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辻村深月『闇祓』- うちのクラスの転校生は、何かがおかしい。
とある私立高校に、白石要という転校生がやってきた。 クラスの委員長である原野澪は彼に学校を案内するものの、彼のおかしな距離の詰め方に驚愕してしまう。 『今日、家に行ってもいい?』といきなり言われたのだ。 その場は何とかやり過ごすものの、その... -
【自作ショートショート No.55】『宝箱』
悪魔の海域と呼ばれ、漁師から恐れられている場所がある。 この海域では船の事故が頻繁に起こっており、いつしかそう呼ばれるようになっていたのだ。 さて、そんな悪魔の海域ではある伝説がまことしやかに囁かれている。 それは金銀財宝の湧き出る宝箱が眠... -
『幸運は死者に味方する』- 閉ざされた書斎で発生した奇妙な殺人の真相とは
主人公となるのは、筋肉硬化症を患っているもののニューヨークきっての名探偵と呼ばれている女探偵リリアン・ペンテコスト。 そして、サーカス団員をしていたところをリリアンに拾われた助手ウィロウジーン・パーカー(以下ウィル)の2人です。 2人は母と... -
【自作ショートショート No.54】『感情の缶詰』
年が明けて間もない頃、世間がまだ正月気分に浸っている時にある画期的な商品が売り出された。 その名も『感情の缶詰』。 何でもこの缶詰には喜怒哀楽の感情が詰まっていて、中の空気を吸い込むだけでその気持ちになれるという。 喜の缶詰ならば明るい気持... -
『マハラジャの葬列』- 豪華絢爛なインドの宮殿で起こる殺人事件
舞台は1920年、当時イギリスの支配下に置かれていたインド、サンバルプール。 この藩王国は小さいながらも世界でも有名な裕福な王が治めていました。 イギリス人である主人公のサミュエル・ウィンダムはインドで警部として働いていましたが、目の前でその... -
『カルカッタの殺人』- 新感覚!インドを舞台にした歴史ミステリー小説
物語の舞台は今より100年以上前のインド。 当時のインドはイギリスに統治されており、主人公のサム・ウィンダム警部はそんなイギリスからインドにやってきたばかりの警部です。 インドではイギリス人が大きな顔をして闊歩しており、現地のインド人は差別的... -
【自作ショートショート No.53】『正しい行き先』
「あら、お父さんどこ行ったのかしら。大変、探しに行かなくちゃ」 リョウコはごく一般的な主婦だったが、父の認知症が分かってからは一緒に暮らすようになっていた。 幼い息子の育児だけでも大変なところへ父の介護まで加わって、毎日息つく暇もない。 「... -
ジョン・ヴァーチャー『白が5なら黒は3』- 米国の黒人差別について深く切り込む話題作
舞台は今から20年あまり前のアメリカ、ピッツバーグ。 人種差別の問題が世間をにぎわせている中、主人公のボビーは自身に黒人の血が流れていることを隠して生きていました。 白人として暮らすボビーの前に、かつての友人アーロンが現れます。 彼は刑務所か... -
【自作ショートショート No.52】『身代わりロボット』
ある国でロボットの研究をしているこの博士には、特別苦手なことがある。 それは、他人とコミュニケーションをとること。 彼は、人と面と向かって話すのが昔から大の苦手だったのだ。 そんな博士には、大きな困りごとがあった。 それは、研究資金の援助を... -
『狩られる者たち』- 前代未聞のスウェーデンミステリーの続編が登場!
舞台はスウェーデン。 あたり一面を雪に覆われた病院で目を覚ました主人公は、自分の名前が「サム・べリエル」だということ以外の一切の記憶を失っていました。 病院内の様子から自分が監禁されていることを知ったサムは、なんとかその病院から脱走するこ... -
『時計仕掛けの歪んだ罠』-スウェーデンNo.1ベストセラーの傑作犯罪サスペンス
主人公の警部サム・べリエルは、連続して起きている少女失踪事件の捜査をしていました。 少女の目撃情報があった民家へ突入するベリエルたちですが、室内にはもう誰もいません。 もぬけの殻の地下室は迷路のような構造になっており、穴倉からは異臭と血液... -
【自作ショートショート No.51】『遭難』
まさか自分が遭難するとは夢にも思わなかった。 いや、思ったことはある。 小説や映画のように、前人未到の孤島に難破して、大自然を相手に悪戦苦闘しながらサバイバルして生き抜く妄想を。 実際には苦難の連続であろうが、どこかそういった行為にあこがれ... -
『ナイトメア・アリー 悪夢小路』- 特異な世界観で魅了する闇色のカルト・ノワール登場!
主人公のスタン・カーライルは巡回の見世物小屋でマジシャンとして働きながらギリギリの生活を送っていました。 彼には成功して大金を掴むという大きな野望がありますが、どうすることもできない現状にやきもきしています。 そんな中同じ見世物小屋に属し... -
【自作ショートショート No.50】『生物学者エス博士の発見』
「これが例の魚ですか?」 「えぇ」 エス博士は水槽を漂う魚を眺めつつ、取材に来た科学雑誌の記者に答えた。 「ここにプラスチックゴミを入れると……」 エス博士がプラスチックゴミを水槽に投げ入れる。 たちまち魚が群がり、みるみるうちにゴミは消えてい... -
クローズドサークルミステリー小説おすすめ50選
クローズド・サークル(closed circle)とは、ミステリ用語としては、何らかの事情で外界との往来が断たれた状況、あるいはそうした状況下でおこる事件を扱った作品を指す。 過去の代表例から、「嵐の孤島もの」「吹雪の山荘もの」「陸の孤島もの」「客船... -
ギヨーム・ミュッソ『夜と少女』- 25年前の少女失踪事件の真実とは?
主人公のトマは現在ニューヨークで小説家として多忙な日々を送っていました。 そんな彼の元に、南フランスのコート・ダジュールニアル母校の名門高校で創立50周年の式典がおこなわれるという知らせが入ります。 その式典を最後に体育館は改築されるという... -
【自作ショートショート No.49】『ある怪盗の悲劇』
どんな時代、どんな国にも、他人から金や物を盗むことを生業にする、迷惑な泥棒が一定数は存在するものだ。 そんな泥棒の中でも、世界的に価値のある絵画や装飾品などを狙う大泥棒のことを、人々は怪盗と呼ぶ。 この国でも、Kと呼ばれる怪盗が巷を騒がせ... -
『ヴィンテージガール』川瀬七緒さんによる、仕立屋目線の一味違うミステリー
高円寺の南商店街で仕立屋を営んでおり、腕利きの職人と企業を引き合わせるブローカーの2つの顔をもつ主人公・桐ヶ谷京介。 そんな桐谷はある日、テレビで放送されていた公開捜査番組にて、10年前に身元不明の少女が殺害された未解決事件を目にします。 そ... -
【自作ショートショート No.48】『空飛ぶ泥棒』
ドロンは金に困っていた。 情けないことに明日の食事にも事欠く有様で、今朝から何も食べていない。 「ちくしょー、腹減ったな」 ぐぅっと大きな音を立てる腹をさすりながら、ドロンはそっと辺りを伺う。 「今夜はどの家を狙おうか」 そう、彼の職業は泥棒... -
ロバート・クレイス『危険な男』- クールな主人公が大暴れするアクション小説!
主人公のジョー・パイクは現在私立探偵として生活していますが、もともとは海兵隊、そして警官といった経歴を持っています。 そんな彼はある日たまたまイザベルという女性の誘拐現場に遭遇します。 持ち前の身体能力でイザベルを救うことに成功したジョー...