あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいいたします(*´∀`*)
というわけで、私が追いかけている作家さんの1人、下村敦史さんの新作が先月21日に発売しました。
下村さん、毎回安定して面白い作品を書かれるので期待していたのですが、その期待を上回ってしまうほどに面白い作品でした。
飛行機が砂漠に墜落し、生き残った人々がサバイバルを繰り広げる冒険活劇です。
一気読みは、逃れられません。
『サハラの薔薇』
まず出だしから面白い。
峰降介(みねりゅうすけ)率いるミイラ発掘隊が、ついに掘り起こした石棺。
発掘調査には膨大な費用がかかるため、今回の発掘で確実に成果を出したい。
満を持して、石棺を開ける。
王族のミイラなら世紀の大発見。
その場にいる誰しもが、大きな期待を膨らませていた。
しかし。
数千年前のものと思われる石棺から発見されたのは、死後数ヶ月も立っていないであろう何者かのミイラだった。
P.15より
はい、面白い。
わずか開始15ページでこの引き込みよう。
数千年前の石棺から死後数ヶ月のミイラが発見されるという超展開。
しかも胸には宝剣が突き立っているという……。
このプロローグを読んだだけで、「あ、これ徹夜コースだ」と確信しました。
そして、問題のミイラが発見された二週間後、峰はホテルで黒ずくめの男に襲われる。
「……記録、どこだ」
片言の日本語だった。
P.19より
その場はなんとか逃れる峰。
でもこの後、謎の武装グループにミイラを強奪され、峰を乗せた飛行機が砂漠のど真ん中に墜落します。
怒涛の展開もいいところ。波乱万丈を極めています。
溢れ出る謎にグイグイ引き込まれる
まず、砂漠に墜落することがおかしい。
峰の乗っていた飛行機は、カイロを発ったあと地中海上空を通過し、イタリアを横切ってフランスへ向かうはずだった。
航路に砂漠は存在しないのです。
それなのになぜ。
わずかに生き残った人々は、地獄のような飛行機の中を探索し、食料を探し求める。
コックピットに行くと、生き絶えた副操縦士が拳銃を握りしめていた。ありえない状況です。
さらには死にかけの男に、
「救助が来る前にさっきの男ーー永井を始末しろ。さもなければお前の秘密は暴露される。これはミイラの呪いだ」
P.47より
なんて言われるし、
生存者の1人が、「この先にオアシスがあった。二日ほど歩き続ければ着くはずだ」なんて言い出す。
峰たちは、墜落した場所に留まり救助を待つか、その言葉を信じてオアシスを目指すか、の選択を迫られる。
この場に待機していても、数日ももたないだろう。
かといって、オアシスを目指し歩いても体力を大幅に消耗するし、本当にあるかどうかも確かではない。
どうする、どうするの峰降介!
って話なんですが、これまだ序盤の序盤ですからね。
これで一気読みしない方が難しいでしょう。
①なぜ地中海上空を飛んでいるはずの飛行機が砂漠に墜落したのか。
②ミイラを強奪した武装集団は何者なのか。
③なぜ強奪したのか。
④そもそも発見されたミイラは誰なの。
⑤副操縦士はなぜ拳銃を持っていた。
⑥なぜ峰はホテルで襲われたのか。
⑦死にかけの男が残した言葉。「救助が来る前にさっきの男ーー永井を始末しろ。さもなければお前の秘密は暴露される。これはミイラの呪いだ」とは。
なぜ永井を始末する必要がある?峰の秘密とは?ミイラの呪いとは?
あらゆる謎が出てきて、とにかく「この先どうなるの?!」という展開が続きっぱなし。
全く休む暇を与えてくれない。
この疾走感を衰えさせない展開が本当にお上手ですね。
『生還者 (講談社文庫)』『失踪者』も一気読みだったのですが、疾走感なら『サハラの薔薇』が一番でしょう。
壮絶な砂漠で、命をかけたサバイバルが始まる。
峰と行動を共にする生存者たちも怪しい人物ばかりで、物語が進む中でどんどん謎を撒き散らしていく。
さらに砂漠ならではの危機が峰たちを襲う。
冒険小説であり、優れたエンターテイメント小説であり、ミステリー小説でもあります。贅沢だ。
それでいて、リアリティがある。
下村さんって砂漠に住んでたの?ってくらい砂漠について詳しく書かれているんです。
なぜこんなリアリティのある冒険活劇が書けるかって、下村さんの才能ももちろんですが、その下ですごい勉強もしているからなのでしょう。
本書の最後に「参考文献」が載せられているのですが、その多さに頭が下がります。
なんと、その数35冊。圧巻です。
そういう勉強熱心な部分があるからこそ、『生還者 (講談社文庫)』のような山岳ミステリや、『緑の窓口 ~樹木トラブル解決します~』など幅広いジャンルの作品を書き分けることができるのですね。
本当にすごい作家さんだと思います。
とにかく一気読みしてしまうほど面白い小説が読みたい!
ハラハラドキドキしたい!
という方に強くオススメいたします。
これを読めば、他の下村作品も読んでみたくなること間違いなしなのだ( ゚∀゚)
コメント
コメント一覧 (12件)
あけましておめでとうございます。今年も記事を楽しみにしています。
僕も下村さんをずっと追いかけてまして、リアリティが何よりの魅力ですよね。作品に真剣なんだっていうのがとてもよくわかります。読んでてするする入り込めるのもとっても良くて、何か熱中したいなって思ったら下村先生ですね。コンスタントに作品を出してくれるのはとってもありがたいわぁ。
アラシナオヤさん!あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします(´∀`*)
下村さん面白いですよね!毎回ジャンルが異なりながら、1つの作品に対する作り込みがすごくて圧倒されてしまいます。
そうそう、読みやすいのも魅力ですよね。読んだことがないジャンルなのにスッと物語に入りこまされてしまうんです。もう間違いなしですよね〜。
それです!本当に、これだけの質を保ちながらこのペースで出してくれるのはすごいです。ありがたいわぁ。
anpo39さん、はじめまして!
毎日、楽しく読ませていただいています。
長年、活字から遠ざかっていたのですが一昨年の夏から無性に読書がしたくなり、小説について書かれたブログはないかな、と探していたらこちらにたどり着きました。
小説を買う際にはとても参考にさせていただいています。
ちなみに先日は屍人荘の殺人を二度、読み終わり、今はオリエント急行の殺人を読んでおります。
これを読み終わったら映画を観に行くつもりです♪
anpo39さんにとりましてたくさんの小説と巡り逢える、幸多き一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
wishさんはじめまして!
あけましておめでとうございます。
いつも読んでいただけているとのことで、大変嬉しいです!ありがとうございます(*´∀`*)
無性に読書がしたくなる時、ありますよねえ〜。参考にしていただけてよかったです。
『屍人荘の殺人』は良いですねー、しかも二度読むところがさらに良いですねー!屍人荘は本当に名作だと思います。
オリエント急行も最高の一冊ですね。小説からの映画の流れは、特に楽しめると思います!
wishさんにとっても良い読書生活が送れますよう、心よりお祈り申し上げます。
今年もよろしくお願いいたします(´∀`*)
わお。ブログ一発目これですか!!
これ、まだ買ってないんですが、面白そう。。
下村さんだしなー。
早く読まないと!!
今年もブログ期待してる私(笑)
はい!一発目です!( ゚∀゚)
もう下村さんは間違いなしですね。何を読んでも面白いです。
困ったら下村さんです。
しかも今回は砂漠サスペンスという魅力的なジャンル。面白くないわけがない……。
ふっふっふ。期待されると照れちゃうのですが、今年もよろしくおねがいいたします!笑
あけましておめでとうございます!彡(^)(^)
まず今年1番最初に読んでみたい1冊でした(まだ購入してないのですが…..)
闇に香る嘘はもちろん当初から読んでいたのですが、昨年失踪者 生還者を読み、緑の窓口で新しい世界を知り、叛徒ですっかり魂を掴まれ、そしてこの新刊….. まるで漣のような攻撃の手に追いつけずにいますw
ブログも常に楽しみにしてます! あ、今更ながらツイッターフォローさせてもらいましたw そちらもチェックしますー
こはるさん!あけましておめでとうございます(´∀`*)
闇に香る嘘、失踪者、生還者を読んでしまうと、もう下村さんの手から逃れられないですよね 笑。本当に面白い作品をお描きになるなあ、と毎回思います。
ぜひぜひサハラの砂漠も楽しんじゃってください!
ブログ、楽しみにしていただいてありがとうございます!本当に嬉しいです。ツイッターもフォローありがとうございます、よろしくお願いいたします(ノω`*)
あけましておめでとうございます。
年末、闇に香る嘘を読破した所で「サハラの薔薇」ですか!楽しみすぎる!これも徹夜覚悟で読みたいと思います。読みたい本が沢山あって、時間が足りない(泣)今年は何冊読めるかな?
ぷうさん、あけましておめでとうございます!
「闇に香る嘘」からの「サハラの薔薇」の流れ、良いですねえ。ほんとに徹夜させられてしまうので注意してくださいね。私は途中でやめることができずに睡眠不足に……。
私も読みたい本が増えるばかりで全く時間が足りません。どうにかなりませんかねえ。どうにもなんないですよねえ(ノω`*)
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
今年の元旦は、この本で徹夜となりました(笑)時間も忘れて一気に読んでしまうくらい面白かったです。サハラ砂漠の夜空や夜明けを見てみたいなぁと思いました。
いつもながら、anpo39さんのブログの文章力がすごいですね!ネタバレはないのに本の良さや面白さはしっかり伝わってくるので、とても参考になります。闇に香る嘘も読んでみたいなと思います。
さくらっころんさん、あけましておめでとうございます!
この作品で徹夜とは、良い年越しになりましたね笑
下村さんの作品はどれも一気読みさせられてしまう魅力がありますよねえ。
俺しいお言葉をありがとうございます!
ぜひ参考になれば嬉しいです。
闇に香る嘘もとてもオススメです!ぜひぜひ!