林泰広さんという作家を知っていますか?
発売された小説は3冊(2021年3月現在)で、1つ目の単行本発売から2作品目までがなんと15年も開いているという変わった経歴をもつ方です。
その林先生の最新作が『オレだけが名探偵を知っている』です。
実はこの作品は、人によってかなり評価が分かれるという面白い作品です。
突飛な内容とその真相、そして名探偵についての在り方など様々な謎をはらんだ非現実的な不思議作品として話題に。
正直すべての人に刺さるような作品ではないかもしれませんが、林先生の不思議なワールドにのめり込んでしまった人は、過去作も全部読みたくなる今までにない魅力を持った作品となっています。
この記事では『オレだけが名探偵を知っている』の魅力や口コミなどを詳しくご紹介いたします。
林 泰広『オレだけが名探偵を知っている』のあらすじ
会社のとある都合により、連絡が一切取れず行方がわからなくなった義兄である新川昭男。
そんな昭男について調べを進める刑事であり義弟である秋山と、天才ハッカーであるドッグスターは、昭男を含む会社の幹部候補の五人ととある名探偵が、ある謎の場所にいるとわかった。
それは、彼が重役を務める会社である「ブッシュワッカー」。
この会社の地下には巨大な迷宮があり、その中に昭男はいるらしい。
しかもその中で自分たちの将来に関わる試験を受けているというのだ。
作品は2つの視点から描かれる。
1つは会社の外側であり我々と同じ外の世界から。秋山達が昭男に会うために開けなければならない『開かずの扉』がある。この攻略模様。
そしてもう1つは『開かずの扉』の内側。昭男たちや名探偵が中にある不思議な巨大迷宮をめぐって描く恐怖の内容。
何重にも封印された「巨大な密室」を舞台とした、スリリングなゲーム。
開かずの扉の中で起こる不可解な出来事の理由はなんなのか。このゲームの理由は。
罠と真相が交差する新感覚のミステリ。本当の名探偵とは一体誰なのか。
なぜ開かずの扉の警備が妙に杜撰なのか。どうして迷宮密室で『そして誰もいなくなった』のか。そして誰が名探偵なのか。
あらすじを少し紹介しただけでもかなり不思議な世界観だという事がわかります。
巨大な密室と変わった設定のストーリーに是非のめり込んでいただけたらと思います。
林 泰広『オレだけが名探偵を知っている』の口コミ【読者の感想】
それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。
『ハチャメチャなストーリー展開です。
面白いと思った人には刺さる作品。私は楽しく読みました。
この本を楽しんで読むコツは、細かいことを気にせず、謎を謎と思って不思議だな、と純粋な気持ちで読むことです。ミステリとエンターテインメントを融合させたある意味問題作ですよ』
『とても特殊なミステリ作品です。視点が二つあり、それぞれの描写が面白く感じました。
「名探偵っていったい何なのか」という謎を考えさせられる作品です。
現実味のないストーリー展開ですが、それはこういう作品なんだ、と割り切って読めば楽しめる小説だと感じます』
『好き嫌いはわかれる作品です。
本格的なミステリ好きよりも、何か突拍子もない今まで読んだことの無い作品を読みたい方向けです。マフィアのような無法地帯な密室において様々な謎と立ち向かうようなイメージで読めばなるほど、と思えるかもしれません』
『ミステリとしてのミスリードや作者の手中に転がされていた感じはもちろんあったが、それよりも特殊な内容にただただ驚かされた。
現実味を求め、ミステリ作品が読みたい!という方よりも、不思議だったなぁ、と思える作品を求めている方向けかなと感じる』
どの方も、「不思議」「特殊」「謎」というレビューが多かったです。かなり好き嫌いはわかれそうな作品ではありますが、それだけ新しい風を吹かせたような内容となっているのは間違いありません。
SFや非現実的な内容で現実世界から本の世界に入り込みたい方には是非お勧めします。
後期クイーン問題にもかかわる「名探偵とは何なのか」を提唱する不思議作品
ミステリ好きの間でよく持ち上がる「後期クイーン問題」。
作中で探偵が提示した解決が本当の解決なのかは作中で証明できないこと、そして作中で探偵がまるで神様のようにふるまい、犯人ならびに登場人物の運命を決定することについての是非。
この作品も「結局名探偵って何だったの?」と問いかけてくる作品のため、この後期クイーン問題にも少し触れている作品です。
その割にはストーリー内容はあらすじでご紹介した通り、どこからどう見ても現実的とは思えず、本当に不思議な今まで見たことの無いような作品となっています。
そのため、この作品は深く考えなくてはいけないようで考えない作品でいいと思います。
例えばアメリカのアクション映画などは、大筋の物語はありますが、音を立てて崩れるビルやすんでのところで敵の攻撃をかわす主人公の華麗な身のこなしを目当てに鑑賞します。
そのような作品として楽しめば、「不思議で面白い作品だった」と完結できるのではないでしょうか。
様々な意見や感想が飛び交う不思議な作品である『オレだけが名探偵を知っている』に是非一度挑戦してみてください。
クセになると抜けられませんよ〜(*’▽’*)
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