夏といえばホラー!(((( ;゚Д゚)))

夏がキターーー!!♪( ´▽`)
夏はどこか遠くへ旅行したり、外で遊びたくなりがち。
でも、扇風機の風を浴び、麦茶を飲みながら『夏』を全身に感じて読書するっていうのもとても気持ちの良いものです♪
不思議なもので、夏になると毎年読みたくなる本があります。どこか懐かしく、切なくて、感動もできて、楽しそうで。
まるで自分が主人公になって、一夏の冒険に行ってきたような感覚を味わえたり。
そんなあの頃に戻ったような感覚が味わえる魅力的な本を厳選してみたよ(=゚ω゚)ノ
日本の夏を感じながら、たまには読書にふけてみるのはいかがでしょうか。
1.『ハローサマー、グッドバイ』
SF青春恋愛小説の傑作。青春であり、純愛であり、SFファンタジーであり。
男の子と女の子が出会い成長していくという王道のボーイミーツガール。
SFというと読みにくいイメージがある方もいらっしゃると思いますが、今作はガチガチのSFではなく非常にライトな感じで読み進めることができます。
で、「あれ、これってSF?」と、SFを忘れた頃にあの最後がやってきて……。
読み終わると、とてもよく練られているストーリーであることがわかります。伏線がきれいに回収され、とても心地の良い読後感となるのです。
そんな単純小説ではなく、夏休暇をすごすため、政府高官の息子ドローヴは港町パラークシを訪れ、宿屋の少女ブラウンアイズと念願の再会をはたす。粘流が到来し、戦争の影がしだいに町を覆いゆくなか、愛を深める少年と少女。だが壮大な機密計画がふたりを分かつ…
2.『八月の博物館』
物語とは、小説とは。そんなテーマと主人公の作家が向き合うお話です。
少年、作家、考古学者の三人の視点で進む、懐かしさと切なさが入り混じるストーリー。
こんな冒険に憧れていた、あの頃の懐かしい気持ちを思い出します。
不思議なミュージアムの設定が気づかされるあたりから物語が加速して、最後は温かい気持ちになれます。
フィクションなのかノンフィクションなのかぼかしている所がいいですね。
こういうあり得ないことが実際あるかもと思わせてくれる。ロマンティックで、かつ冒険心、好奇心をかき立てる物語となっています。
じっくりと時間をかけて読みふけりたいタイプの作品ですね。作者さんの演出もとても良いです。
終業式の帰りにトオルが足を踏み入れたのは古ぼけた洋館。そこで不思議な少女・美宇と黒猫に出逢う。「ミュージアムのミュージアム」というその奇妙な洋館の扉から、トオルは時空を超え、「物語」の謎をひもとく壮大な冒険へと走り出した―。
3.『サマーウォーズ』
この映画がテレビでやると毎回も見てしまう。夏の定番ですね。
OZ(仮想世界)で起こる人工知能の暴走、現実世界を巻き込みテロに発展、田舎町で起こる一夏の健二の成長物語。
映画を見た人も多いと思うけど、そんな人にこそ読んでほしいこの一冊。
映画で省略されてしまった細かい部分が小説では描かれています。
映画を観て『サマーウォーズ』を好きになった人はもっと好きになれる良書です。
映画の映像が頭の中にあるから、OZの世界観や花札のシーンもイメージしやすいんですよね。
よろしくお願いしまああああああす!!!
小磯健二は、憧れの先輩・篠原夏希に、「4日間だけフィアンセの振りをして!」とアルバイトを頼まれ、長野県の田舎に同行することに。夏希の曾祖母を中心にご親戚に囲まれながらも、大役を果たそうと頑張る健二のもとに、謎の数列が届く。
4.『夏のロケット』
火星に憧れて宇宙に憑かれた男たちの夢と冒険を描いたロケット青春ストーリー。
高校時代、ミニロケットの打ち上げ実験に没頭していた5人組。あれから大人になった彼らは、有人ロケットを打ち上げることに夢を見る。
大人になっても少年時代の夢見る心を忘れない、暑い、熱い、物語です。
子供の頃に描いていた夢って、大人になるにつれて忘れてしまうもの。でも彼らは諦めていなかった。
いつになっても、いくつになっても夢と冒険心を忘れないというのは本当に大事だと教えてくれる小説です。
いつまでも青春で熱い物語はつい涙腺が刺激されてしまうんですよねー(。´Д⊂)
火星に憧れる高校生だったぼくは、現在は新聞社の科学部担当記者。過激派のミサイル爆発事件の取材で同期の女性記者を手伝ううち、高校時代の天文部ロケット班の仲間の影に気づく。非合法ロケットの打ち上げと事件は関係があるのか。
5.『少年たちの終わらない夜』
青春真っ只中の十代の主人公を描く四つの物語。
大人になってしまった人たちに、あの頃の気持ちを思い出させてくれる一冊です。
もう十代に戻ることはできないのはわかっているんですけど、こういう作品を読むと胸がチクチク痛みますわー!
思春期を生きる主人公たちの、心の葛藤がありありと描かれています。
あの頃のみんながすぐそばに居るような感覚になり、切なくて懐かしくて泣きそうになる……。
終わりかけた僕らの十代最後の夏。愛すべき季節に別れの挨拶をつげ、駆けぬけてゆく少年たちの、愛のきらめき。透明なかげり。ピュアでせつない青春の断片をリリカルに描き、圧倒的な支持をうけた永遠のベストセラー。
6.『プシュケの涙』
少女が校舎から飛び降りた真相に迫る前半と、少女が変人・由良と出会い、描きかけの蝶の絵を描くに至るまでの後半の二部構成になった物語。
ミステリと淡い恋愛が混じった、丁寧で精密なストーリーです。
一気読みしてしまうほど引き込まれる、非常に完成度の高い儚い青春小説となっています。
構成も凝っていて、思わず「そうくるか!」と心で叫んでしまった。
前半と後半の構成が上手くて、幸福なラストだからこそ、救いのない切なさがこみ上げてきます。
青春小説だけど、「爽やか」と言うより「切なくて重くてツライ」方の青春。でもそこがまた良いんです……。
夏休み、一人の少女が校舎の四階から飛び降りて自殺した。彼女はなぜそんなことをしたのか?その謎を探るため、二人の少年が動き始めた。一人は、飛び降りるまさにその瞬間を目撃した榎戸川。うまくいかないことばかりで鬱々としている受験生。
7.『向日葵の咲かない夏』
本格派というよりは、ファンタジー要素が入った変化球ミステリー。
夏休み前の就業式の日に、首を吊って死んでいたS君を発見。しかし数日後、S君はあるものに生まれ変わって目の前に現れ、「僕は殺された」と言います。
ただの面白いミステリー小説ではなく、ファンタジーとの融合が何倍にも面白さを引き立たせてくれます。
冷静に読んでみると登場人物の全員がヤバイですが、気にせず最後まで読んでください。
いわゆる「どんでん返し小説」として有名で、一気に引き込ませるストーリー展開、ラストを読み終えた時の感情は格別。
結末を知りながら読み返してみると、ストーリーの構成やそれぞれのキャラの狂気みたいなものも読み込めてさらに面白いです。

夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した級友の家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。S君は首を吊って死んでいた。だがその衝撃もつかの間、彼の死体は忽然と消えてしまう。
8.『夏と花火と私の死体』
乙一さんの名作。
タイトルに『私の死体』とある通り、殺された主人公の死体視点で物語は進んで行く面白い設定がポイント。
幼い兄妹が、死体となった主人公を隠そうと様々な案を考えるのですが……。
乙一さんらしい独特の世界観、圧巻のクライマックスはゾクゾクします。ドキドキ感と色々な意味での恐怖が味わえる小説ですね。
小学生が死体をこんなに隠し通せるの?って疑問はあるけれど、独特のテンポやハラハラしてホッとさせる展開とかの緩急が絶妙。
取り返しのつかない一瞬の過ち、子どもであるが故の幼過ぎる判断、日常に溶け込むサイコパス、などなど、いろんな要素が詰まっていてグイグイ読まされます。
そしてなんとも言えぬ読後感。これぞ乙一さんです。

九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。
9.『夏への扉』
何度読みかえしても色褪せることのない、言わずと知れたSF傑作。
SF小説のおすすめ◯選!みたいな記事ではほぼ間違いなくエントリーしていますね。
死ぬまでに一度は読んでおかなくてはならない、ってレベルなので、覚えておいてください。もしまだ未読であれば、やはり夏に読むのがベストです。
ハードSFではなくかなり読みやすい方ですので、SFに苦手意識がある方にもぜひお手にとっていただきたいです。読後感もスッキリですので。
とても論理的なのだけど、夏への扉を探すというピートの行動にはそれとは真逆な美しさがあります。
1956年に発表された作品にも関わらず、古めかしい感は全くなく、むしろ古典の難解なSFと違い読みやすいため、一気読みしてしまうでしょう。
友人に読んでもらったところ、「もっと早く読んでおけばよかった」と言っていました。

ぼくの飼っている猫のピートは、冬になるときまって夏への扉を探しはじめる。家にあるいくつものドアのどれかひとつが、夏に通じていると固く信じているのだ。1970年12月3日、かくいうぼくも、夏への扉を探していた。
10.『ひぐらしのなく頃に』
『夏』=『ひぐらしのなく頃に』の方程式が成り立つ人も多いでしょう。
ホラーとミステリーが入り混じる、ライトノベルの良さを存分に詰め込んだ傑作です。
この作品は『ひぐらしのなく頃に(出題編)』と『ひぐらしのなく頃に”解”(回答編)』、『ひぐらしのなく頃に”礼”(その後)』の大きく3つに分けられています。
順番通りに読むのはもちろんだけど、読み始めたら途中でやめるのは非常にもったいない、というか、全部を読んで初めて『ひぐらしのなく頃に』という作品の面白さが分かるのです。ああ、そういうことか!ってなります。
読み終わった後は、ひぐらしの世界観、キャラクターのファンになっていることでしょう。
昭和五十八年。のどかな雛見沢村に伝わる秘祭・綿流しに潜む決して犯してはならない禁忌に触れたとき、転校生・前原圭一の“日常”は“非日常”の惨劇に一瞬にして染まっていく…!正解率1%の衝撃ミステリー『ひぐらしのなく頃に』待望の文庫化。
11.『夏の庭』
夏の定番。
人の死を見たいという少年時代ならではの残酷な好奇心から、老人に触れて変わっていく少年たちの心情をリアルで儚く描きます。
人の死と直面した少年たちの成長、そして笑って泣けて爽やかで、感動できる全てを詰め込んだような作品。
読むと普段当たり前のように生きている自分の幸せさと、「死ぬこと」にどんな意味があるかを強く意識するようになります。
無邪気な子どもと孤立した老人の距離が徐々に縮まっていく姿がリアルで、心温まるものとなっています。
なんとなくスタンドバイミーを思い起こさせる雰囲気も良いですね。
町外れに暮らすひとりの老人をぼくらは「観察」し始めた。生ける屍のような老人が死ぬ瞬間をこの目で見るために。夏休みを迎え、ぼくらの好奇心は日ごと高まるけれど、不思議と老人は元気になっていくようだ―。
12.『夏のバスプール』
「ああ!こんな青春送りたかった!!」と心から叫びたくなってしまうこの作品。
主人公が恋した「久野ちゃん」の魅力や、何気ないシーン一つ一つに青春を感じる。
読み終わってしばらくは「あの頃に戻りたい病」にかかってしまうので注意。
この作家さんは等身大の人物を描くのがとても上手いんですよね。
完璧な人はいなくて、どこか自分のことが可愛いかったり、嫌な部分があったり、そういうところがリアルで読んでいて飽きません。
全体的には爽やか青春物語なんだけど、ちょっと苦味もあり、それもまた良し。
夏休み直前の登校中、高校一年生の涼太は女の子にトマトを投げつけられる。その女の子・久野ちゃんが気になるが、仙台からきた彼女には複雑な事情があるらしい上、涼太と因縁のある野球部の西澤と付き合っているという噂。
13.『真夏の方程式』
映画化もされ大人気。東野圭吾さんの《ガリレオシリーズ》の作品。
夏休み、伯母一家が経営する海辺の旅館で過ごすことになった少年・恭平。
そして、そこに偶然仕事で訪れた湯川は殺人事件に巻き込まれます。
玻璃ヶ浦にある古びた旅館でおこった不審死は事故だったのか、殺人だったのか、ガリレオが苦手な子供とのコミュニケーションをしながら最後には秘密を見事に突き止めてしまう。
人間描写の巧さ、ワクワクする物語性、抜群の読みやすさを兼ね揃えた安定の東野圭吾さんらしいミステリー作品。
どうぞ、安心して読んでください。実に面白いです。そりゃ映画化もされますわ。

夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった少年・恭平。一方、仕事で訪れた湯川も、その宿に宿泊することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つかった。
14.『屍鬼』
スティーヴン・キングの「呪われた町」に捧げられた作品であり、人気ゲームの「SIREN」に多大な影響を与えた作品。
猛暑に襲われた夏、閉鎖的な小さな村を舞台とした、ホラー要素を取り入れたミステリー小説です。
1巻はメインの登場人物や舞台の説明などの導入部分がほとんどで、退屈に思ってしまうかもしれないです。しかも文庫版で五巻にも渡る大作なので、なかなか手を出しにくい。
ですが!2巻からは読むのが止められないほど面白くテンポの良いストーリーになっているので、1,2巻を続けて読んでみてください。1巻だけ読んでやめないように。
何ページにも渡り村が不穏な気配に包まれていく様子が描かれていて、村の陰気なムードもありおどろおどろしさが半端ないです。この不気味さがたまらない……。
不自然なほどの登場人物の多さ、土葬の習慣など、不穏な要素しか感じられず、人の死が続いて話が不気味になったところで2巻へと進みます。そしたらもう止められません。

人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躪したかのように散乱していた―。
15.『サマータイムトラベラー』
とある夏休み、仲間の一人が偶然にも3秒間だけ未来へ跳んでしまったことから始まる青春物語。
まさに「SFジュブナイル」という感じで、頭のいい高校生たちが暇を持て余して、タイムトラベルを研究する遊びに熱中する。
無数のタイムトラベルSFを資料として議論する場面を筆頭に、様々な文学や学問に言及しながら進んでいく一人称のスタイルが実に良い。
古き良きラノベな雰囲気があって、でも児童小説のような趣も感じられて、夏×青春の組み合わせもあってかなりノスタルジー。
こんな高校生活を送ってみたかった!と思えるような青春小説であり、SF好きにぴったりなタイムトラベル小説の決定版です。
あの奇妙な夏、未来に見放されたぼくらの町・辺里で、幼馴染みの悠有は初めて時空を跳んだ―たった3秒だけ未来へ。「お山」のお嬢様学校に幽閉された響子の号令一下、コージンと涼とぼく、そして悠有の高校生5人組は、「時空間跳躍少女開発プロジェクト」を開始した。
16.『旅に出よう滅びゆく世界の果てまで』
「喪失症」という物や人の存在が消えていく奇病が広まった世界を、スーパーカブで旅をする少年少女の物語。
スーパーカブでの旅は実際は大変だと思いますが、この設定にワクワクせずにいられません。
喪失症が蔓延した世界を旅する二人を追っていく中で感じるのが、終末世界なのに不思議と悲観的な描写が少ないこと。
緩やかな世界の終わり、というのを理想的に描いてくれているように思いました。
旅の先で出会う人々や、この独特な世界観の雰囲気がとても良く、まさに世界の果てまで旅をしてみたくなる作品です。
彼らと一緒に旅をしてみたい気持ちにさせられるけれど、この物語はこの二人だからこその旅なんだよなあ。
世界は穏やかに滅びつつあった。「喪失症」が蔓延し、次々と人間がいなくなっていったのだ。人々は名前を失い、色彩を失い、やがて存在自体を喪失していく…。そんな世界を一台のスーパーカブが走っていた。乗っているのは少年と少女。
17.『夜市』
表題作『夜市』と『風の古道』という作品が2つ収録されています。
どちらも甲乙つけがたいほど良作で、「千と千尋の神隠し」のような不思議な世界に迷いこんでしまったような雰囲気。
初夏の生暖かい夜風にぴったりの一冊で、 一定の怖さはありますがどちらかと言うとファンタジー。どこか苦い、不思議な読後感を残す作品となっています。
まさに夏のファンタジーホラーの傑作。
切なさと懐かしさみたいなものが残る、非常に独特な読後感が残ります。
ホラーといってもめちゃくちゃ怖いものではなく、「奇妙で不思議な物語」ですので怖がらずに手にとってみてください。
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。
18.『夏を拾いに』
もうタイトルからして良いじゃないですか。
昭和40年代に少年時代を過ごした父。そんな父が息子にその頃の体験談を語っていく、という作品。
もう完全に子供だった頃の夏休みを思い出しますよね。というか読んでいる間だけあの夏にタイムスリップした感覚になります。
スタンド・バイ・ミーがBGMにぴったりの4人の少年達のひと夏の冒険。
予想通りの展開も、登場人物の抱える事情も王道だけど、その全てが愛おしく感じます。
こういう昭和の夏の雰囲気ってなんでこんなに良いのだろうなあ。
「私たちには、いつだって拾いにいける夏がある」。“現代の人情話”の名手が描く、懐かしく瑞々しい、少年の日々。
19.『クール・キャンデー』
明日は夏休み初日&誕生日!という最高の日を前に、とんでもない事件に巻き込まれてしまった中学生・渚。
兄ちゃんの嫁がストーカーに襲われて他界、さらには同時刻にそのストーカーも死亡。
当然疑われる兄ちゃん。そんな兄ちゃんの疑いを晴らすべく渚は奮闘する。
文庫にして160ページという読みやすさながら、ミステリー小説として素晴らしく面白い作品なんです。
序盤からグイッと引き込まれ、気付いたときには伏線の回収が始まっていて、あれよあれよというまに最後の一文。ああ、なんという読後感!
夏関係なし(!)にミステリー小説として超おすすめです。

「兄貴は無実だ。あたしが証明してやる!」誕生日と夏休みの初日を明日に控え、胸弾ませていた中学生の渚。だが、愉しみは儚く消えた。
20.『スイカの匂い』
タイトルから溢れ出る「夏」感。
11人の少女の夏物語が収められた短編集。
しかしキラキラした夏の爽やか青春小説とはまた違い、どこか暗く、怖く、切ない夏。
どのお話も確かにどこか懐かしく感じるのだけれど、どことなく残酷さを帯びた懐かしさなのです。
ゆっくりと過ぎた夏の1ページを覗き込んだような、一瞬で夏に包まれるような感覚になる言葉で綴られています。
夏が来る度にとりあえず読んでしまう、そんな作品。幼い頃の夏の記憶に浸りたい人にオススメです。
あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。つい今しがたのことみたいに―バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。
21.『キップをなくして』
切符をなくして駅から出られなくなってしまった少年のひと夏を描く冒険小説。
少年と同じく切符をなくした子供達は「駅の子」として駅で生活をすることになります。
「駅から出られない」ってなんかホラーっぽいですが、実際は感動もできちゃう優しい読み心地のファンタジー小説です。
「駅の子」とは何なのか、をはじめ色々な謎も散りばめられており、先が気になる展開で読み始めたら止まりません。
大人から子どもまで全ての年代の人に薦められる素晴らしい作品です。
改札から出ようとして気が付いた。ないない、キップがない!「キップをなくしたら駅から出られないんだよ」。どうしよう、もう帰れないのかな。
22.『虹色ほたる―永遠の夏休み』
夏の王道。
小学生のユウタが亡くなった父との思い出のダムに訪れるが、足を滑らせて気を失ってしまう。
目が覚めるとそこにはかつてダムに沈んだはずの村が。なんとユウタは1970年代にタイムスリップしてしまったのだ!
いま、少年にとってかけがえのない夏休みが始まる。
ノスタルジーを感じさせる田舎の夏休みとファンタジーな世界観で、雰囲気がとてもいい。
不思議な夏休みを楽しむ序盤から、出会いと別れを感じさせていく後半。 このふたつが徐々に徐々に進行していく様がとても綺麗で切なさを感じさせます。
ただ一言、「最高の夏休み」。私も本当にこんな夏休みを送ってみたい。
ちなみに、アニメ劇場版の方も原作と少し異なる部分もあったけど超よかったです。
小6のユウタは一人、亡くなった父との思い出の地である山奥のダムを訪れていた。ところが突然の雷雨に襲われ、足を滑らせ気を失ってしまう。
23.『UFOがくれた夏』
続いても、上に紹介した『虹色ほたる』の著者・川口雅幸さんの作品。
白波小学校に転入したばかりの遼哉はクラスの雰囲気に不安があったが、隣の席の女の子・晴香のおかげでクラスに馴染んでいく。
UFO、夏、青春、淡い恋、友情。遼哉の不思議な夏が始まった。
ストーリー自体も面白いし、序盤から結構な伏線がちりばめられているんですよね。
それが終盤で繋がっていって「おお!そんな展開になるのか!」って感じで楽しめました。構成がお上手!
グラデーションブルーの海の近く、白波小学校六年二組に転入したばかりの遼哉。問題児ばかりという六年二組に内心ビビっていたが、隣の席の美少女・晴香の助けもあって、少しずつクラスに溶けこみはじめていた。
24.『ひとなつの。』
完全に夏に読まれるために生まれた作品。
5人の作家さんが「夏」をテーマに描いた物語が収められたアンソロジーです。一つ一つが短めのお話なのでサクッと読めるのも良いですね。
夏特有のこういう特別感ってありますよねえ。必ずしも素敵だとは限らないし、思い出したくないこともあるけど、こういう経験って今の自分に少なからず影響を与えている気がします。
普段経験しないことが夏休みには起きて、出会って、学び気付く。それがその人の人生の源になったり、支えになっていたりするんですよね。
当然どれも夏にぴったりな物語で、青春で、ちょっぴり切なくて、でも爽やかで。たまんないですよ。それぞれの作家さんの独特な風合いをお楽しみください(*´エ`*)
夏をテーマに大島真寿美、瀧羽麻子、藤谷治、森見登美彦、椰月美智子が競作。まぶしい日差しの中、きらきら光る刹那を切り取った物語。
25.『キシャツー』
夏休み。キシャツー(汽車通学)で部活に通う女子高生3人組は、砂浜に張られたテントにいる謎の男子を見つける。なぜそんなところに?それにはある理由が、、
この男子だけでなく、登場人物は皆それぞれの悩みを抱えています。青春時代ならではの、あの懐かしいような悩み。
そんな悩みに向き合い、成長していく彼らが眩しすぎて直視できない。友情だ!爽やかだ!青春だ!
登場人物の全員がいい人たちで、困った人たちを助けていくのは心が温まります。
舞台設定も素敵で、北海道の夏という爽やかで澄み渡るような景色が目に浮かぶ。それだけでも気持ちが良い。
小路幸也さんの描く日常はホントに心地よいなあ。
うちらは、電車通学のことを、キシャツー、って呼ぶ。一両編成の電車は、今日も、ゆっくりと海岸線を走り続ける。
26.『探偵伯爵と僕』
夏休み直前に小学生の新太が公園で探偵伯爵と出会い、共に連続誘拐事件を捜査していく物語です。
子供が書いた夏休み日記のようなスタイルで進んでいくストーリーが実にワクワクさせる。
もともと子供向けに書かれたミステリとの事ですが、大人の私が読んでも存分に楽しめた。いや、むしろ大人だったからこそ。
ミステリといっても大掛かりなトリックやどんでん返しがある訳でなく、淡々と進む様はリアルであり、森さんから子供へのリアルを教えているような感じがします。
真相変わらず、真ん中を撃ち抜かず時には的を外しているにもかかわらず巧妙に核心を突いてくる会話が素敵。
「S&Mシリーズ」とはまた雰囲気の全く違った森ミステリイをご堪能あれ。
もう少しで夏休み。新太は公園で、真っ黒な服を着た不思議なおじさんと話をする。それが、ちょっと変わった探偵伯爵との出逢いだった。
27.『夏美のホタル』
山奥に佇む「たけ屋」というよろず屋で夏休みを過ごすことになったカップルのお話。
主な登場人物は「たけ屋」を営む、ヤスばあちゃんと地蔵じいさん。そしてカップルの、慎吾と夏美。彼らの人間性が本当素晴らしくて心が洗われます。
人も良ければ物語も良い。自然の大切さ、人との出会いの大切さ、いろいろな優しさがこの作品には詰まっています。
いい話なんだけど、泣けるって言うより癒される小説。自分の今を幸せだと気付かせてくれるんです。
人との出会いは一期一会、些細なかかわりが大きな幸せにつながることがあると思わせてくれます。
田舎で過ごす夏って良いですね。こんな夏休みを過ごしたい。今からでも遅くないかな。
山奥に忘れられたようにぽつんとある、小さくて古びた一軒の店「たけ屋」と、そこで支え合うように暮らしている母子、ヤスばあちゃんと地蔵じいさん。
28.『真夏のバディ』
夏にピッタリすぎる青春ロードノベル。
とある夏休み、実家の仕事を手伝う塊太は、一人旅をしているという直次郎と出会う。塊太は自己表現ができず、直次郎は家出中と、お互いに悩みを抱えている。
そんな2人が軽トラで岩手県内を旅しながら、お互いを補い合い成長していくという物語。
あらすじから溢れ出る青春感。しかもこの二人のキャラも超良い。
旅の途中に出会う人々も温かく優しい人たちが多く、とても楽しく読み進めることができます。
「夏休み」「軽トラ」「旅」「友情」。こんなキーワードが揃っていて夏に読まないなんてありえないでしょ?(∩∀`*)
夏休み。実家の牧場の仕事を手伝う塊太は、一人旅を続けながらまっすぐに生きる直次郎と出会った。
29.『夏の葬列』
ショートショート7編と中編が2つ収録された作品集。
ショートショートといえば星新一さんの影響からSFチックな作品が多いのですが、山川方夫さんのそれは全く異なります。短いながらもきっちりと伏線を回収してゆく姿勢が好ましい。
とっても読みやすいので夏が来るたびに1回は読むけど、何回読んでも面白いからすごい。しかもそれぞれの物語どれもが心に残る
表題作『夏の葬列』の素晴らしさはもちろん、『待っている女』『煙突』も傑作でしょう。
人間の「死」というものが漂い、爽やか青春小説!みたいな感じではないのですが、こういう夏の読書も良い。
太平洋戦争末期の夏の日、海岸の小さな町が空襲された。あわてて逃げる少年をかばった少女は、銃撃されてしまう。少年は成長し、再びその思い出の地を訪れるが…。
30.『グランヴァカンス』
超名作SF小説。
舞台は仮想空間に存在する街〈夏の区界〉。
そこでは人間が来なくなってから1000年、取り残されたAIたちが永遠の夏を過ごしていた。
しかし、突如「蜘蛛」という謎の存在が現れ、街を無化しはじめた。AIたちの平穏は終わりを告げる。
見事な世界観に一気に引き込まれ、残酷かつ美しいストーリー展開にグングン読まされます。面白すぎる!
ちなみに今作は「廃園の天使3部作」の一作目。この物語は次巻『ラギッド・ガール』へ続きます。
仮想リゾート〈数値海岸〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、ゲストである人間の訪問が途絶えてから1000年、取り残されたAIたちが永遠に続く夏を過ごしていた。
おわりに
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
ぜひ夏に一気に読んでいただきたいですねえ。クーラーがガンガン効いた超涼しい部屋とかではなく、網戸にして扇風機を回しながら、麦茶を片手に夏の暑さを感じながら。
ホラーもあるよ!

コメント
コメント一覧 (3件)
海外に住む女子高生です。なかなか日本文学に触れ合う機会がないのですが、ブログのおかげで日本にいた頃のようにまた本が読みたくなりました。
このブログに会えて良かったです。これからも頑張ってください!
Ellen さん!コメントありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
海外にお住みなんですか!すごいです!やっぱり本を読むっていいですよね。
なんて嬉しいことを言ってくださるんですか、、(/ _ ; )
少しでもEllenさんのお役に立てたなら本当に嬉しいです!
本当にありがとうございます。頑張る気力が湧いてきました!Ellenさんも海外ならではの色々あると思いますが、頑張ってください!応援しております(=゚ω゚)ノ
高校生男子です。
自分が2年前の夏、ある出来事があって大きく人生を変えたのもあってか、夏の小説やアニメを見るととても切ない気持ちになります。
自分のお気に入りは夏ではないですがあさのあつこさんの「金色の野辺に唄う」です。この物語も自分の人生を大きく変えた作品ですね