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篠たまき『人喰観音』- カニバリズムを題材にした幻想ホラー小説の名作
分限者の薬種問屋に拾われた女、スイ。 並外れて美しく豊饒な肉体を持つ彼女は、人の形をして人にあらざる「観音様」だった。 歳を取らず、当時は珍しい肉食を行う彼女は、かつて暮らしていた村で村人たちに疎まれ、人柱として生き埋めにされた過去があっ... -
【自作ショートショート No.47】『天使になりたい』
あるところに、一人の悪魔がいた。 この悪魔は正真正銘生まれながらの悪魔であり、これまで何百年間も、悪魔らしく生き、悪魔らしく働いてきた。 悪魔の仕事と言えば、もちろん人間の世界に紛れて悪さをすることだ。 人間が急いで探しものをしている時に、... -
浅倉秋成『ノワール・レヴナント』- すべての偶然が必然に変わる!伏線が秀逸な群像青春ミステリ
ある奇妙な能力を持ってしまった4人の高校生たち。 「他人の背中にその人の『幸福度』が見えてしまう」 「本の背をなぞっただけで中身を記憶してしまう」 「毎朝5つだけ、今日聞くことになるセリフを予言してしまう」 「念じることで触れたものを破壊して... -
【2022年版】このミステリーがすごい!ベスト10紹介【海外編】
さて、2022年版このミステリーがすごい!ベスト10の海外編です。 今回はどんな作品がランクインしたのでしょうか! 早速見ていきましょう(*'▽'*) 国内編はこちら! https://300books.net/konomisu2022-kokunai/ 【1位.アンソニー・ホロヴィッツ『ヨ... -
【2022年版】このミステリーがすごい!ベスト10紹介【国内編】
さて、この季節がやってまいりました。 このミステリーがすごい!ベスト10、2022年版国内編のお時間です。 はたして今年はどんな作品が選ばれたのでしょうか! 早速見ていきましょう(*'▽'*) 海外編はこちら! https://300books.net/konomisu2022-ka... -
【自作ショートショート No.46】『ロボット介護士』
高齢化が進む時代。 若者が減った代わりに増えたものがある。 それはロボットだ。 ロボットはさまざまな分野で活躍するようになり、人類を労働から開放した。 それは介護士業界でも同じことが言えた。 介護士業界の仕事は、すべてロボットが担うようになっ... -
『天の川の舟乗り 名探偵音野順の事件簿』-人気短編推理小説、待望の第3弾!
第24回メフィスト賞を受賞された北山猛邦氏が手掛ける、名探偵音野順の事件簿シリーズ第3弾。 前作から10年の時を経ての刊行となります。 この物語の主人公は、非常に気が弱い名探偵の音野順。 そして、その主人公を支える助手兼ミステリー作家の白瀬白夜... -
【自作ショートショート No.45】『地球をキレイに』
人類の発展に比例するように、地球の環境は悪化の一途を辿りつつあった。 工場や自動車は汚染物質を大量に吐き出し、海に漂う石油やプラスチックゴミは生態系を乱す。 人々は毎日のように物を作り出し、それらはいずれゴミとなる。このままでは地球の汚染... -
2021年はこのミステリーが面白かった!私のベスト30
2021年もたくさんの小説を読ませていただきました。 今回はその中で、特に面白いと感じたミステリー小説をベスト30にまで絞ったのでご紹介させてください。 「このミステリーがすごい!」の自分版のようなものです。 ランキングではないのでご了承下さい。... -
【自作ショートショート No.44】 『見習い天使の失敗』
エンゼはこれまでニ度の天使昇格試験に失敗した、落ちこぼれの見習い天使だ。 そして今回が三度目となる試験である。 次こそは絶対に合格してやると、勢い勇んではるばる人間たちの暮らす下界へとやってきたのだが—— 「久しぶりの下界だなぁ。前に来たのは... -
『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』- 本当に「怖い」ものを教えてくれるホラーの宝箱!
「新本格」ブームの火付け役と言われた綾辻行人先生、『リング』・『らせん』などの作品があまりにも有名過ぎる鈴木光司先生、ホラーアンソロジー『異形コレクション』を監修している井上雅彦先生など、豪華すぎる顔ぶれのオムニバス、『再生 角川ホラー文... -
【自作ショートショート No.43】『理想の惑星』
「艦長、そろそろ目的の惑星に到着します」 「うむ。事前調査では、特に危険はなさそうだったが、何があるか分からない。無事に着陸するまで、気を抜かないでくれたまえ」 「了解!着陸準備に入ります!」 一隻の宇宙船のコクピットでは、若い操縦士とあご... -
『アルファベット荘事件』- トリックメーカー北山猛邦さんが贈る幻想本格ミステリ!
巨大なアルファベットのオブジェがいたるところに置かれた『アルファベット荘』。 岩手県の美術商が所有するその屋敷には、オブジェの他に『創生の箱』と呼ばれるものが置いてあった。 『創生の箱』を所有したものはみな死ぬという不気味な伝説を持つ箱。 ... -
白井智之『死体の汁を啜れ』- 前代未聞の死体から始まる、新時代の本格ミステリ
豚の顔をした人間が死んでいる──。 なぜか人がよく殺されるこの町では、異常すぎる死体が発見される。 豚の頭を被った死体、頭と手足を切断された死体、胃袋が破裂した死体、死体の腹の中の死体……。 これらの事件の謎を解くのは、推理作家や悪徳刑事、女子... -
【自作ショートショート No.42】『世紀の大発見』
レガ氏は考古学者を生業としており、フィールドワークとしてこれまで数えきれないほどの発掘調査に携わってきた。 しかし世紀の大発見などなかなかあるものではない。 いつか歴史を覆すような発見をしたい、そう思いながら今日も退屈な発掘作業を行ってい... -
伴名 練『なめらかな世界と、その敵』- 幻の人気SF作家が満を持して登場!
伴名練先生は幻のSF作家である。 そう言われていた理由は、なんとこの先生は同人誌に掲載すると話題の作家だったのです。 作品のほとんどが同人誌に掲載されるため入手が難しいという事で有名で、伴名先生の作品欲しさに年に一度のイベントに参戦する熱... -
【自作ショートショート No.41】『善行ポイント』
自分のことだけを考える人間が少しずつ増えてきて、だんだん世の中がギスギスしてきていた。 犯罪も増えており、些細な喧嘩は毎日のようにあちらこちらで起こっている。 そんな世の中を憂えた政府は、善行カードなるものを作り、国民に配布した。 このカー... -
『真っ白な嘘』-新訳版が登場!『後ろを見るな』だけは、必ず最後にお読みください。
ショートショートの名手であるフレドリック・ブラウンにより書かれ1962年に出版された短編集。 江戸川乱歩が編集したアンソロジー「世界推理短編傑作集」にも選出された「危ないやつら」など、確かな読み応えの短編ミステリが18篇収録されています。 「笑... -
似鳥鶏『推理大戦』- 世界最強の名探偵は誰だ?
「推理ゲームの勝者に聖遺物を受け渡す」──。 変わり者の富豪の発案に、世界中のカトリック教会・正教会が威信と誇りをかけて“名探偵”を送り込んだ。 アメリカ、ウクライナ、日本、ブラジル、各地で選ばれたのは、推理能力だけでなくそれぞれ「特殊能力」... -
【自作ショートショート No.40】『 囚人』
「クックック。今度の新入りはどんな奴なんだろうな。まぁどんな奴だろうが、前みたいにイビり倒してやるだけだけどな」 国の最果て、最高レベルの警備が敷かれる刑務所の一室で、見るからに悪そうな丸刈りの男が独り言をつぶやいていた。 男は数年前に殺...