海外ミステリー小説

刑事オリヴァー&ピアシリーズ2『死体は笑みを招く』- 動物園で起こった不可解な殺人事件を描く

ある動物園で、切断された左腕と左足、さらにその持ち主である遺体まで発見された。

いずれも、高校教師で環境保護活動家でもあるパウリーのものと判明。

刑事オリヴァーと女刑事ピアは、早速パウリーについて捜査を進めるが、捜査はいきなり難航する。

パウリーは高校の生徒達には慕われていたが、その他の人々からはことごとく嫌われていたからだ。

殺す動機を持つ者が次から次へとリストアップされるため、犯人を絞り込むのは至難の業。

その上ピアは、別居中の夫を始め何人もの男性から言い寄られており、プライベートでも大忙しで―。

ドイツで大人気の刑事シリーズ、待望の第二弾!

次から次へと出てくる容疑者

『死体は笑みを招く』は「刑事オリヴァー&ピアシリーズ 」の二作目です。

前作の『悪女は自殺しない』と同様、次々に出てくる謎をどんどん解いていき、最後には全てがスッキリするという流れです。

さて前作は乗馬クラブが舞台でしたが、今作は動物園。

動物大好き刑事のピアが、またしてもはっちゃけそうな舞台ですが、これが案外陰鬱とした流れで始まります。

左腕と左足のない遺体が発見されるという、猟奇的な香りのする幕開けなのです。

オリヴァーとピアが調べてみると、被害者のパウリーはかなりの嫌われ者で(ここも前作と同じですね)、右を向いても左を向いても敵だらけ。

たとえば元妻から恨まれているし、環境保護活動をしているため動物園や市の土木課とも敵対しているし、コンサルタント会社の社長を中傷したことで訴訟になりかかっているし、その他ご近所関係や友人関係も決して良好ではない。

とにかく恨みを買いまくっているので、誰が犯人でもおかしくない状況です。

おかげでオリヴァーとピアは、各容疑者を順番に調べ、犯人ではないことを確かめていくという地道な作業を、延々と続けることになります。

そうこうしているうちにまた新しい容疑者が現れるので、捜査現場はまさにイタチごっこ。

とにかく容疑者が登場するたび、怪しさ満点な様子に「この人こそ犯人だ!」と、オリヴァーやピアはもちろん読者もテンションが上がるのですが、ことごとく「残念、ハズレ!」となるので、読みながら退屈することが全くありません。

もちろん最終的には犯人が絞り込まれ、動機はもちろん、なぜ左腕と左足が切断されていたか、その理由も明らかになります。

意外性のある真相ですので、ぜひご自身の目でご確認を!

ピアのモテ期到来!

さて、『死体は笑みを招く』にはもうひとつ、ファンなら見逃せない美味しいイベントがあります。

なんと、異性よりも動物好き好き~なピアが、何人もの男性に迫られて「困っちゃう♪」な展開になるのです!

夫とも別居中で、異性に関してはドライだったピアが、まさかこんなことになるとは……!

前作ではオリヴァーの恋愛事情(よりにもよって事件の関係者と親密な仲に…)が描かれたので、今作ではピアの順番、ということでしょうか。

さて、ピアにアプローチをかける男性たちは、

①法医学の権威であり、別居中の夫ヘニング(年上)
②動物園の心優しい園長ザンダー(少し年上の40代)
③動物園の実習生の、美男子ルーカス(大幅に年下の20代)

と、タイプも年齢層も実に幅広くて、よりどりみどり。

しかもそれぞれに魅力があるので、さすがのピアも女心をくすぐられ、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ。

別居中の夫はともかく、動物園の園長と実習生は完全に事件の関係者ですから、読者としては「刑事の立場的にマズいのでは?」と心配になるのですが、だからこそ面白い!

モテ期の来たピアを見て、オリヴァーが明らかにブスッとしている様子も、これまた面白い(笑)

こういったプライベートでの素顔を見せてもらえると、キャラクターたちにますます愛着が湧いてきますよね!

ここも今作『死体は笑みを招く』の魅力だと思います。

捜査に恋に、充実した一冊

『死体は笑みを招く』は、ドイツミステリーの女王との異名を持つネレ・ノイハウスさんの第二作目です。

第一作目にあたる『悪女は自殺しない』と同じく、最初は出版社ではなく著者が自費出版しました。

たちまち人気が出て地元で大評判となったため、大手出版社が目をつけて、刊行するに至ったそうです。

これだけの経緯を持つ本ですから、今作も面白くないはずがない!

被害者の嫌われっぷりといい、容疑者の増えっぷりといい、ピアのメロメロっぷりといい、オリヴァーのポンコツっぷりといい(笑)、読者の興味を引きつけるオモシロ要素が盛りだくさん!

事件としては規模が小さめで、前作より小ぢんまりまとまっている感があるのですが、見どころが多く、最初から最後までたっぷりと楽しませてもらえる一冊となっています。

ひとつだけ苦言を呈するとしたら、これはもう仕方のないことですが、登場人物の名前がドイツ語ならではの響きなので、覚えにくいこと。

しかも数が多く、容疑者だけでもたくさんいるというのに、オリヴァーとピアの同僚や身内、さらには容疑者の身内までもゾロゾロと出てくるため、読みながら混乱してしまうかもしれません。

ただ特に重要な人物については、巻頭に登場人物一覧があるので、必要に応じてチェックすればOKです。

自分でメモを取りながら読むのも良いでしょう。

登場人物をしっかり把握しながら読むことで、本書を一層楽しめるようになることは間違いなし。

せっかくのドイツの大ベストセラーですから、工夫して読み、心行くまで楽しんでください!

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