今邑彩さんの代表作に『ルームメイト』という小説があります。
大学へ通うために上京してきた女性が、京都から来た西村麗子という女性に出会いルームシェアをして暮らすことになります。しかし西村麗子の様子がどうもおかしく、ついに失踪。西村麗子について調べていくうちに驚くべき真相が明らかになり、、
というミステリー小説で、映画にもなって一時期話題にもなりました。
しかし待ってください!
確かに『ルームメイト』も良いですが、今村さんの作品は他にも面白いものがまだまだあります。むしろルームメイトより面白い作品の方が多いのです。
そんなわけで今回は、今邑彩さんの『ルームメイト』以外の超おすすめ作品を厳選しました。
ぜひ参考にしてくださいませ。
1.『よもつひらさか』
最高傑作候補の一つ。12編からなるホラー短編集です。
今村さんの魅力が全部詰まっている、と言っていいくらいに優れた短編ばかりが収められています。
怖いことは怖いのですが、それよりも「巧い」と思わされてしまう。とにかく話の魅せ方がお上手すぎるんです。
今村さんの作品を読んだことがない方の最初の一冊にもおすすめ。これを読めば一瞬で今村ワールドに魅了されてしまうでしょう。

現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。ちょうど立ちくらみをおぼえた私は、青年の差し出すなまぬるい水を飲み干し…。
2.『時鐘館の殺人』
『よもつひらさか』と並ぶ最高傑作候補の一つ。
ミステリ、サスペンス、ホラー、SF、などなど、バランスの取れた6つのお話が収められた短編集です。
見事に面白い話しか収められていないですが、ミステリがお好きであれば『黒白の反転』『時鐘館の殺人』は必読でしょう。
この2編を読むだけでも今村さんがいかに優れた作家さんであるかがわかります。
短編にしてこの読み応えと満足感。そしてあのオチのつけ方。完璧でしょう。

作家、評論家をはじめミステリーマニアの集まる下宿屋・時鐘館。編集者の催促を前に「原稿は一枚も書けていない。勝手ながら『消失』する」との手紙を残し、締め切り直前の老推理作家が姿を消した。
3.『蛇神』
「蛇神シリーズ」の一作目。
蕎麦屋の若女将とその娘は、父と夫と長男を惨殺された。その事件がきっかけとなり、若女将は母親の生まれ故郷である’’日の本村’’を訪れるのだが、、。
古くからの因習がある村ってどうしてこんなに不気味なんでしょうね。村の狂気を感じます。
ホラー小説でありながら、多くの伏線や気になる謎の連続でグイグイと引き込まれ緊張しっぱなし(´Д` )
新橋の老舗蕎麦屋の若女将、倉橋日登美が直面した信じられない現実―。父と夫と長男が、住み込みの少年に惨殺されたのだ。
4.『そして誰もいなくなる』
アガサクリスティの名作『そして誰もいなくなった』をモチーフにした作品。
女子校の演劇部員が『そして誰もいなくなった』の見立て殺人によって殺されていきます。
かなり読みやすくテンポもいい。そして意外な結末も待っているので安心して読んでみてほしい。
名門女子校天川学園の百周年記念式典に上演された、高等部演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、最初に服毒死する被害者役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も演劇部員が芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。
5.『赤いベベ着せよ…』
タイトルや表紙からして明らかにホラー作品。でもただのホラー小説ではなくミステリー小説としても抜群に面白い!
昔住んでいた鬼女伝説がある町に戻ってきた’’千鶴’’が連続少女殺害事件に巻き込まれ、、
怖さとミステリーのマッチングが最高。本当に怖いのは幽霊なんかじゃないんです。
鬼に我が子を食い殺された女。腹を裂かれ、血まみれの我が子は、まるで赤い着物を着ているようだ。女はやがて鬼になり人の子を…。そんな鬼女伝説が残る町に娘を連れて20年ぶりに帰郷した千鶴は、幼なじみのひとりの幼い娘が扼殺され、古井戸に投げ込まれたことを知る。
6.『金雀枝荘の殺人』
かつて殺人事件があった呪われた館の謎を解くために、残された子孫達がやってきた。そしてまた起こる悲劇。
呪われた館、密室、見立て殺人など、ミステリ好きの心をくすぐる設定の数々。
ミステリ小説でありながらホラー要素強めでドキドキしっぱなし。テンポも伏線も結末もどれをとっても申し分ない面白さです。

完全に封印され「密室」状況となった館で起こった一族六人殺しの真犯人は、いったい誰だったのか。事件から一年後、真相を探るべく館にやってきた兄弟たちは推理合戦を繰り広げる。そして、また悲劇の幕が開いた…。
7.『卍の殺人』
卍の形をした奇妙な屋敷で起こる連続殺人事件。そして今邑彩さんの記念すべきデビュー作。
古典的で王道な本格ミステリーですので人を選ばず楽しめます。
また読みやすくわかりやすい文章力はデビュー時から健在ですね(ゝω・o)
その邸はふたつの長い棟が卍形に組み合っていた。住人も建物同様にふたつの家族に分かれて、微妙な関係を保つ。亮子はこの邸を恋人の安東と共に訪れた。安東はここに住む従妹との結婚を断わり独立を宣告するという。
だが第一夜に早くも惨劇が起きた。
おわりに
どれから読むか迷ったら、とりあえず『よもつひらさか 』と『時鐘館の殺人』を読んでおけば間違いないです。
この二冊を読めば、ほぼ100%に近い確率で今村ワールドの虜になります。
ぜひご堪能あれ!