『ピエタとトランジ』-スリル×サスペンス×友情の、超弩級ガールズ・エンターテイメント!

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芥川賞受賞の第一作『おはなしして子ちゃん』に収録され、かなり話題となった衝撃の短編『ピエタとトランジ』が、長篇になって帰ってきました。

『おはなしして子ちゃん』が発売されたときにもこのストーリーはかなり面白い、ぞくっとする、心に残ると言われていましたが、そんな衝撃作が長編で読めるとなると、ファンからするとたまらない作品となっています。

もちろん『おはなしして子ちゃん』を読まなくてもしっかりと話はわかるので安心していただければと思いますが、深みを出すため、また藤野先生の今までのストーリーのクセや面白さをしっかりと予習するために2冊同時購入をおすすめします!

それでは、早速『ピエタとトランジ』のあらすじと口コミをご紹介いたします。

短編では深く描かれなかった二人の間柄やトランジの秘密などを深堀したさらなる衝撃作です。

目次

藤野可織『ピエタとトランジ』のあらすじ

主人公である私の名前はピエタで、親友の名前はトランジ。

私たちは助手と名探偵としてバディを組んでいる。そして、『人類最後の』助手と名探偵として活躍している。

私は女子高生ながら、天才的な頭脳を持っているトランジの素晴らしさにすっかり虜になり、自ら助手として名乗り出た。

しかし、トランジは名探偵ではあるものの、ある特殊な体質を持っていた。

それは『事件を誘発させる』というもの。トランジの周りで次々と事件が起こり、そして次々と人が亡くなっていってしまうのだ。

そして、そんなトランジにはとある恐ろしい事実を持っていた。その秘めた事実が明らかになったその瞬間、ただの女子高生二人組の事件解決ストーリーから大変貌する!時代はどんどんと進んでいき・・・人類は滅亡に向かっていく!?

かなり突飛な設定ではあるものの、ゾクゾクするストーリー展開と、読み終わった後にふと表紙を見た時に「そういうことか!」と合点できてしまうところが何とも素晴らしい物語です。

長編ではありますが、ひとつひとつ小さなセクションがありますので、読み切りやすく休憩も出来ますので、ミステリやホラーをあまり読まない方でもグイグイ読むことができます。

藤野可織『ピエタとトランジ』の口コミ【読者の感想】

それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。

 

『芥川賞作家で興味があって読んだ。殺人誘発体質の女子高校生という設定が好みの人にぴったりの本だった。
望まないのに、殺人に巻き込まれ、その頭脳で事件を解決していくが、読書は爽快感があるが、トランジもそれを支えるピエタも気だるく、淀んだ雰囲気のある小説で面白かった』

 

『女子高校生コンビの探偵かと思いきや徐々に歳を重ねていき老人になり、だんだんと死体が彼女たちの周りに積み上がっていく様がなかなか斬新な感じがしました。
ピエタだからこそのトランジの存在意義と言えるべきこの二人の良い相性なのも
この物語を面白くしている要因なのではないでしょうか』

 

『正直一番怖いのはトランジじゃないです、ピエタです。
ピエタの文章はかなりロボットのような機械的な無機質さを感じます。
トランジの体質をわかっていながらそれでも惚れ込みそばに居続けるピエタこそが一番のホラーで一番のサイコパスのように感じました。
読み終わった後、なんだか背筋の芯が冷ややかに感じる、良い意味で響く物語でした』

 

『女子高生コンビのミステリと知り、面白そうと思ってふと手に取ったが、まさかサスペンスとホラーとSFと・・・という展開とは思わなかった。
青春のキラキラとした物語、を期待しているのであればそれは大幅に外れているし、突飛なミステリを心の奥底から楽しみたい人向けなのではないかと感じました』

 

どの方も、今までに無いような爽快感やホラー・SF要素を楽しんでいるように感じられました。

トランジの秘密は確かに読んだ人だけがわかる怖さやおぞましさなのですが、それを知りながら寄り添うピエタがまた異世界の人のような不思議さで怖いようにも感じます。

読み手によって何が一番怖いのかが分かれる衝撃作でした。

名探偵の周りには事件が舞い込むのはお決まりなのだが・・・。

テレビや映画でも話題となっている眼鏡をかけた元高校生探偵のように、そして、ベーカー街に住む名高い名探偵のように、名探偵と呼ばれる人の周りには、必ず死体やちょっとした事件が舞い込みます。

それは、お決まりですし、弁護士事務所に離婚したいと相談に来る人のように仕事柄当り前となっています。

そうでないと彼らの輝く場所がなく、仕事もないからです。

しかし、その「お決まり」の先を行く作品が『ピエタとトランジ』だと思います。

確かに名探偵の周りには事件が付き物ですが、そうは言っても・・・という内容です。

ここに面白さを感じるのです。

ただ、これが一般人の私たちには縁遠いかというとそうでもありません。

例えば、「雨女」「晴れ男」のようにその人がいるといつもこれ、と決まったパターンになる場合や、「よく家電が壊れる」「不幸体質」などに悩む場合がありますよね。

それと名探偵の周りに事件が舞い込む体質は、実は似ているのかもしれません。

そうかもしれない、と思い人より多くレーダーを張ってしまったり、注意深く見ているからこそ見つけてしまうのではないでしょうか。どうせこうだろう、と諦めにも見えるのです。

そんな風に読むとなんとなく日常を切り取っただけにも見えるのですが、人類皆巻き込む体質はなかなか壮大です。

名探偵の「お決まり」と「SF」と「ホラー」の間を行き来する新感覚ストーリーを是非お楽しみください。

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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