書店員である『ボク』は学生バイトのはずなのに、店長よりも忙しく店内を仕切っている。
ゆったりとした職場に見えて、書店員というのは非常に仕事が多い職業だ。
品出しやお客さんからの注文をこなしつつ、レジの対応をし、さらには万引き犯にも目を光らせる。
もちろん、毎日発売される本の紹介を忘れることもできない。閉店後に新作を読みPOPを書いたり、キャンペーンの準備もしなくてはならない。
その上、何でも知っていると思われがちな書店員には、お客様から本に関わる色々な悩みが持ち込まれる。
POPを書けばその本が売れるというジンクスを持つ名物店長をはじめ、個性的な書店員たちが繰り広げる愉快な毎日。
お客さんから作家さんまで、ありとあらゆる本に関わる人達が頭をひねりながら難問に挑戦する。
出版業界の不況が叫ばれる中で力強く生きている書店の物語が開幕!
本屋が好きな人は間違いなくハマる推理モノ!
「本屋さんよ、永遠に」
文庫のあらすじにも書かれ、短編のタイトルにもなっているこの一文。
これがこれ以上ないほど、読後感を表しています。
本が好きな人に、ぜひ読んでもらいたい一冊ですね。
タイトル通り、本屋で起こる様々な事件を店長が鮮やかに解決していきます。
ネットショッピングで本を買う人も増えましたが、たくさんの本に囲まれる本屋さんは本好きの聖地でもあります。
この本の一番の見どころは、本屋での専門的な業務を絡めつつ、推理も本が関係するものばかりということです。
本屋さんだからこそ気づけるトリックは、普通の推理モノとは一味違います!
「なるほど」と感心しながら読み進めることができる内容です。
また、語り口が非常に軽妙で、短編連作形式なので、あっという間に文庫本を読み終わってしまいます。
特に小説だからこそ使えるミスリードは必見。
文庫本のために書き下ろされた『本屋よ、永遠に』は、本屋の問題点を明らかにしつつ、面白さも詰め込むという、とんでもない内容になっています。
この2つの内容を両立できる似鳥さんの力量を感じることができます!
話が進むと、業界内のぶっちゃけた話も数多く出てきます。
仕事内容の大変さや多発する万引きなどの犯罪の処理。
とても身近な問題や軽く考えがちなことも大きな意味があるんだと気づかせてくれます。
本屋が好きな人なら共感できる部分も多く、また考えるきっかけにもなる素晴らしい一冊です。
本屋さんを愛する人に読んでもらいたい一冊
本屋さんって本好きには天国みたいな場所です。
色々な本が並んでいるし、図書館とはまた違う雰囲気が満ち溢れています。
個人経営の書店はどんどん減っていますが、残っている本屋さんにはそれぞれ個性があって、お気に入りの本屋さんがあるという人も多いハズ。
「レジまでの推理 本屋さんの名探偵」は、そのタイトルの通り、本屋さんに舞い込む事件を書店員の主人公とその店長が解決していくお話です。
書店員が主人公なので本屋さん独特の業務についても詳しく書かれていて、欄外まで楽しむことができる内容になっています!
ちょくちょく入る、まるでツッコミのような小ネタもクスリとしてしまう面白さがあります。
たとえばこの一文。
「どうやら探偵団が結成されたようである。活動は通常業務をしながらだが」
(文庫P.149)
こんな文章が本屋さんで使われるなんて、想像もつかないですよね。
それを違和感なく入れ込む似鳥さんの力量が凄いです。
本屋さんの裏側以外にも、ネットショッピングの台頭や万引きなどの問題について描かれています。
軽く考えがちな問題ですが本屋さんにとっては大問題です。シリアス語られる書店の実情に「なるほど」と思ってしまいます。
本好き、本屋さん好きにはたまらない一冊ですが、その中でも店長さんのカッコよさが際立っています。
鮮やかに推理をする場面は推理小説の見せ場の一つ。
推理以外にも書店員の恋や友情など、様々な方面から楽しめる小説でした!
推理、青春、様々な要素が一気に楽しめる!
とにかく文章が読みやすく、書店員であるボクの一人称ですが、心理描写や情景の描写が巧みです。
短編連作ということもあって、あっという間に小説の世界に引き込まれていきます。
ちょっとした空き時間でも一話を読み切ることができて忙しい人にもオススメ。
本屋さんで起こる様々な問題をドキドキハラハラしながら読むことができます。
特に最後に収録されている文庫本用の描き下ろしは圧巻です。
小説だからこそできるミスリードが上手いこと散りばめられています。
いつの間にか似鳥さんの手法に上手いこと嵌ってしまうでしょう。
最初から最後まで一貫した個性的なキャラクターたちとのストーリーを楽しむことができます。
ぜひ楽しみながら読んでください!
コメント
コメント一覧 (4件)
本屋良いですねえ。
大好きです。
予定に無い発見がありますものね。
最近嬉しかったのは、どこにも置いてなく諦めていた土屋隆夫氏の傑作「危険な童話」を偶然見つけた事です。
嬉しかったなあ~。
わかります、ついつい予定にないものまで買っちゃって出費が増えますよねえ。
でも、そんな本屋さんが大好き。
『危険な童話』が置いてあったんですか!すごいですねその本屋さん。
うちの近くの本屋さんには絶対ないだろうなあ……。
こんにちは^ ^
本屋さんのミステリーですか・・・!良いですね(*^^*) 本屋さん大好きで、過去にいくつかバイトの面接受けたことがあるので(全部不採用でしたがw)、気になります。
本当に出版業が不況の最中、近所の本屋さんも閉店してしまって寂しい限りです・・・ただ本屋さんに入ると1日中居着いてしまうので、自主規制してるんですが・笑
業界内のぶっちゃけ話も描かれているとのことで、大変興味深いです。読んでみますね!
どうでもいいんですが、途中にあるイラストのキャラはオリジナルですか?前から気になってたんですが、味があって好きです^ ^
キツネ子さんこんにちは!
本屋さんのミステリー、すごくいいですよね(*´ω`)
私も本屋さんで働いてみたいなーとは思ったこと何度もあるんですけど、結局一回も面接したことないです。。
ですねえ。
私の家の近くもとうとう一件のみになってしまいました。そこが潰れたら、と考えると恐ろしいです。
ぜひお手にとってみてください!
はい、オリジナルのキャラクターです!笑
味があって好きと言っていただけて大変嬉しいです!
これからも活躍させてあげる予定ですのでよろしくお願いいたします( ´∀`)