白井智之『そして誰も死ななかった』-五人全員が死んだとき、本当の「事件」が始まる

「そして誰も死ななかった」の物語は、五人の推理作家が覆面作家である「天城菖蒲(あまき・あやめ)」に招待され、絶海の孤島にある天城館に集められるところから始まります。

五人は天城館にやって来ますが、肝心の招待主である天城菖蒲の姿は見えません。

しかし、代わりに館の食堂で奇妙な泥人形が並べられているのを見つけます。

その人形は十年前に大量死したミクロネシアの先住民族・奔拇族が儀式に用いたとされる「ザビ人形」というものでした。

館内に不気味で不穏な空気が漂う中、五人の作家達はその全員が、九年前に亡くなったある一人の女性と関わりがあったという共通点を持っていることが判明。

さらに天城館に集められた作家達は皆、次々と奇怪な死を遂げていきます。

そして誰もいなくなったとき、本当の「事件」の幕が開く…というものです。

「そして誰も死ななかった」の見どころは?

「そして誰も死ななかった」の見どころは先のあらすじでもお伝えした通り、「集められた推理作家達全員が死亡した後に本当の事件が幕を開ける」という意外性の高い展開です。

謎の変死を遂げた五人の作家達がどうなるかは、読んでからのお楽しみです。

まるで掟破りとも言える展開なのですが、これが白井作品の魅力ですよね。

それぞれの作家達の推理どれも一定の説得力があり納得してしまいそうになりますが、そこをこれまた説得力のある別の作家の反論によって覆されてしまうというのも見どころです。

読んでいる読者自身も二転三転する推理に振り回されて「一体何が真実なんだろう?」と混乱してしまいます。

そうした混乱を楽しむ作品と言っても過言ではないかもしれませんね!

王道でありつつ変化球でもある

孤島に集められた面々が徐々に一人ずつ殺害されていく…というのはミステリー小説では王道的なパターンですが、本作はそうした王道を思わせる冒頭から一気に変わり種に変化するところが印象的でした。

また、これは人を選ぶかな?と思う点ですが、所謂エロ描写やグロ描写が多いこと。そして独自の設定が盛り込まれているというのも本作の特徴です。

というのも、この本の作者である白井智之さんの作品には高い割合でエロ描写・グロ描写や独自の世界観・設定が盛り込まれています。

物語の序盤を読んでいる時は「珍しく王道的なミステリーなのかな?」と思いましたがそんなことはなく、すぐに白井智之節とも言える展開や世界観が顔を覗かせて来たのである意味安心しました。

少し人を選ぶ面はあると思いますが、張り巡らされた伏線を綺麗に回収する手際などはさすがの一言です!

今まで白井智之さんの作品を読んだことがないという方でも、一度は読んでみてほしい作品ですね(とはいえ、人にはなかなかオススメしにくい……)。

総評としては、一言で言うと変化球!とも言えるミステリー小説だったという印象が強く残りました。

孤島に集められた面々が殺害されるという王道的な展開と思いきや、そして二転三転していく推理に振り回され…と、終始読み手を翻弄するような構成になっていて、「真相は一体何なの!?」と気になってしまい、ついつい読み進めてしまいます。

エロ描写やグロ描写、そして独自の設定によってちょっととっつきにくい部分もある作品ですが、「白井さんの作品はそういうものだ」と割り切って読むことが出来る方にはぜひおすすめしたい一冊です。

あなたもぜひ、「そして誰も死ななかった」を手に取ってみてください。一緒に白井ワールドを堪能しましょう!

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