海外ミステリー小説

『任務の終わり』- スピーディーな展開とホラー要素の増大でミステリの新たな境地に迫るシリーズ最終巻

キングが初のミステリ作品として世に出した『メルセデス・キラー事件』にまつわる元刑事ホッジズたちの闘いがいよいよ最終局面を迎えたのが『任務の終わり』です。

シリーズ完結作とあって、前作の『ファインダーズ・キーパーズ』から待っていた人はいよいよか!と慌てて読んだのではないでしょうか。

前作の『ファインダーズ・キーパーズ』ではキングの真骨頂であるホラー要素が1作品目より見え隠れするようになり、ゾクゾク感が増した終わり方をしましたが、今作はさらにそれを上回るゾクゾク感が味わえると早くも話題になっています。

キングらしい人物の細かい描写と、凄惨な現場のリアリティさが素晴らしいと評価も高い作品です。

痛ましい事件とそれを巡る真相にたどり着くあらすじと読者の口コミを詳しくご紹介いたします。

スティーヴン キング『任務の終わり』のあらすじ

メルセデス・ベンツで群衆に突っ込み多くの死傷者を出した、『メルセデス・キラー事件』。

あの忌まわしい事件から6年が経過した。その事故の遺族や生存者はそれぞれの生活を送っていたのだが、その中でさらに痛ましい事件が起きてしまった。

生き残ったもののかなりの後遺症を負ってしまった女性がいた。

その女性の母親が被害者であった娘を殺し、そしてそのまま母親自身も死ぬというあまりにも心苦しい事件。

これだけであれば痛ましい事件で終わったのだが、この事件に関与し続けた元刑事のホッジズ、そして相棒であるホリーはこの母娘の事件現場にかなりの違和感を覚えた。

そのままさらに『メルセデス・キラー事件』の生存者について調べてみることにしたホッジズたちは、さらに関連する出来事を知る。なんと、他にも事件の生存者が痛ましい心中事件を起こしていたのだ。

しかも、当時犯人は脳神経科の病院にて入院中であり、外界との連絡手段や意思疎通は厳しい状態だった。

しかし、怪現象が起きていたのはその彼の周りでばかりだったのだ。

これは、何かの前触れだったのだ。

奇怪な行動をとる医師や看護師たち、殺人鬼の陰謀、事件現場で発見された証拠品の秘密、すべてが絡み合ったとき、物語は最終局面を迎える。

ひどく降りしきる雪の中、犯人とホッジズたちの最後の戦いが今、幕を開ける。

このシリーズの最初から付きまとう『メルセデス・キラー事件』関連の人々を巡るその後と真相、恐ろしい結末がどんどんと襲ってくるシリーズ最新作であり完結作です。

キングの初ミステリでもあったこの作品ですが、完結作である今作はホラー要素が入っているので、今までの作品のファンも楽しめる内容となっています。

スティーヴン キング『任務の終わり』の口コミ【読者の感想】

それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。

 

『読んでいてすっきりするくらいスピーディーな場面展開でテレビドラマのように進み読んでいて楽しかったです。
それでいて会話に深遠な例えが多く、キングらしさも残っています』

 

『この作品は医学や自殺など、現在のコロナ禍に通じるものが少しある、社会的な問題を問いかける作品であると私は感じた。
スティーブンキングらしいあいまいな表現が多く、理解するのに少し努力を要するが、とても読んでいて楽しい作品だと思う』

 

『メルセデス・キラー事件から痛ましいことが連続して起きているが、それが偶然なのか必然なのか・・・読んでいくうちにどんどんと真相に近づいていき、ゾクゾクしながらわくわくと読めました。
完結編ということで、すべての謎やもやもやがすっきりと晴れた感じがして、とても楽しい三部作でした。また最初から読み直して新たな考察をしてみようかなと思いました』

 

ホラーとミステリの間をいくキングの素晴らしい作品の完結作です。ずるずると何作も出すよりスパッと3作で終わるところが潔く、新規読者も入りやすいかなと感じます。
今までの謎がしっかりわかったので良かったです』

今までの2作品よりもスピーディーで良かったという意見が多かったように感じられましたし、しっかりとモヤモヤすることなく解決したのが良かったとかなりの高評価でした。

キングはミステリとホラーの足し算が素晴らしい作家

今回の三部作の最初から最後まで言えることは、キングの文章力のすばらしさだと感じます。

キングはもともとホラーの作者ということですが、ホラー作品を書く作家は、どの作品よりもその情景や雰囲気、人物の気持ちやちょっとした表情の変化をつぶさに感じられるように丁寧に執筆しなければなりません。

文章だけで人を驚かし、怯えさせるという技術はかなり難しいもののはずです。

それが出来るどころか素晴らしい作品を世に送り出してきたキングだからこそ、ミステリなのにゾクゾクしたり、事件の現場の凄惨さを手に取るように伝えることが出来、その場に私たち読者が居合わせているような、追体験のような感覚を味わわせてくれるのではないかと感じます。

さらに、まったくホラー要素を封じ込んで書いた作品ではなく、ホラーとミステリを共存させた新しい形の小説だったこともあり、キングらしさを残しつつ新たなキングを見る事が出来る新シリーズとなったのではないかと感じます。

ミステリしか読んでこなかった人たちが、キングのホラー作品に手を伸ばすこともあるでしょう。

キングは新しいジャンルを打ち出したのではないかと思います。

今後新たな作品を世に送り出すかどうかはわかりませんが、この経験を踏まえて新しいジャンルをどんどん生み出してくれるであろうキングの活躍に期待せざるを得ません。

本作『任務の終わり』を気持ちよく読んだ後は、もう一度『メルセデス・キラー事件』について最初から読み直すもよし、キングのホラー作品に挑戦するもよしです。

是非この新しいジャンルのシリーズは『任務の終わり』だけでなく、最初からしっかりと読み込んで謎解きとゾクゾクを味わってみてください。

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