陸までの時間を潰していると、見知らぬ美女であるリリーに声を掛けられます。
テッドはリリーと話しているうちに、1週間前に妻のミランダが浮気をしているのを知ったことを話す。
リリーはそんなテッドに対して「あなたはこれからどうするの?」と問いかけると、テッドは「妻を殺したい」と漏らしました。
テッドとしては冗談混じりの発言でしたが、リリーは「テッドを裏切り、深く傷つけたミランダは許されない。殺されても当然」と断言し、ミランダの殺害の協力を申し出ます。
二人はミランダの殺人計画を立て、いよいよ計画の実行日が迫ってきますが、そんな時予想外の事件が発生し物語は混迷を極めていく…というお話です。
「そしてミランダを殺す」の見どころは、やはり物語のキーマンとなるリリーの過去や動向にあります。
物語の冒頭から登場する謎の美女リリーですが、その次の章に移ると早速その過去について語られていきます。
そして、あなたはそこで彼女の暗い幼少期や歪んだ倫理観を目の当たりにし、まず本作最初の衝撃を受けることでしょう。
歪んだ倫理観によって「死んでしかるべき人間は殺害する」というリリーの行動にはある種サイコパスのような印象を受け戦慄してしまいました。
そして、それと同時に目が離せなくなって、どんどん先の展開が気になっていってしまうんですよね!
そして、もう一つの見どころはリリーとミランダ、二人の異なるタイプの悪女による頭脳戦です。
ミランダの殺害計画を企てていたテッドは大変なことになり、しかも、リリーは次にその男を唆してミランダの殺害を企てて…という、狩る側と狩られる側が目まぐるしく入れ替わるスピード感ある展開が印象深かったです。
率直な感想としては、まず4人の登場人物それぞれの視点から物語が展開されるというのもあって、場面転換が多いという印象を受けました。
ただし、場面転換は多いですが描写が丁寧なので混乱することなく読み進めることが出来るため、どんどん物語に引き込まれていってしまいます!
また、一人一人の心理描写が非常に細かく書かれているため、各人物に感情移入しやすいというのも特徴の一つのように感じました。
そして、感情移入しやすいからこそ各人物の一挙手一投足にハラハラしてしまいま。
その他、所々で読者の虚を突くような意外性のある展開が多いので、最後まで飽きずに読むことが出来ます。ぜひ手にとってみてほしい一冊ですね!
最後に総評を述べさせていただくと、「終始意外性によって読者を驚かせ続けてくれる作品」という感じでした。
「そしてミランダを殺す」はそのタイトルだけを見ると、ミランダという女性が殺害され、その犯人を追うという物語であるかのように見えます。
しかし実際はミランダという女性が殺害されるまでの過程を登場人物それぞれの視点から追っていくという内容で、結果から過去を追っていくのではなく、登場人物の過去を徐々に明るみにしつつ結果に向かっていくというストーリーでした。
まずこのタイトルの段階で最初の意外性を感じましたね。
そして、先にもご紹介した通り、狩る側と狩られる側が目まぐるしく入れ替わる展開など、読み手の想像をことごとく超えていくストーリーとなっており、中だるみすることなく最後まで飽きずに読み進めることが出来ます。
ミステリー小説として、紛れもなくおすすめ出来る一冊ですので、ぜひ手にとってみてください。
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