『パンプルムース氏』シリーズはもっと読まれるべきグルメミステリの秀作なのです

くまのパディントン』でおなじみの著者マイケル・ボンド。彼の大人のために書かれたミステリ『パンプルムース氏のおすすめ料理』から始まるシリーズが面白いんですよ。

なのに、多分、あまり読まれていないんです。少なくとも日本では。

久しぶりに思い出して図書館で再読し始めたらやっぱり面白かったので、この機会にご紹介させてください。

「大人のために書かれたミステリ」と言われているのですが、謎解きを重視したいわゆる「推理小説」ではありません。

では、なにが面白いのか。

それは、パンプルムース氏と愛犬ポムフリットのキャラクター性と、海外らしいユーモアの溢れる物語にあるのです。

 

目次

1.『パンプルムース氏のおすすめ料理』

パンプルムース氏シリーズの一作目。

元パリ警視庁刑事。現在はグルメ・ガイドブックの覆面調査員のパンプルムース氏と、元警察犬の愛犬ポムフリット。

そんな1人と1匹がレストランで食事をしていたら、料理から首が出てきてさあ大変!というドタバタミステリ。

『くまのパディントン』の原作者が大人向け書いた傑作ミステリ、と巷では呼ばれていますが、実際ミステリ感は薄め。

コメディドラマにちょっとミステリ入れてみました、ぐらいの感覚です。だがそこがいい。

まるでコントを見ているような流れる展開、パンプルムース氏とポムフリットのやりとりが楽しく、ちょっとお下品でシュールでもある。

トリックとが犯人とか、正直どうでもいい。だってこんなに愉快なのだから、と思わせてくれる作品なわけです。

お下品な部分で好き嫌いが別れてしまうと思うのですが、最初からそういう作品だとわかっていれば、かなり楽しめますよ。

油断していると、思わぬところの伏線でアッと……。

命と貞操まで狙われながらパ氏が挑む怪事件。『くまのパディントン』の作者が、大人たちに贈る超傑作グルメ・ミステリ!

2.『パンプルムース氏の秘密任務』

 

シリーズ2作目。

続いても、お下品(いやらしさはない)でドタバタなコメディが炸裂。1作目よりお下品度は高いかも。

今回の任務は、編集長の叔母さんが経営する、さえないゼロ星ホテル・レストランのたてなおし。だけどこのレストラン、何か怪しい秘密を抱えている?!

1作目と同じように決して本格ミステリではないし、探偵と一緒になって謎解きを楽しむものでもありません。

でも楽しい。だからこそ、楽しいと言うべきか。

パンプルムース氏と愛犬ポムフリットの先には常に事件があり、むしろ彼らが関わることで事件が拡大してしまっているのですが、最後にはきちんと自分たちで解決していく。

とにかく最初から最後までユーモアに溢れているので、堅苦しい小説を読んで気分が重くなったあとに読むとなお良し。

3.『パンプルムース家の犬』

 

もちろんホームズの『バスカヴィル家の犬 (新潮文庫)』のもじり。

しかし内容は全くの別物という、ある意味安定したパンプルムース氏シリーズ。

それでも今までの2作品よりはミステリ度が強くなっているかな。

作中で『バスカヴィル家の犬』を読んでいるパンプルムース氏がホームズを気取り、「ホームズだったらどうするか」と考えながら事件と向き合っていきます。

 

いつものように、とあるレストランで休暇を楽しんでいたパンプルムース氏は、これまたいつものように事件に巻き込まれることになる。

有名なデザート・シェフが失踪してしまったのです。

つまり、彼を目当てに訪れるアラブ石油王の機嫌を損ねることになってしまう。そうなれば、フランスへの石油の供給が絶たれてしまうかもしれないのです。

国家の危機を救うべく、パンプルムース氏はポムフリットとともに立ち上がるのであった。

言い忘れてましたが、このシリーズは美味しそうな料理がたくさん登場してくるので、空腹時には注意です。お腹が減って眠れなくなりますよ。

4.『パンプルムース氏のダイエット』

 

編集長の命令によって、無理やりダイエット施設へと送り込まれたパンプルムース氏。

なによりも食事が好きなパンプルムース氏にダイエットが可能なの?それにしてもこの施設、なんだか怪しい。

 

もうお分かりの通り、このシリーズの魅力はトリックや謎解きなんていうミステリ部分ではありません。

ただ単に、面白くて、食欲の湧く、パンプルムース氏とその愛犬の物語なのです。

そのためか、今作においてもご都合主義な場面が多く登場します。このご都合主義を楽しめるかどうかが大きな分かれ目。でも良いじゃない。楽しい物語ってそういうものさ。

ユーモアミステリーではなく娯楽小説、『ユーモアな物語〜ちょっとミステリ風〜』なので割り切って楽しみましょう!

次に読むべきは

他にも、現在翻訳されているのは

パンプルムース氏と飛行船 (創元推理文庫)

パンプルムース氏対ハッカー (創元推理文庫)

パンプルムース氏の晩餐会 (創元推理文庫)

パンプルムース氏とホテルの秘密 (創元推理文庫)

などあるのですが、まずは今回ご紹介した4作品を読んでみると良いです。

それでもしパンプルムース氏を気に入っていただけたのなら、続けてバンバン読んじゃってください。

何度も言いますが、推理小説ではなく娯楽小説としてのおすすめです。

お気軽にどうぞ(*´∀`*)ノ

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

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