国内ミステリー小説

門前典之『屍(し)の命題』-雪の山荘、ド派手なトリック、読者への挑戦状が詰め込まれた最高の本格バカミス

主人公の篠原綱次郎、婚約者の真標京華、そして二人の同級生である蓑田良治は、大学の恩師が生前最後に設計した美島館に向かっていました。

美島教授は美島館の近くにある湖に沈んだと考えられていますが、いまだにその死体は発見されていません。

三人がこのような曰くつきの館に向かっているのには理由がありました。

美島教授の妻から落成記念として招待されているのです。

美島館には三人の他にも主人公と交流のあった医師、雅野大輔やその患者であり推理小説家の阿武澤郁夫も来ていました。

しかし美島館に美島夫人の姿はなく、「そちらには向かえないのでお好きに楽しんでください」という手紙だけがありました。

怪しい手紙に、館のあちこちに設置された不気味な拷問器具や昆虫の標本。

不安な夜を過ごした主人公たちは、翌朝、真標京華が死んでいるのを発見します。

これを機に密室の美島館で、犯人がわからない連続殺人が次々に起こります。

犯人は誰なのか、どのようにして殺害したのか、そして過去の事件とのつながりは?と謎が謎を呼ぶ、人気の「蜘蛛手シリーズ」の一つです。

門前典之『屍(し)の命題』

山奥の湖畔の館に招待された6人の男女が次々と殺され、最後には誰もいなくなる……という最高のシチュエーション!!これだけでご飯3杯食べられます(?)

この作品は事件パートと探偵パートに分かれており、事件パートは殺害された被害者の手記という形で、主に二人の視点から物語が進みます。

そして探偵パートは蜘蛛手探偵とその助手の宮村が真相に近づいていきます。

事件パートでは次に誰が殺されるのか、それぞれの人間関係はどうなっているのか、湖の天女説や不気味な拷問器具、処刑器具、昆虫標本などの演出が気になって次々にページをめくってしまうのです。

しかし探偵パートも、もどかしい話し方をする蜘蛛手探偵の次の台詞が気になってどんどん読み進められます。

殺人が起きるまでに膨大な量の伏線が貼られており、何気ない一文もあとからしっかり効いていきます。読み飛ばさずに、被害者たちの会話や手記に記された状態をきちんと覚えておきましょう。

トリックはやや無理があるという声もあります。偶然が重なったから成功したようなトリックもあり、それ故に「バカミス」と評される作品でもあります。

その通り、「そんなバカな?」と思わず言ってしまいそうな奇抜なトリックは、門前作品ならではと言えるでしょう。

それでいて、最後の最後まで飽きさせない見事なプロットからなる本格ミステリなのです!たまらないですね。

多少無理があっても他の推理小説では見られないようなトリックが見たい、単純に物語の面白い推理小説を読みたい、巧妙に張り巡らされた伏線を楽しみたい、という方はぜひ門前典之の「屍(し)の命題」を読んでみてください。

門前典之氏の作品の中でも、蜘蛛手探偵が登場するシリーズは人気があります。

建築屍材』『浮遊封館』、今作である『屍(し)の命題』、『首なし男と踊る生首』『エンデンジャード・トリック』などがあります。

今作は最初『死の命題』だったのを改題、改変したもので、シリーズを順番に読みたいという方は今作を最初に読むことをおすすめします。

一作目の『死の命題』は現在は出版されておらず、入手するのが難しいです。『屍(し)の命題』はより磨き上げられた内容を楽しめるので、こちらを読んでも問題ありません。

シリーズ一作目にふさわしい、王道とも言える密室殺人や派手なトリック、さらに読者への挑戦状もあります。

本格ミステリー小説をたくさん読んできた方こそ楽しめる作品になっているので、我こそは!という方にもおすすめです。

一級建築士の資格を所持している門前氏ならではの視点で、驚きの建築トリックを楽しめるでしょう。

見取り図なども用意されており、建築トリックが登場する推理小説が好きな方にはたまらない作品です。

門前氏の作品はどれも驚きの仕掛けが多く、良い意味で好き嫌いが分かれやすいです。それでも今作が気に入ったら、他の蜘蛛手シリーズも読んでみてください。

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