横関大『スマイルメイカー』-物語は交差し、タクシーは走る。君の笑顔のために。

横関大さんの『スマイルメイカー』、文庫化していたんですね。

自分、この作品とっても好きで、文庫化したら絶対記事にしようと思ってました。

ズバリ、《感動ミステリー》の傑作

ミステリとしても「ワオ!」ってなるし、ストーリーもとても温かくて「読んでよかったなー」って思える、そんな作品なのです。

横関大『スマイルメイカー』

 

個人タクシー「スマイル・タクシー」の運転手である五味はどんな客でも乗せる。そして、タクシーを降りる時には笑顔にすると決めていた。

ある日、いつものように仕事をしている五味のタクシーに、一人の少年が乗ってくる。優と名乗った少年は、訳ありでお金も持っていなかった。

しかし、金は払うと言った優がとった行動に五味は巻き込まれ、優と一緒に逃亡生活を送ることになってしまう。


姿を消した五味の同僚である袴田は運が悪い。この日も仕事先に書類を運ぶマリを乗せて道を急いでいた。

その途中で渋滞に巻き込まれ、極めつけに妊婦さんまで病院に運ぶことになってしまう。マリは何度か降りようとしたが、その度トラブルにあってしまい、最後まで乗車してしまった。

お詫びにと紹介されたお店で、分かれた旦那と再会してしまう。


袴田の紹介した店はタクシー運転手である景子もよく利用する店だった。

その日、婦女暴行で起訴された成岡を乗せることになった景子は、散々な態度をとる男にうんざりしつつ車を走らせていた。

一週間後裁判になるという男は車の中で酒を飲み、好き放題食い散らかす。この男が五味を探していることから、様々なことを聞かれる景子。


タクシー運転手3人と、その乗客3人の物語が複雑に絡まっていく……。

絡みあう複数の物語

この小説の一番の見どころは、ストーリー展開の見事さでしょう。お話とキャラクターが上手く組み合わされています。

タクシー運転手である五味・景子・袴田とその乗客である優・成岡・マリの6人がメインで登場するわけですが、

この6人が非常に個性的で、読んでいて飽きさせないストーリー展開を作っています。

視点がコロコロと変わるお話なので、下手すると話の理解が追いつかない可能性もあるでしょう。

それをキャラクターの個性で上手くカバーしているのが流石としか言いようがありません!

複数のストーリーが途中から複雑に絡み合い、謎解きのように明らかになっていく展開にゾクゾクすること間違いなしです。

キャラクターとストーリーのバランスが非常に上手く取れているところが、何よりの見どころ。

どっちが強すぎても面白くなくなるところを、横関大さんが上手く書ききっています。

何より小説だからこそできる伏線が随所に散りばめられていて、探すと止まらなくなります。

一度読み終わってから、もう一度探したくなるお話の上手さですねえ。

映像化されても面白そうな作品ですが、小説だからこそ楽しめる要素がこれでもか!と詰め込まれています。

こんなタクシーが実在したらいいなあ。

とにかく、私的に大好きな展開のお話だったんですよ。

タクシーとその乗客を巡って、数々の物語が交錯していくって展開は本当に好きで。

最初に登場する五味のスマイル・タクシーは、現実に存在して欲しいなと本気で思いました。

作中でも触れられていますが、タクシーって不思議な存在です。

身知らずの人同士が同じ車に乗って移動することって普通ないですもんね。

五味と優、袴田とマリ、景子と成岡と、タクシーとその乗客の視点で話が進んでいくので、慣れるまで最初は戸惑うかもしれません。

それでも次々と話が絡まっていく面白さは、飽きさせることがない。テンポも良く、あっという間に事件が起こっていくスピーディさはまるで映画を見ているようでした。

ご都合主義に捉えられても仕方ないほど、話が一気に収束していくラストは圧巻の一言です。

点と点が線になって繋がっていく面白さを、ぜひ体験してみてください!

文章量としては多めなんですが、話の展開が速いので、あっという間にラストまで読み進めることができます。

本格ミステリー好きには物足りないと思いますが、物語としてすごく綺麗に完結しています。

多くの伏線も、謎も上手く解き明かして、綺麗にまとめる。

横関大さんの腕を感じる作品です。

おわりに

最初に《感動ミステリー》と述べましたが、決して本格ミステリを期待して読む作品ではありません。

でも、本格ミステリ好きな方もアッと言わせる展開が待っています。

何がアッと言わせるのかは秘密。

謎解きの要素が多く散りばめられており、それを一つずつ組み合わせていくことで全体像がわかるお話です。

タクシー運転手と乗客、それぞれの物語が重なり合って、大きな一つのお話として完成する。

最後まで読み切った後に横関大さんが表現したかったことは、「家族」についてなのではないかと思える作品ですね。

また、「スマイルメイカー」というタイトルが最初から最後までスパイスになっています。

スマイル・タクシーを運転しているのに、全然笑わない五味が、最後に見せる表情とそれを見た人間、引き出した人間の関係性にやられます。

最後の最後まで、キャラクターと展開の上手さに惹き込まれる作品でした。

ぜひお手にとっていただければと思います(*´ェ`*)

2 Comments

こはる

ワオ!w これは気になりますねえ早速次の休みに書店に向かってみようと思います

小説だからこそできる伏線….. なるほど….. あれかなー?いや、あっち系かな? 楽しみですー彡(^)(^)

ミステリー、感動作と言えば最近ので言うと例えばナミヤ雑貨店とかを思い出しますが、両方味わえるとは贅沢な一冊ですよね 若い時より涙脆くなったせいか 感動系小説に最近弱いです 先日も、何回読んだかわからない天国への100マイルで涙したばかりですw

ワオ!って言いたい!w

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anpo39 anpo39

こはるさんこんばんは!
興味を持っていただいてありがとうございます(*´ェ`*)
小説だからこそできる伏線…..ふっふっふ。
ですねえ、ミステリと感動の両方が完成された小説ってありそうでなかなかなくて。
天国への100マイルは涙しますよね笑
私も100マイルは泣きます!

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