先日2016/10/20、田中啓文(たなか ひろふみ)さんの『シャーロックホームズたちの冒険』が文庫化されました!今回はそのあらすじや感想などを。
田中啓文さん?知らないなあ、という方もご安心を。
この『シャーロックホームズたちの冒険』を読めば「めっちゃ面白いじゃん!」ってなって田中啓文さんを好きになります。
ちなみに他の作品では『異形家の食卓』というグロホラーな短編集が超面白いので、気になる方は是非読んでみてね。
というわけで話がそれちゃいましたが、早速『シャーロックホームズたちの冒険』がどんな作品かをご紹介させていただきましょう(* >ω<)=3
田中啓文『シャーロックホームズたちの冒険』
ズバリ、この作品を簡単に説明しますと
「あの歴史上の有名人が名探偵だったら」
という物語を収めた短編集です。
もうこの設定だけで面白いですよね。
早速それぞれのお話のあらすじを見てみましょう。
1.「スマトラの大ネズミ」事件
この物語の始まりは、集合住宅の一室で発生した奇妙な男女殺害事件。
第一発見者の大家さんがその部屋で見たのは、血の海に横たわる男の死体と女の生首。
しかし大家さんがその部屋に入った時には確かに女の生首があったはずなのに、警察が到着した時には生首なんてどこにもなかったのである。
だが、大家さん以外の目撃者も「生首は確かにあった」と証言する。
では生首は一体どこに消えたのか?
ということなのですが、この事件はまだまだほんの序章に過ぎません。
ラストにはまさかの展開が・・・。
この物語は、シャーロックホームズの相棒「ジョン・H・ワトスン医師」の遺品の中から発見されたシャーロックホームズに関する未発表原稿です。
そう。
今まで世に出ることのなかった、シャーロックホームズの隠された事件。
一体なぜ今まで発表されなかったのか。
それは読めばわかります。
で、「そりゃ発表できないよね」ってなります。まさかシャーロックホームズが・・・でも私はこういうの大好き。
2.忠臣蔵の密室
この物語の舞台となるのは、播州赤穂浅野家の浪士四十七名が吉良上野介の屋敷に討ち入ったあの「赤穂事件」。
スバリ、彼らが吉良上野介の首を討ち取ろうと屋敷に攻めいったのですが、なんと吉良上野介がすでに殺されていた、という物語です。
しかも「密室」で。
一体吉良上野介は誰に殺されたのか・・
これも好き。
あの「赤穂事件」の裏にはこんなことがあったのか!という感じがたまりません。もう単純に物語が面白いですよね。
もちろん小説なのですが、「もしかしたらこれが事実なのではないか?」とか思っちゃったり。
そしてエピローグもまた面白い。オチをしっかりつけてくれてます 笑。
3.名探偵ヒトラー
あのヒトラーですよヒトラー。
ナチ党総統アドルフ・ヒトラーです。
実はヒトラーは「探偵小説」が、特にシャーロック・ホームズが大好きだったんです。知ってました?
しかも超頭が良くて、ちょっとした事件ならすぐに解決しちゃう名探偵なんです。
で、メインとなるのはヒトラーが大事に部屋に飾っていた「ロンギヌスの槍」が、部屋の電気が消えた間に何者かに盗まれたという事件。
部屋の電気が消えたとき、ヒトラーは全身が青く発光した怪人を目にしたというが・・・
なんだ、殺人の起きない窃盗事件か。
と思いきやさすがヒトラーさん。
普通の殺人事件よりはるかにえげつなかったです。すごい思考をしておりますね(*´_●`)
しかし面白いなあ。
4.八雲が来た理由
この話の名探偵役となるのは小泉八雲さん。
このお話では、彼が書いた『怪談』に登場する「ろくろ首」や「のっぺらぼう」「耳なし芳一」などの怪談がなぜ書かれたか、その理由となる事件が描かれています。
恥ずかしながら八雲さんは名前くらいしか知らなかったのですが、このお話を読むと彼にすごく興味が湧きました。
この物語も、事件も申し分なく面白かったです。そしてあのエピローグである。
5.mとd
誰もがご存知の大怪盗・アルセーヌ・ルパンを探偵役とした物語です。
ルパンが狙うは「サン・ラー王のスカラベ」。知らぬものなどいない秘宝である。
しかしこのお宝は警備万全の城にあり、しかも人をも殺せる凶暴なミミズクが守っているのです。
一体どうやってミミズクから秘宝を奪い取るのか。
そして「mとd」の意味とは・・・。
おなじみのガニマール警部はもちろんシャーロック・ホームズも登場する贅沢な作品。
いやあ、そうやってミミズクから秘宝を奪い取るのね。てかそんなのアリかい!(´∀`)ノ
5編全てが面白いって良いよね!
「もしあの歴史上の有名人が名探偵だったら」というテーマの短編集ですが、その設定だけでなく物語だけ見てもとても面白いです。
しかも5編とも非常に高い完成度で、読み応えも抜群です。
間違いなくオススメできる短編集でしょう。
ただ一つ、面白いのは間違いないのですが一応注意しておきますと、非科学的と言いますか超常現象と言いますか、オカルトじみた設定が登場します。
現実感のある本格ミステリ、とはまたちょっと違う作風ですね。
でもこの短編集はそこが面白ポイントの一つでもあります。非科学的な物は登場しますが、この作風にマッチしていてすんなり楽しめちゃうんです。
非科学的なんですが「本当にそうだったらおもろいなあ」と思わせてくれるんですよね〜(*´∀`*)ノ
おわり!
というわけで今回は、田中啓文さんの『シャーロックホームズたちの冒険』をご紹介させていただきました。
間違いなくオススメできる短編集でしたので、お時間のあるときにでもぜひ読んでみてくださいな〜(*>∇<)ノ
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