今回は「叙述トリックの名手」と言われる折原一(おりはらいち)さんのおすすめ作品を厳選しました!
折原一さんの魅力はなんといっても「叙述トリック」です。
叙述トリックとは、巧みな文章によって物語の中の探偵ではなく読者自身を騙しにかかるトリックの事です。
要は読者が勝手に勘違いを起こすように仕向けて、最後の最後で「え?そういうことだったの?!」と衝撃を与えてくれるわけです。
折原一さんの作品はこの叙述トリックを用いたものが多く、非常に読者を楽しませてくれます。しかも当然ながら、いくら注意して読んでも騙されていることに全く気がつけません。だからこそ超面白いのです!
今回は、そんな折原一さんの面白すぎるおすすめ作品を厳選しました!ぜひ気持ちよく騙されてみてください。
どうぞ参考にしていただければ幸いです(=゚ω゚)ノ
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1.『倒錯のロンド』
推理小説家を目指す主人公が、新人賞受賞間違いなしの大作「幻の女」を完成させ、あとは賞に応募し、受賞を待つだけ…のはずが、大事な原稿が他人の手に渡ってしまい、あろうことか、他人の作品として世に出てしまう!
原稿を巡って殺人まで起こり、それぞれの狂気が加速していく。
小説の新人賞に応募するため執筆する作家とそれを盗んで発表した盗作者。 盗まれた作家の悲劇の物語です。
次第に登場人物達はロンドを踊る様に狂っていく様は恐ろしく、目を背けたくなりますが読むのが止まりません。
色んな視点から描かれていて、どこに着地するのか予想できずにグイグイ読み進めることができます。
どこまでが現実でどこまでが虚構なのか、物語の流れが巧みで狂気に飲まれつつある中ですっかり騙されてしまうでしょう。
叙述トリックだと分かって慎重に読んでいたのに、期待を裏切らないどんでん返しはさすがの一言です。
2.『異人たちの館』
執筆活動の傍ら、ゴーストライターをやっていた島崎潤一は、富士の樹海で行方不明になっていたかつて小説界の神童と呼ばれた小松原淳の伝記を書くことになる。
淳の過去を遡るにつれて不気味な童謡とともに揺らめく”異人”の影が…。
600ページを超える大作ですが、いろんな形の文体で構成されているため、ストーリーがとてもわかりやすくなっています。
また、グロテスクな表現も少ないので非常に読みやすくハイテンポで読み進めて行く事ができます。
折原一さんと言えば叙述トリックのイメージがありますが、本作も素晴らしいトリックで綺麗に騙されてしまうでしょう。
いろいろな種類とミステリを読んできて、これはどんなトリックなのかなー?真相はどんなかなー?と推理しながら読みたい人にオススメしたい一冊となっています。
叙述トリックはじめ、時系列の組み換え、多重文体、作中作と、ネタがこれでもかと詰め込まれているので一作でかなり楽しめますよ!
この作品が折原一さんの最高傑作だと評価する人も多く、折原一さん自身も文庫版のあとがきでこの作品を「マイベスト」と評しています。
「あなたのマイベストは何ですか?」と聞かれることがたまにある。そういう時、私は決まって『異人たちの館』と答えている。
この作品を書いたのは、四十代前半のもっとも気力充実していた頃であり、その時点における自分の持っているすべてをぶちこんでいるので、個人的には読者に自信を持ってお勧めできるのである。『異人たちの館』P.601 文春文庫版あとがき より引用
3.『七つの棺【新装版】 (密室殺人が多すぎる)』
関東平野の片田舎、白岡町で起こった七つの密室殺人。目張りされた体育館で死んだ相撲取り。密室の書斎で見つかる白骨死体。核シェルターで死ぬヤクザの組長。ログハウスから消えた作家など、バラエティに富んでいる短編が収録されたパロディ小説。
密室ものが揃った短編集で黒星警部の迷走っぷりと軽いタッチの文章で小説初心者の方でも読みやすい一作になっています。
また謎解きレベルは中の上くらいの印象なので、黒星警部と一緒に謎を解いていくのも楽しめます!
密室大好きという変わった警部ですが、様々なバリエーション密室事件が収録されているので密室事件てこんなに種類が豊富なのか。と感心してしまうほどです。
密室好きが災いし簡単な事件も迷宮入りさせてしまったため、出世街道を外れてしまった残念な警部という少しおバカキャラも入っているような主人公なので、読書しているうちに愛着が湧いてくること間違いなし!
4.『沈黙の教室』
青葉ヶ丘中学3年A組は担任によって「沈黙の教室」と呼ばれていた。
何者かが不気味な恐怖新聞を発行し、粛清の対象を指名していく。同時に行なわれる酷いいじめ。そして20年後、復讐を誓う者による大量殺人計画が始まる…。
青葉ヶ丘中学校の時代と、20年後の同窓会の時代の2つの構成。終始「粛清!」の恐怖が付き纏い次々と殺人が起こる。
20年前3Aのクラスで発行させていた恐怖新聞は誰が書いたのか、神崎一郎は誰なのか、復讐者は誰なのか、謎が多くて絶えずハラハラして読む事ができます。
残酷ないじめを題材にしているため読むのが辛くなってしまう人がいるかもしれませんが、ページをめくっていくごとに確信に近づいて行くので読む手が止まりません!
もしこんな事が現実にあったら…なんて考えてしまうと恐怖でしかありませんが、スリルを味わいたい方にはおすすめの一作です。
5.『倒錯の死角 201号室の女』
アル中の翻訳家から覗かれる旅行会社の新人OL、さらにアル中の窃盗犯が加わり、被害妄想と不倫と通り魔事件が絡み合い物語が進み、最後に十重二十重に張り巡られた伏線が、五転六転して明らかになる…。
覗く者と覗かれる者との駆け引きバトルが第三者の勘違いと共に交差して、あらぬ方向に急旋回します。
それぞれが自分中心の怒りを抱え、他人をおとしめようとするところはなんとも人間的で応援してしまいますね。
巧みに叙述トリックを使用し、小説自体にも仕掛けがほどこされている折原一さんらしい作品になっています。
小説としては非常に珍しい袋とじが終盤部分にあり、袋とじにハサミを入れないと中身を見る事ができないという仕掛けが!
この袋とじの中には、どんな秘密が隠されていてどんな驚きが詰まっているのだろう。と想像する事ができて面白いです。
読者を驚かせようとする怒涛のどんでん返しは流石の一言で、スピード感もあり最後まで楽しむことができます。
6.『冤罪者』
記者である五十嵐は、連続殺人犯の河原に恋人を無残に殺害される。
その後巡りあった女性と結婚するが、殺人犯から「無実であるから新犯人を探し出して欲しい」という連絡を受け、徐々に河原の無実を証明するための活動を始める…。
登場してくる人々もどこか怪しげで裏の部分を持っているような雰囲気を醸し出しており、誰も信用が置けない中で物語を読むのは非常に緊張感があります。
この作品を読み進めて行くとまさかそんな結末が、、、と驚愕してしまうこと間違いなしですね。
伏線回収の部分を完全に理解しきるのは難いところではありますが、折原さんらしい大掛かりな仕掛けで終始楽しむ事ができます。
怪しい人が沢山出てきて何となく予想するけれど、読者のほとんどが真犯人を当てられないぐらいに作り込まれているので、推理が得意な方におすすめしたい一作になっています!
私は見事に最後まで騙されてしまいましたが、最後はなるほどな〜と納得する事ができました。
7.『失踪者』
久喜市の連続失踪事件を追う、ノンフィクション作家の高嶺隆一郎と助手の神崎弓子。
調べていくうちに、15年前の失踪事件との関連性が浮かび上がる。どちらも「少年A」が絡む事件だった…。
連続する女性の失踪事件と、少年Aと呼ばれる者の父親の手記が交互に語られる、飽きのこない構成になっています。
最初は事件を追う者と事件の関係者かと思われる者の物語に謎を追う面白さを感じているだけなのですが、そこはさすが折原さんという感じで、ジワジワと嫌な気配が迫ってきます。
色々な人の視点から描かれてるので、より登場人物のイメージが膨らんでグイグイのめり込んでしまうでしょう。
謎だらけなうえに過去と現在が交錯して、ちょっと苦戦したけどラストは見事に騙され面白かったです!
折原一さんらしい叙述トリックが満載なのですが、他の作品よりも比較的推理しやすい内容になっているのでミステリー初心者にもおすすめしたい一作です。
最後に
最後までご覧いただき本当にありがとうございました。
折原一さんの作品はどれも作風が似てるものが多いため、一つの作品が面白いと思えば他の作品も間違いなく気に入ってくれるであろう作品ばかりです。
よろしければ気が向いたときにでも、参考にしていただければ幸いです。
それでは、良い読書ライフを!(=゚ω゚)ノ
本を頻繁に読むようになってからこのブログをかなり参考にさせていただいています。ブログ主さんの文章はその作品を読みたくさせる力があるのできっとこの本は面白いんだろうな…と思わせてくれて、ブログに訪れる度に読みたい小説ラインナップが無限に増えています
ブログ主さんがオススメしていると、自分がさほど興味のないジャンルの本まで手を出したくなってきています
更新大変だとは思いますが、応援しております頑張ってくださいv
鸚鵡さんこんにちは!
参考にしていただけているとのことで大変嬉しいです。ありがとうございます。
しかもそんな嬉しいお言葉までいただけて感無量でございます!泣
ぜひぜひこれからもよろしくお願いいたします。
更新頑張ります!(*´∀`*)
嬉しいコメントをありがとうございました!