知念実希人『屋上のテロリスト』発売-東と西に分離した日本で、少女はテロを企てる

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昨日4月11日に知念実希人(ちねんみきと)さんの『屋上のテロリスト』が発売となりました!

知念実希人さんといえば『天久鷹央の推理カルテ』シリーズや、『優しい死神の飼い方』など好きな作品が多くて、前々から楽しみにしていたんですよね〜。

しかも今回は医療でもミステリでもなく〈傑作エンターテインメント〉だというんですからワクワクが止まりません。

早速読ませていただいたのでちょっとご紹介させてくださいな(* >ω<)

 

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目次

『屋上のテロリスト』あらすじ

今作の舞台となる日本は、〈壁〉によって西日本と東日本の二つに分離されています。

広島、長崎に原爆が落とされても降伏しなかった日本は、三発目の原爆を新潟に落とされ、さらに東京に四発目を落とされそうになるところでようやく降伏。

そのことをきっかけに日本は東と西に分裂してしまったのでした。

西日本共和国と東日本連邦皇国。太平洋戦争を境に分裂された二つの日本。その国境には、巨大な『壁』が建ち、本州を縦に切り裂いている。

西日本側の群馬、埼玉、東京と、東日本側の福島、栃木、茨城、千葉の間、数百キロにも及ぶコンクリート製の巨大な壁は、山間部にある低い部分でも五メートル以上あり、千葉県と東京都の境のような、互いの国の重要な都市が隣り合っている場所では、その高さは二十メートルに及んでいた。

P.13.P.14より

さて、時は2017年。そんな日本の西に属する高校に通う主人公・酒井彰人(さかいあきと)は、校舎の屋上から飛び降りようとしていました。自殺する気満々です。

しかしそこに現れたのが今作のテロリスト・佐々木沙希(ささきさき)。彰人と同じ高校に通う不登校児です。

彼女に話しかけられた彰人は一旦飛び降りを中断。そして沙希からある相談を持ちかけられます。

「そうだ。君さ、バイトする気ない?」

P.23より

バイト?これから死のうとしている人間に?

しかし死ぬことを恐れていない彰人が、これから行う計画にピッタリなのだと言います。

沙希という少女は、一体これから何をやるつもりなのでしょう。

壁をぶっ壊せ!

タイトルからわかる通り、沙希が行うのはテロです。

表紙のイメージからして、学校を舞台にした「テロリストっぽいこと」をする青春ものかと思ってました。文化祭を乗っ取ってやろうぜ!みたいな。

 

でも違いました。

ガチのテロリストでした。

 

今の日本に不満だらけの沙希は、日本をぶっ壊そうとしています。リセットしちゃいたいんだそうです。あら怖い。

しかし、女子高生である彼女に何ができるというのでしょうか?

と、思っていました。私も、彰人も。

ネタバレしちゃうので詳しくは言えませんが、彼女はただ者ではなかったんです。

良き青春エンターテインメント

テロリスト小説、というと「重苦しい」とか「複雑で読みにくい」とかの印象を受けそうですが、今作に関しては全くそんなことないです。

まず〈知念実希人さんの文章がとても読みやすい〉ということ。

一度でも知念さんの作品を読んだことがある方はわかるかと思いますが、ほんと流れるようにスラスラ読めます。今回は2時間ほどで一気読みできました。

そして何より沙希のキャラが良い。

彰人と同じくわたしも沙希に翻弄されまくりでした。で、これが面白いポイントですね。

主人公と同じ立場になった気分で沙希に振り回されるのが楽しいんです。

帯に「あなたは100回騙される!」なんて書いてありますが、100回とはいかないものの「おいおい沙希ちゃんやってくれるねえ!」みたいな展開が何回もありました。

・彼女は一体どんな計画を企てているのか?

・その計画は成功するのか?

・沙希に翻弄される彰人の運命は?

という点にも注目しながら、ぜひ楽しんでいただければと思います(゚∀゚*)

おわりに

さすが知念実希人さん。安定の読みやすさと面白さでした。

『天久鷹央の推理カルテ』や『優しい死神の飼い方』などのミステリも好きでしたが、知念さんはエンターテインメントもお上手ですねえ。

お話の組み立て方もしっかりしていて、終盤で「ああ、だからあの時!」みたいな伏線の発見が楽しめました。

読後感も良いのでぜひお気軽にどうぞ〜(´∀`*)

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この記事を書いた人

年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)

コメント

コメント一覧 (5件)

  • どうもでーす。
    いやあー、目の毒とかいいながらまた、blog見にきちゃいましたw
    あ、そしてさっそく面白そうですね。
    知念さんは、お名前は知っていたのですがきちんと読んだことないので、この本から読んでみようかなあーo(^-^o)(o^-^)o
    気になったら読む運命ですよねぇっ!…orz

    • hitomiさんどーもです(*´∀`*)
      いつもありがとうございます。笑
      知念さんの作品はやはり「読みやすい」というのがありがたいです。それでいてストーリーもちゃんと面白い。
      もし初めてでしたらこの作品でも良いですし、『天久鷹央の推理カルテ』か『優しい死神の飼い方』も最初の一冊におすすめです。
      その通りです!気になったら読む運命です!諦めてください(ノ∀`笑

  • hitomiでーす。
    この作品じゃないのですが、知念さん、初読みました。
    螺旋状の手術室。
    知念さんいいですね!
    他もいってみようと思います。
    ↑の私のコメント、気になったら読む運命とか言ってもう!(笑)

      • 合言葉は「気になったら読む運命」ですね。笑
        おお、螺旋の手術室を読まれたのですね。螺旋の手術室は、知念さんの作品の中でも特に面白い方だと思います。
        知念さんはたくさん作品を書かれているので(ペースが早い)、そのぶん面白い作品も多いですが、他には『優しい死神の飼い方』とその続編の『黒猫の小夜曲』がイチオシだったりします。
        hitomiさんならきっと気になっていただけるはず!笑

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