海外ミステリー小説

刑事オリヴァー&ピアシリーズ4『白雪姫には死んでもらう』- 村ぐるみの憎悪と陰謀に立ち向かえ!

11年前に少女二人を殺害した罪を着せられたトビアスが、刑期を終えて村に戻って来た。

トビアスは「あれは冤罪だった」と主張するが、村人たちに認められないばかりか陰湿ないじめに遭う。

そしてトビアスの出所と示し合わせたかのように、当時殺された少女の白骨が発見された。

刑事オリヴァーとピアは調べ始めるが、村人たちが協力的でなく、一様に口を閉ざしているため、捜査は遅々として進まない。

さらにオリヴァーは、プライベートでもある重大な問題を抱えていて―。

11年前の村で一体何があったのか、オリヴァーとピアは真相に辿り着けるのか。

ドイツミステリーの女王ネレ・ノイハウスが描く、珠玉の警察小説、第四弾!

閉鎖空間のおぞましさ

『白雪姫には死んでもらう』は、「刑事オリヴァー&ピア」シリーズの四作目です。

見どころは閉鎖的な村社会のドロドロっぷりで、村人たちがとにかく陰湿!

たとえば、未来ある若者トビアスに少女連続殺害という罪を着せ、刑期を終えて出所してきたら、今度は村ぐるみでいじめます。

買い物に来ても売ってあげなかったり、家に「人殺し」と落書きをしたり、トビアスの母親を歩道橋から突き落として重傷を負わせたり。

いじめ以外にも、真相を知る人物を監禁するとか、ヤバい薬を投与して精神病院に送り込むとか、明らかな犯罪行為もしでかします。

閉鎖空間ならではのおぞましさがあり、怖いながらも目が離せません。

村人たちの目的は一体何なのか、11年前に何があったのか、なぜトビアスに罪を着せたのか。

読めば読むほど謎が深まり、先が気になってたまらなくなります!

そもそも村の主要人物たちの設定も、めちゃめちゃ怪しいですからね。

・トビアスの幼馴染で、顔と名前を変えて女優になったナージャ

・11年前に殺害された少女とそっくりの顔をしたアメリー

・自閉症だけど、絵で表現することが抜群に上手なティース

などなど、いかにも何かありそうな匂いがプンプンして、推理脳が刺激されます。

これらの真相は、オリヴァーとピアの捜査によって、終盤になって一気に明らかになります。

謎が多かった分だけ、その過程は爽快!

立て続けに判明していく真実に「あぁ、そうだったのか!」と目からウロコがぽろぽろ落ち続け、スッキリ大満足の読後感を味わえます。

貴族刑事オリヴァーの悲劇

「刑事オリヴァー&ピア」シリーズでは、主人公たちのプライベートな場面も多く描かれ、そこも魅力のひとつです。

今作『白雪姫には死んでもらう』でスポットが当てられているのはオリヴァーで、愛妻コージマの浮気疑惑により、仕事に全く身が入らなくなります。

元々オリヴァーはちょっとポンコツなところがあるものの、一応貴族ということでエレガントで知的な雰囲気が前面に出ていました。

ところが今作では見る影もなく、妻の不貞が気になってウジウジして、携帯をコッソリ盗み見するわ、車をぶつけるわ、そんな中でも魅力的な女性を見つけると目移りするわで、いい所なし!

その分ピアが頑張って、事件解決に向けて実にテキパキとスマートに動きます。

ピアの方はプライベートが充実していて、二作目『死体は笑みを招く』で知り合った動物園の園長クリストフ・ザンダーとラブラブ。

このクリストフがまたイイ男で、ピアの良き理解者であり、優しいし料理もできるしと、ピアの生活や仕事を献身的に支えます。

おかげでピアは刑事としてキッチリ働くことができ、オリヴァーのヘタレっぷりをいい感じでカバーします。

この二人の刑事、どちらかがプライベートでまごまごしている時にはもう片方がしっかり仕事をこなすので、ある意味すごく良いコンビです(笑)

このように『死体は笑みを招く』では、主人公たちのプライベート面が、より細かく描かれています。

読みながら二人に対する愛着がますます深まっていくので、ファン必見の一冊です。

実は恐ろしかった『白雪姫』がモチーフ

『白雪姫には死んでもらう』はシリーズ四作目ですが、前三作と雰囲気が少し違っています。

それまでは、多くの容疑者の中から犯人を絞り込んでいく過程を楽しむミステリーだったのですが、今回はそこにサスペンス要素も加わっています。

村人たちの異様な雰囲気にゾクッとしたり、何か恐ろしいことをされそうでハラハラしたりと、犯人捜しだけでなく、スリルも楽しめるようになっているのです。

閉鎖的な村社会のドロドロ感が好きな方には、面白く読めること間違いなし!

また、オリヴァーのひどい落ち込みっぷりや、ピアのキレキレの捜査(と、デレデレの私生活)を見たい方にもおすすめですよ。

もうひとつ『白雪姫には死んでもらう』には興味深いポイントがあり、グリム童話『白雪姫』の初版がモチーフになっています。

『白雪姫』と言えば日本では、毒リンゴを食べて倒れた白雪姫が、王子様のキスで蘇り、幸せになるという物語。

しかし本場ドイツの初版では、実はおどろおどろしい物語となっています。

白雪姫の美貌に嫉妬した女王が、白雪姫の内臓を塩茹でして食べようとしたり、王子様が死体愛好家だったりと、ギョッとするほど恐ろしい描写があるのです。

本書『白雪姫には死んでもらう』には、この初版『白雪姫』を意識したネタが、随所に散りばめられています。

興味のある方は、本書を読む前にチェックしてみることをおすすめします。

そのおぞましさを知った上で本書を読むことで、作者の仕掛けや意図がわかり、物語やシチュエーションをより楽しめるようになるでしょう!

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