2017年9
映画版のキャストも、長澤まさみさん、松田龍平さん、長谷川博己さん、という私得な方々で、前々から気になっていたのです。絶対観るぞ。
簡単に言えば「宇宙人侵略モノ」です。SFです。
でも、静かです。宇宙人が地球侵略に来ているというのに、こんなに静かで良いのでしょうか。
良いんです(即答)。
これがこの作品の良さです。
『散歩する侵略者』
日本海に面した小さな田舎町に住む鳴海(なるみ)の夫・真治が行方不明になった。
数日後、警察に保護され病院にいるという連絡を受け、向かう鳴海。
そこには、見た目はそのまま、だけど明らかに中身が別人となった真治がいた。
会話が全くかみ合わず、話がなかなか通じない。ただの記憶喪失のようにも見えるが、これは何かおかしい。
医者の話では、真治はこの数日間「散歩」をしていたというのですが……。
一方では、71歳の老婆が息子夫婦をメッタ刺しにした挙句、自殺するという事件が起きていた(この事件の詳細がエグい)。
現場で唯一生き残っていた16歳の孫娘は、「ごめん。こんなことになるとは思わなかった」と言葉を残している。
この事件に奇妙なものを感じたルポライター・桜井は事件現場に足を運ぶ。
すると、いた。
もう一人の宇宙人が。
概念を奪う侵略者
簡単にまとめると、
・行方不明になった夫が、宇宙人に体を乗っ取られて帰ってきた。
・その宇宙人によって、街の人々が少しづつおかしくなっていく。
・そんな状況に興味が湧いたルポライター・桜井が事件の謎に迫る。
という感じです。
怖いですよ。
家族や愛する人が、姿形はそのまま別人へと変わってしまったら。
宇宙人が地球を侵略すると言ったら『宇宙戦争』や『インデペンデンスデイ』、『遊星からの物体X』、『クローバーフィールド』などのド派手なイメージがあるのですが(私だけ?)、今作にいたっては全くもって静か。
侵略してきた宇宙人は、タイトル通り「散歩をするだけ」なんですから。
正確には、散歩をしながら人の「概念」を奪う。
彼らは人間の中にある「概念」を一つづ奪っていき、地球を侵略するために活動を続けていきます。
では概念を奪われた人間はどうなるのかというと、、それは秘密です。
ただね、侵略者たちがやっていることは地味でありながら確かに怖いんですけど、なぜか憎めないキャラクターをしているんです。
どこかユーモアがあるというか、真面目にやっているんでしょうけど「ふざけているの?」と言いたくなるような、一生懸命人間を理解しようとしている感じにちょっと可愛さを覚えてしまうんです。
いや、確かにめちゃくちゃ怖いんですけど。だからこの感覚が不思議なんですよねー。
ラストも静かに……
うおお、ここで終わらすか!
と、ある意味衝撃のラストでしたよ。
謎は謎のまま終わるとか、あとは読者の想像にお任せします、みたいな小説は読み慣れているはずなのですが、むしろ好きなんですが、これはなかなか。
と最初は戸惑っていたのですが、時間が経つにつれ、「ああ、これでいいんだ。これこそが作品のテーマなんだ」と納得していきました。
最初読んでいた時は急にぶん投げられた感じがしましたけど、改めて思うと、やはりこの作品にふさわしいラストというか、ある意味では決着がついたといっても良い終わり方ですよね。
続きが読みたいか?と言われればそりゃ「ぜひお願いします」と即答しますけど、今はこのままでいい。余韻に浸りたい。
そして想像したい。
あの「概念」を手に入れた彼の行く末を。
おわりに
解説を含めても約230ページほどの小説なので、ぜひお気軽に読んでみてください。
文章も物語もとても読みやすく、ほんの2時間くらいで読めてしまうと思います。
それにしても、映画が楽しみすぎる。
特にあのラストのシーンを映像でみてみたい。きっと泣いてしまうんだろうなあ。
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは^ ^
『散歩する侵略者』、先月友人と映画館に映画を観に行った時にCMを流していまして、そのあまりのタイトルに2人して噴き出してしまいました・笑
「散歩」してるのに「侵略者」。
悠然としていながら、物騒。
のんびりとした雰囲気なのに、破壊的。
穏やかさを感じさせつつも、危険。
相反する2つの要素が組み合わさったタイトルに、一体どういう内容なのかと予想もつかず・・・。どんなセンスをしていたら、こんなに気になるタイトルを考えられるのかと、大変興味が湧きました^ ^ ここの紹介文を読んで、益々気になったので、読んでみます!そして映画も時間があったら観に行こうかと思います(*^^*)
ラストが気になるw
キツネ子さんこんにちは!(´∀`*)
ほんとタイトルが逸材ですよね。「散歩」と「侵略者」のギャップがゾクゾクします。
予告を見る限り、映画の雰囲気もかなり良さそうです。原作に忠実にいくのか、はたまた違う感じになるのか。
気になっていただきありがとうございます!ぜひぜひ読んでみてくださいな(*´∀`*)
とにかく映画版のラストが気になるところです。今から楽しみですわあ!