国内ミステリー小説

『法月綸太郎の消息』-法月綸太郎 VS ホームズ、ポアロ。

新本格派ミステリーの第一人者としても名高い法月綸太郎。

今回は法月先生の代表作でもある人気シリーズの最新刊をご紹介します。

 

法月先生は推理作家であるエラリー・クイーンの熱狂的大ファン。

そのため第2作『雪密室』から、主人公の探偵役に法月先生と同名の推理小説家を、父親に刑事を据えるというシリーズのメイン人物はクイーンの小説からヒントを得ています。

今回もそのシリーズになるのですが、今回はミステリファンならだれでも一度は通るあの有名作品にも触れていて・・・!?

それでは詳しくご紹介いたしましょう!

法月綸太郎『法月綸太郎の消息』あらすじ

今回の小説は4つの短編集になっています。
それぞれのタイトルはこちら。

・白面のたてがみ
・あべこべの遺書
・殺さぬ先の自首
・カーテンコール

それぞれのあらすじをご紹介いたします。

白面のたてがみ

飯田才蔵というよろづライターから呼び出しを受けた綸太郎。

以前の事件で関わった(魚座 引き裂かれた双魚)堤豊秋の没原稿のコピーを手渡される。

その内容は、ホームズ愛好家団体からの講演依頼の草稿のようだった。

しかしその講演自体が中止になっていたため、この原稿は全く表には出ていない内容だった。

コナンドイルが心霊主義になっていった時代に発表された2つの作品「白面の騎士」と「ライオンのたてがみ」について、ドイルの医学生時代の恩師であったジョゼフ・ベル博士の霊が出現したという新たな解釈がなされた内容だった。

しかしこの草稿のラストには奇妙な書き込みが。

それは、ダーウィン・フィッシュと呼ばれる魚に足が生えたような独特なイラストと「星が月になる?」という走り書きだった。

謎が謎を呼ぶこの奇妙な書き込みと草稿のコピーを託された綸太郎は、「白面の騎士」「ライオンのたてがみ」についての新たな解釈をすることに・・・。

 

ホームズを読破している読者であればより楽しめる内容となっています。

また、コナン・ドイルの伝記などを知っているとさらに深みを感じることが出来ます。

こちらの作品のみ完全書下ろしとなっています。

あべこべの遺書

都内で二人の人間が相次いで不審な死を遂げた事件。

ひとりは転落死、もうひとりは服毒死だった。

これだけだとあまり問題にもならないのだが、何もかもが「あべこべ」になっている奇妙な事件だったのだ。
まずはそれぞれの現場にあった遺書。

手書きのものだったのだが、双方の遺書が入れ違って「あべこべ」になっていた。

また、調査してみると二人が死んだ場所も「あべこべ」。どちらも相手の自宅で死んでいたのだ。いったい何が起こったのか?

 

手に入れた情報のみで解決する安楽椅子探偵形式の秀作!

初出は『7人の名探偵 新本格30周年記念アンソロジー』という、様々なミステリ作家が集まったアンソロジーです。

そのため短編になりますが、ピリリといい味を効かせたストーリーです。

殺さぬ先の自首

法月警視がどうも浮かない顔をして帰宅をしたため、綸太郎は気になり話を聞き出す。

すると、法月警視が説明を始めた。内容は二週間ほど前に人を殺したといって自首してきた男について。彼の名前は棚橋洋行といった。

彼は病気で亡くなった妻の復讐のためギャラリーのオーナー・藍川佐由美を藍川の自宅マンションで背後からガラスの文鎮で殴りつけて殺害したと自供してたらしい。

だがしかし、警察官はギャラリーに連絡を取ったところ、なんと藍川は生きていた!質の悪いいたずらにも思われたが、殺したと言った相手が生きていたのなら棚橋には罪はない。警察は棚橋を追い返した。

そして5日前、つまり棚橋が自首してから約一週間後、藍川がギャラリーで殺害されているのスタッフである義理の娘が発見。凶器はかまぼこ型のガラスの文鎮だった。

そこで警察は棚橋に確認。ところが棚橋は妙なことを供述したのだ。

棚橋曰く、犯行に使ったのは妻からプレゼントされた羊羹型の特注の文鎮であり、かまぼこ型のガラスの文鎮ではない。

さらに、すでに藍川は自分が殺している。そして藍川の遺体は山に捨てた。同じ人を2度も殺すことはない、と。

 

こちらも安楽椅子探偵ものですが、法月先生は『あべこべの遺書』で締め切りに追われて自分が納得いく素晴らしいものを作れなかったことに後悔が残ったらしく、リベンジのためにこの作品を書いたそうです。

カーテンコール

綸太郎はミニシアター系の人気劇団「アルゴNO.2」のロザムンド山崎と細川畝明に呼び出された。

理由は人気脚本家である新堀右史による舞台、アガサクリスティーの名作ポアロシリーズの1つである、「象は忘れない」の推理監修を依頼されたからだ。綸太郎はこれを引き受けた。

ロザムンドはオリヴァ夫人役を、細川はポアロの助手であるジョージ役を務める。

今回の舞台はポアロ最後の事件となる「カーテン」の前哨戦としてのものだが、ポアロにはアシルという双子の兄弟がおり、ジョージはポアロの甥という設定が加えられるらしい。

原作の「ビッグ4」でアシルの存在に疑問を持つ綸太郎。そこで綸太郎の発案で新堀、ロザムンド、細川、綸太郎の4人は「アシル・ポワロ」の存在の有無について勉強会兼話し合いを行うことになった。

ところが、当日新堀がインフルエンザにかかり欠席となってしまい、代わりに「国際クリスティー評議会」の富田が参加。

この富田の前で綸太郎を含む新堀以外の3人が「アシル実在説」について発表していくことになる。

 

この作品ではアガサクリスティーの作品の謎に迫るという事ですが、ここで著者としての法月先生の才能が遺憾なく発揮されています。

それが評論家としての顔。アガサクリスティーの作品をもう一度読みたくなる作品です。

法月綸太郎『法月綸太郎の消息』の口コミ・感想【読者の感想】

ではここでこの作品の読者の感想をご紹介します。

 

『どんでん返しの連続といった印象を受ける作品です。
特に、被害者のはずの女性がまさかこうだっとは・・・などかなり驚きの連続でした。
いい意味でもう何がなんだかわからなくなってしまいます。
最後の最後まで気が抜けない作品でした』

 

『大好きな推理小説シャーロックとポアロの話を解読してくところが、とても興味深かったです。
自分とは違う見解になっていくところは納得できるところも多々あって、一気に読み切っていきました。
ギリシャ神話なども出てきて、触れたことないところだったので一緒に興味わきました』

 

『コナン・ドイルとアガサクリスティーのネタバレがあるので、まず最初に原作をしっかり読んでからの方がいいです!
しかし、読んだ人からしたら納得のいく解釈でとても面白かったです。
読み終わった後、もう一度ホームズとポワロを読んでしまいました!!』

 

ミステリ小説好きには原作のネタバレ要素も含めてたまらない作品となっています。

しかし、原作を知らないと魅力が半減してしまうともとらえられますので、まずはホームズとポワロもこの機会に読んでおきましょう!

評論家法月先生と小説家法月先生の魅力が詰まった一冊

この作品は、再考察ものが2つと安楽椅子探偵が2つという異色の組み合わせとなっていますが、それは法月先生だからこそ出来る技だと感じました。

そして、ミステリ好きをゾクゾクさせるのが得意な作家だなと改めて感じました。

安楽椅子探偵は初心者でも読みやすくすっきりとまとめられており、最初と最後が再考察もののため、間に休憩をはさむ感じでバランスが良かったです。

ミステリ初心者だけでなく、しばらくホームズやポワロを読んでいない人からもわかりやすかったという良い口コミが多かったので、まずはこの2編から読んでみるのも手です。

そして、ホームズとポワロの原作を読んでから最初と最後を読んでみてはいかがでしょうか。

再考察ものは、ミステリ小説の知識がないと苦しい展開もありますし、評論家として難しい言い回しや考えも見え隠れするので少し上級者向けに感じました。

しかし評論家としての法月先生の考察が、本の中の法月綸太郎にそのまま吸い込まれていくかのような雰囲気はさすがだと思います。

法月先生の2つの顔を存分に楽しみたい方にお勧めする一冊です。是非一度読んでみてください!

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