折原一(おりはらいち)さんといえば『倒錯のロンド』『異人たちの館』『倒錯の死角』など、数多くの名作ミステリを書かれています。
ミステリー小説を読むにあたって絶対に外せない作家さんの一人です。
私も大好きで、「やられた!」感を味わいたいなら折原一さんの作品を読んでおけば間違いないよ!と言いたいです。
そんな数ある折原一さんの名作のなかで、個人的にも好みなのが『天井裏の散歩者-幸福荘殺人日記(1)』という作品。
こんなにも面白いのに、折原一さんの作品の中ではやや知名度が低めな印象を受けます。
というわけで今回は『天井裏の散歩者』について簡単にご紹介させていただければと思います(・´艸`・)
折原一『天井裏の散歩者』幸福荘殺人日記①
舞台となるのは「幸福荘」という古びた二階建てアパート。
この「幸福荘」にはミステリ作家の大御所・小宮山泰三(こみやまたいぞう)が住んでいて、「幸福荘」に住むことは作家を目指す者たちにとっての憧れとなっています。
そしてそこに運良く入居できることになった一人の男が、幸福荘にやってくるところから物語は始まります。
男が自分の部屋に入ると、そこには小宮山先生に貸し出してくれたワープロが置いてあった。
しかも、そのワープロにはフロッピーがすでに差し込んである。
ワープロもフロッピーも用意してくれているとは!なんて小宮山先生は素晴らしいんだろう!!
と思って男は意気揚々とワープロのスイッチをオンにした。
すると、ワープロには〈文書1〉から〈文書6〉までの小説のようなものがすでに入っていたのです。
興味を持った男は〈文書1〉から読んでみると、そこには「幸福荘」を舞台にした驚くべき物語が描かれていた。。

というように今作は、すでにワープロに書かれていた〈文書〉をメインに構成されています。
一つの文書に一つの事件があり、まるで連作短編集のような感じで楽しめますね。
〈文書〉の内容は、幸福荘の202号室に住む人気美少女作家「南野はるか」を巡った男達の物語です。
彼女の美貌に魅せられた男達が、なんとか彼女を自分のモノにしようと奮闘するが、、という感じですね。
分かっていても、面白い。

折原一さんは「叙述トリックの名手」とも言われており、折原さんの作品の多くには叙述トリックが施されています。
そして、当然この『天井裏の散歩者』にも叙述トリックが仕掛けられています。
ここがまた面白いところで。
叙述トリックがメインのミステリー小説は数多く存在しますが、作品によってはこの「叙述トリックが仕掛けられている」という事自体がネタバレになってしまう事が多くあるんですよ。
ミステリー小説を読み慣れている人だと、それだけでメイントリックが分かっちゃったりするんですよね。
でも、『天井裏の散歩者』はあらかじめ「叙述トリックがある」と分かっていても問題なく楽しめてしまうんです。
なぜなのか。
それは読んでからのお楽しみです(*´艸`)ふふふ
非常に読みやすいライトミステリっぽいけど、、?

この作品は折原一さんの作品の中でもかなりライトな方です。
重々しい雰囲気がなく、どの〈文書〉にもユーモアが溢れているので楽しく読むことができます。
正直わたしも途中までは「うーん。折原一さんにしてはライト過ぎるし、トリックも大したことないなあ」なんて思っていました。
そう、途中までは。
しかし後半に差し掛かった時、
ん、何かがおかしいぞ、と何か心がザワザワし始めます。
そしてページをめくる手が止まらなくなると共に、二転三転する展開に何が何だかわからなくなってくるのです。
あれ、今自分は何を読んでいるんだ?!、と。
そして結局はまんまと折原ワールドに引き込まれちゃうわけですよ。あっぱれヽ(´∀`*)ノ
最後までユーモアの詰まった楽しいミステリ!

この『天井裏の散歩者』はミステリーの「驚き」と、小説としての「楽しさ」の両方が存分に味わえるようになっています。
騙される快感はもちろんの事、「最後までキッチリ楽しませてくれる面白い作品だなあ」と心底思いました。
折原一さんの他の名作とはまた違った雰囲気ですが、このようなユーモアたっぷりの作品も大好きです。
改めて言いますが、途中までは「なんか普通のライトミステリーだなあ」って感じなんですよ。
でもそこで読むのをやめないでくださいね。
終盤あたりから、ああ!やっぱり折原一さんだ!ってなりますから(●´U`●)
ちなみに続編『天井裏の奇術師 幸福荘殺人日記(2)』もありますよ!
『天井裏の散歩者-幸福荘殺人日記(1)』を面白いと感じていただけたなら、間違いなく楽しめる続編となっておりますのでぜひお忘れずに(●>ω<)っ
先日紹介してもらった「ユーモアミステリー」早速、読んでみました!。
●天井裏の散歩者/折原一
そうそう、こういうミステリーが読みたかったんですよね。
最初から最後までユーモアあり、バカミス一歩手前のギャグあり(笑)、で大いに笑わせてもらいました。
すったもんだの末に辿り着いた着地点には、「なるほど!」と思わず納得。作者はコレがやりたかったんですね~。
●腕貫探偵/西澤保彦
こちらもユーモアいっぱいで、楽しませてもらいました。
特に、どこにでも現れる理不尽さと、相談の途中でいきなり打ち切る「では、次の方どうぞ」のマニュアル対応(笑)には、思わず笑ってしまいました。
とっても楽しい読書タイムを提供して下さり、ありがとうございました。
おお!早速読んでいただいたのですね、お早い!
天井裏の散歩者、良いですよね。笑いもありながら「どうなるの?!」という展開からのあの着地。
折原さんがやりたいことを思うぞんぶんやっている感じがまた楽しい。
腕貫探偵もユーモア満点ですよね。私もなんどもニヤけたことがあります。
いえいえ〜こちらこそ読んでいただいてありがとうございます!とても嬉しいです(ノω`*)