さて、今回おすすめさせていただきたいのは「後味が悪くてイヤな気分になってしまう小説」です。
なので普通に面白い小説を求めている方にはおすすめできません。
「バッドエンドが大好きだ!」「とにかくイヤな気分になりたいんだ!」「今すぐにテンションを下げたいんだ!」といった変わった人たちは是非読んでみてください。
また、単純に後味が悪いだけでなく小説としても面白かった作品を選びました。イヤな気分なのについつい読み続けてしまうような作品です。
どうぞ参考にしていただければ幸いです(=゚ω゚)ノ
1.『赤い夢の迷宮』
同窓会で集まった7人に降りかかる惨劇。児童書のイメージが強い「はやみねかおる」さんですがこんな小説もお書きになるとは。
一応ミステリーでトリックなども楽しめますが、とりあえず気持ちの悪い怖さが漂います。
児童書をよくお書きになるだけあって文章の読みやすさは抜群です(=゚ω゚)ノ
二十五年前、ぼくらは小学生だった。殺人鬼が出没する噂もあった街で、ぼくら七人は「やっておもしろいこと」を見せてくれる不思議な男OGの館に通った。
2.『厭な小説』
京極堂シリーズで有名な京極夏彦さんによる作品。
タイトル通り’’厭な小説’’です。短編集ですが厭な物語しかない。
テンションはだだ下がり。ああ、イヤだ。
「厭だ。厭だ。厭だ――」同期深谷の呪詛のような繰り言。パワハラ部長亀井に対する愚痴を聞かされ、うんざりして帰宅した“私”を出迎えたのは、見知らぬ子供だった。
3.『主よ永遠の休息を』
14年前に起きた幼女誘拐殺人事件の真相とは。
コンビニ強盗を目の当たりにした記者の鶴田と、コンビニ店員の桐江の二人の視点が交互に描かれています。
まさかこんな結末になるとは。もう読みたくないです(/ _ ; )
通信社の東京支社社会部に勤務、池袋警察署の記者クラブに詰める鶴田吉郎。コンビニ強盗現場に居合わせて犯人逮捕をスクープし、店員芳賀桐江と知り合う。
4.『吐きたいほど愛してる』
タイトル通り吐きたくなっちゃうほどグロい物語が収められた4編からなる短編集。
後味どころか読んでる途中で気持ちが悪くなる。これも著者の表現力が素晴らしすぎる為ですが。
食欲が失せるのは当たり前。食後にも読まないように(´Д` )
愛―、それは気高く美しきもの。そして、この世で最も恐ろしいもの。毒島半蔵の歪んだ妄想が、この世を地獄へと塗り替える。虚ろな心を抱える吉美が、浮気を続ける亭主に狂気をぶつける。
5.『青の炎』
貴志祐介さんの名作。
母親の元結婚相手である「曾根」から家族を守るため、完全犯罪を計画した高校生「櫛森秀一」の孤独な闘いを描く。
読んでいて切ないし苦しいし哀しい。読み終わった後もしばらくは頭から離れません。
後味が悪い小説は基本読み返したくならいのが普通ですが、この作品は何回も読み返してしまう。それほど好き。

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。
6.『摂氏零度の少女』
優秀な女子高生が、自分を愛してくれている母親に少しづつ毒を盛って殺そうとするお話。少女はなぜこのようなことをするのか。
まさに狂気。少女の心理描写や毒の進行具合などの表現がリアルでゾクッとしますが、それとともに心苦しさも感じます。
しかし、ストーリーにぐいっと引き込まれるほどの面白さ。必見です( ´ ▽ ` )ノ
名門進学校で一流大学医学部合格の太鼓判を押されている桂木涼子が、ある日始めた“悪魔の実験”。それは人知れず母・祥子に劇薬タリウムを飲ませることだった。
7.『絶望ノート』
『葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)』で有名な
中学二年生の主人公がイジメによる苦しみを絶望ノートに書いていた。そしてある日、神様に’’あいつを殺してくれ’’とお願いすると、本当にその人たちが不審な死を遂げ始めた。
ストーリーの面白さ、驚愕のトリック、まさかのラスト。後味が悪いだけでなくミステリー小説としてもかなり面白いです。
中2の太刀川照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。
8.『玩具修理者』
表題作「玩具修理者」と「酔歩する男」の2作を収めた作品集。どちらも’’傑作’’といって申し分ない面白さだから凄い。
「玩具修理者」はグロでもありながらゾクゾクする気持ちの悪い怖さを。「酔歩する男」は精神的にキツイ。というか凄まじい。異常です。

玩具修理者は何でも直してくれる。独楽でも、凧でも、ラジコンカーでも……死んだ猫だって。壊れたものを一旦すべてバラバラにして、一瞬の掛け声とともに。ある日、私は弟を過って死なせてしまう。親に知られぬうちにどうにかしなければ。
9.『犬はどこだ』
都会での生活に耐えられなくなった主人公は、田舎へ帰って’’犬捜し専門’’の会社を始める。しかし最初に舞い込んできた依頼は’’人探し’’と’’古文書の解読’’だった。
そしてこの二つの依頼が思ってもみない方向へと繋がっていく。。
読みやすいし登場人物のキャラもいい。ストーリーも面白いのになんという後味。やってくれましたねo(`ω´ )o

開業にあたり調査事務所“紺屋S&R”が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。―それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。
10.『隣の家の少女』
本当は読まないほうがいいけれど、それでも憂鬱な気分になりたい!って方は是非読んでみてください。後悔します。
作品としての完成度は本当に高いです。心が痛いし気分が悪いのにどんどん読まされてしまいます。
でも読まないほうがいいです。残酷すぎます。
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。
11.『四〇一二号室』
真梨幸子さんの作品といえば『殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫)』が後味の悪さで有名ですが、この作品も面白いです。というか真梨幸子さんの作品はだいたい後味悪いです。
二人の女性作家をメインに繰り広げられる恐ろしい物語。はたして夢か現実か。
後味が悪いだけでなくミステリー小説として面白いです。まんまと騙されました!それにしても女性の嫉妬は恐ろしい(つД`)ノ

タワーマンションの最上階、四〇一二号室に暮らす人気作家、三芳珠美は、人生の絶頂にいながら満たされずにいた。ある日、古本屋の老婆に「あなたに」と古い写真を見せられるが、そこには見知らぬ赤ん坊の姿が写っていて…。
12.『殺人の門』
主人公の田島和幸は、倉持修という男のせいで人生を狂わされてきた。ならば殺すしかない。しかし殺せない。いったい何故なのか?
本当に哀れな主人公。でも何度も騙される主人公にイライラしてはいけません( ^ω^ )これはこれでいいのです。
600ページ越えでしかも胸糞悪いストーリー展開ですが、東野圭吾さんの作品は圧倒的に読みやすいのでご安心を。
「倉持修を殺そう」と思ったのはいつからだろう。悪魔の如きあの男のせいで、私の人生はいつも狂わされてきた。そして数多くの人間が不幸になった。あいつだけは生かしておいてはならない。
13.『砂の女』
砂の穴に埋もれる家に閉じ込められた男の物語。読んでいて気分が暗くなるし気味が悪い。そして息苦しい。
有名な作品ですし評判が良かったのでその分ハードルが高かったのですが、その高いハードルを余裕で超える面白さ。想像以上です。
ですが、もう、砂は、嫌だ。
砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。
14.『愚行録』
幸せな生活を送っていたはずの四人家族。しかしある日、一家全員が何者かに惨殺された。
そして知人や関係者たちの証言によって、その家族の本当の姿がどんどん明らかになっていく。。
うむむ。実に不快な作品です。褒め言葉ですが( ´ ▽ ` )ノ
人間のイヤーな部分が巧みに表現されてます。そしてなんという結末。でも面白い。
ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。
15.『神様ゲーム』
大人が読んでも面白い子供向けミステリー小説。というか本当に子供向けか?と疑いたくなる面白さ。
現在話題になっている連続猫殺害事件。転校生の’’鈴木太郎’’は自分は「神様」であり犯人も何もかもお見通しだと言うのだ。
さらには彼の予言通りに殺人事件が起きてしまう。
予想を裏切るストーリー展開でどんどん引き込まれてしまいます。しかも子供向けということで文章が読みやすい。最後の展開はもう、すごい。この怖さが子供にわかるのでしょうか。

神降市に勃発した連続猫殺し事件。芳雄憧れの同級生ミチルの愛猫も殺された。町が騒然とするなか、謎の転校生・鈴木太郎が犯人を瞬時に言い当てる。鈴木は自称「神様」で、世の中のことは全てお見通しだというのだ。
16.『悪人』
一人の青年が携帯サイトで出会った女性を殺してしまう。
祖父母を手伝い、女性に一生懸命尽くすような彼がなぜ殺人を犯したのか。彼は本当に悪人なのか。悪人とはなんなのか。
うーん、やるせない。胸がムカムカする。読んでいる途中も苦しくなってきますが、作品としての出来は本当に素晴らしいです。
九州地方に珍しく雪が降った夜、土木作業員の清水祐一は、携帯サイトで知り合った女性を殺害してしまう。母親に捨てられ、幼くして祖父母に引き取られた。
17.『贖罪』
15年前に起きた少女殺害事件。殺された少女と一緒にいた4人の女の子は、犯人らしき人物を見ていたがどうしても思い出せない。
結局犯人は見つからず事件は迷宮入りに。そして被害者の母親は、当時一緒にいた4人に女の子に怒りを覚える。絶対に犯人を見つけなさい、さもなくば、、
湊かなえさんといえば『告白 (双葉文庫)』も後味が悪くて有名ですが、この作品も負けていません。4人の少女に降りかかる悲劇の連鎖。怖い。

15年前、静かな田舎町でひとりの女児が殺害された。直前まで一緒に遊んでいた四人の女の子は、犯人と思われる男と言葉を交わしていたものの、なぜか顔が思い出せず、事件は迷宮入りとなる。
18.『疾走』
普通の家庭で暮らしていたシュウジ。しかし優秀な兄がとある犯罪を犯し、シュウジの人生は地獄と化す。
悲惨すぎて不快感極まりない作品。なぜこんな作品を読んでしまったんだろうと自分に問いたくなる。
しかも上下巻合わせて800ページ近いボリュームですが、まさに「疾走」するように一気読みしてしまうくらい読ませます。
広大な干拓地と水平線が広がる町に暮す中学生のシュウジは、寡黙な父と気弱な母、地元有数の進学校に通う兄の四人家族だった。教会に顔を出しながら陸上に励むシュウジ。
が、町に一大リゾートの開発計画が持ち上がり、優秀だったはずの兄が犯したある犯罪をきっかけに、シュウジ一家はたちまち苦難の道へと追い込まれる…。
19.『わらの女』
とある大富豪の結婚相手を求む、という広告を見てやってきた主人公。しかしその広告は、ある完全犯罪計画の一歩にすぎなかった。
まず単純にストーリーが面白い。え?そういう展開?!と、どんどん引き込まれます。しかもサスペンスとしても面白い。読んでいてドキドキが止まりません。そしてこの後味である。
奇想天外というより、シンプルに面白い古典的名作です。

翻訳の仕事をする知的で打算的なドイツ人女性ヒルデガルデ、34歳独身。彼女が見つけた新聞の求縁広告は“莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累ナク…”というものだった。
20.『失踪トロピカル』
海外旅行中に突然姿いなくなってしまった奈美を探す国分。彼が行き着く先は。。
グロさのオンパレード。ただただグロくスリル満点で息つく暇もありません。ノンストップで読めちゃうこのテンポの良さが七尾さんの魅力でもありますね。
バッサバッサと人が死ぬ。しかも救いがない。どこがトロピカルやねん( ^ω^ )
迷子の親探しにいったまま、奈美が戻ってこない―誘拐か?旅行先で国分は青ざめた。空港や観光街で撮ったビデオに映る、奈美に視線を這わす男。予感は確信に変わった!
最後に
探せば探すほど出てきてしまう後味が悪い小説。後味が悪いからこそ記憶にも残っちゃうんですよね。
読んでいる途中に気分が悪くなったり後味が悪いのに、読むのがなかなかやめられない面白い小説。ぜひ一度、挑戦してみてはいかがでしょうか……。
よろしければ気が向いたときにでも、参考にしていただければ幸いです。
それでは、良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ
コメント
コメント一覧 (2件)
こんにちは。いつも本の紹介をありがとうございます。すごい情報量ですね。後味の悪い話は読むのが辛いけど、名作が多いですよね。今日の紹介の中では『隣の家の少女』が未読です。後味の悪い小説として名高いですが、内容が余りに悲惨で勇気が出ないんですよね…。いつかは手を出してみたいんですが、購入する勇気さえでません。いつか読んでみたいです。
りかさん!こちらこそ、いつも読んでいただきコメントもいただき本当にありがとうございます。非常に励みになります(つД`)ノ
そうなんです。苦しいのですけど、その分心に残ってしまうというか、癖になってしまうんです。。
『隣の家の少女』はレビューを読むだけでも凄いのがわかりますよね、笑
悲惨で有名すぎるので引いちゃいますよね。読む気がしなくなるのもわかります( ; ; )
いつか読んでみていただきたいですが、無理はしないでくださいね。