アン・クリーヴスさんの《シェトランド島シリーズ》をおすすめさせてくださいな。
アン・クリーヴスさんはイギリスの小説家さんで多くの作品を書かれているのですが、その中で翻訳されている〈シェトランド四重奏〉と呼ばれるシリーズがとっても面白いんですよ!!
陰鬱な雰囲気も良くて、ミステリも楽しめて、小説として純粋に面白くて、登場人物にも愛着がわいて、っていう良いことずくめのシリーズなんです。
海外ミステリがお好きであればぜひお手にとって見てください(* >ω<)
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1.『大鴉の啼く冬』
〈シェトランド四重奏〉シリーズ第一弾。なんと「冬」から始まります。
シェトランド島という小さな島で起きた少女殺人事件。そこには8年前の少女失踪事件が絡んでいるようで……、という感じ。
シンプルに言えば「閉鎖的な孤島を舞台にした本格ミステリ」です。ね、面白いに決まっているでしょ?
閉鎖的な集落での出来事であり、住人たちはお互いにそれぞれの情報が知られているという状態。この距離の近さだからこそ面白く、怖い。
様々な視点から進む物語構成もワクワク感を煽ります。伏線の貼り方も良いですね。
ミステリとしては地味っちゃ地味なんですが、とにかく雰囲気がいい。これを堪能しましょう。
ほんと「冬」って感じ。なんだか寒いです。でもこの重苦しい世界観がクセになっちゃうんですよねー(*´v`)
新年を迎えたシェトランド島。孤独な老人を夜に訪れた黒髪の少女は、四日後の朝、雪原で死んでいた。
2.『白夜に惑う夏』
シリーズ第二弾。「冬」の次に「夏」と来る。
夏のシェトランド島で発見された、道化師の仮面をつけた死体を巡る物語です。この死体は一体誰で、誰が、なんのために殺したのか?
タイトルに夏とありますが、爽やかさなんてありません。イメージとは裏腹に、やっぱり鬱々とした雰囲気が漂います。それがこのシリーズの良いところですから!
良い意味で派手さがなく、じっくり物語を読み込ませる作品ですね。徹夜で一気読みしたくなるタイプです。
読めばわかるのですがこのシリーズ、ミステリーとしてはもちろん”小説”として読ませる魅力があるのです。それが素晴らしい。
シェトランド島には人を惹きつける魔力のようなものがあるんですよねえ。わたしもそれに取り憑かれてしまった一人。
シェトランド島に夏がやってきた。人びとを浮き足立たせる白夜の季節が。地元警察のペレス警部が絵画展で出会った男は、次の日、桟橋近くの小屋で道化師の仮面をつけた首吊り死体となって発見された。
3.『野兎を悼む春』
シリーズ第三弾。安定の薄暗い雰囲気。
祖母の死体の第一発見者となってしまったシェトランド署のサンディ刑事。ウサギを狙った猟銃の弾に当たった事故のように見えますが、はたして。
前半はゆったりと、終盤は一気に展開が進みます。特にラストスパートはハンパない!シリーズ作品ならではの登場人物の成長が垣間見れるのも楽しいです。
ミステリとしても結構地味だし、春なのにやっぱり爽やかではない。ジメジメです。湿気がすごいです。読んでいてテンションは上がりません。
でも読んじゃうんです。気がついたら虜になっているんです。不思議だ。「島」そのものと「人間描写」が面白いんですかね。これだけ地味なのに、500ページ近くを一気読みさせるんですから。
さて、三作目まで読んだということは、もうこのシリーズの虜になっているということです。続いて四作目も読んでしまいましょう。
ペレス警部の部下、サンディ刑事の祖母が死んだ。発見現場は発掘中の古代遺跡。小さな島の濃密な人間関係が影を落とす事件の真相は──。
4.『青雷の光る秋』
とうとう〈シェトランド四重奏〉と呼ばれるこのシリーズの最終章です。
そしてなんと「嵐の孤島」での殺人事件、という本格ミステリな舞台設定ですからね。たまらんです。
内容はあまり言えないのですが、これまでシリーズを順番に読んできた人にとってはスペシャルな一冊となるでしょう。
シリーズを好きであればあるほど衝撃を受ける結末が待っています。ああ、なんということでしょう!
これを味わうためにシリーズを全部読んできてほしいくらいです。
これだけ感情を揺さぶられるってのもこのシリーズの凄いところですね。登場人物に愛着が沸きすぎて……。ぜひ一作目から順番に読んでください。
もし気になっても、ネットでいろいろ調べちゃいけませんよ!急なネタバレに遭遇する場合がありますからね!
ペレス警部は婚約者のフランを両親に紹介するべく、ふたりで故郷のフェア島を訪れていた。だが、島のフィールドセンターでひらかれた婚約祝いパーティの直後、センターの職員アンジェラが殺される。
5.『水の葬送』
《シェトランド四重奏》は4部作で終わったのですがなんと続編が!嬉しいシリーズ第5弾です。
メインとなるのは、若い新聞記者の死体は小舟に乗せられて外海へ流されていた、という事件。ですが、もはやミステリなんてどうでもいい。シリーズが続き、彼らにまた会えたことにまず感動です。
前作『青雷の光る秋』を読んだなら、間違いなく今作も読まずにはいられないでしょう。『青雷の光る秋』を読み終わった瞬間、本屋さんに走っているはずです。あんな終わり方をされちゃあ、ねえ。
4部作は終われど面白さは変わらず、相変わらず物語に引き込まれますね。入り込ませ方がお上手なんです。つまりは大満足な一冊というわけで。
シェトランド諸島の地方検察官ローナは、小船にのせられ外海へ出ようとしていた死体の発見者となる。被害者は地元出身の若い新聞記者だった。
おわりに
このシリーズってミステリとしてのド派手な展開ってほぼないんですよ。衝撃のトリック!とか、まさかのどんでん返し!とか。
でもね、グッと読ませる魅力が存分に詰まっているんです。
「島」の雰囲気はもちろん、特にシリーズものの醍醐味である「登場人物を好きになる」という楽しさが存分に味わえます。そして純粋に小説として面白いというのも魅力ですね。
海外ミステリがお好きならきっとハマっていただけるでしょう。
まずは一作目『大鴉の啼く冬』からどうぞ。
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