今回ご紹介させていただく、二階堂黎人(にかいどうれいと)さんの『人狼城の恐怖』という作品。
ミステリ小説として面白いのはもちろんのこと、実は世界で最も長いミステリー小説なんです。
もうこれだけで読んでみたくなりません?世界最長ですよ?
ちなみにこの作品は《二階堂蘭子(にかいどうらんこ)シリーズ》の一つなのですが、いきなり『人狼城の恐怖』から読んでも十分に楽しめますのでご心配なく(●´∪`)
さて、この『人狼城の恐怖』は「第一部 ドイツ編」「第二部 フランス編」「第三部 探偵編」「第四部 解決編」の全四部作からなる物語。
文庫本にして全て合わせると大体2700ページ近くあります。
そんな長いの読めないよ!と思いますよね?
でもこれが読めちゃうんです。
ストーリーは純粋に面白いし、文章も読みやすいので意外にもスラスラ読めるんですね。「長い」のと「読みにくい」のはまた別の話なのです。
しかもちゃんとミステリー小説として面白いですからね。決してただ長いだけではないのですよ。
というわけで、「世界最長」を誇るミステリ小説『人狼城の恐怖』の感想やあらすじなどをご紹介できればとおもいます(●´∀`●)ノ
『第一部 ドイツ編』
舞台となるのはドイツとフランス、両国の国境に跨った渓谷にそびえ立つ古城「人狼城」。
そのドイツ側、《銀の狼城》に招待された10人が残忍な連続殺人に巻き込まれていきます。
閉鎖空間での殺人事件とはなぜこんなにもワクワクするのでしょうか。このいかにもミステリな設定は個人的にも大好物で、これだけで読む価値ありというものです。
舞台となる城の不気味な雰囲気、次々と巻き起こる奇妙な謎、いたるところに忍ばされる伏線の数々。気がつけばこの重厚な世界観にあっという間にのめり込んでしまいます。
そして何より城がでかい。広すぎる。
「城」という閉鎖空間でありながらこの広さ。どこまで逃げようと結局は城の中。広すぎる閉鎖空間というのが実はこんなにも怖いとは思いませんでしたよ。
ちなみに、この第一部では探偵役の二階堂蘭子は登場せず、ただただ人が殺されまくるだけです。読み終わっても大量の謎しか残りません。これ本当に全部解決するの?って思います。
独仏国境の険しい渓谷の上に屹立する双子の古城・人狼城。ドイツ側“銀の狼城”に招かれた十人の客に用意されていたのは、凄惨な殺しの宴であった。
『第二部 フランス編』
さて、この第二部ではフランス側の《青の狼城》を舞台に連続殺人が巻き起こります。
パターンは第一部ドイツ編と大体一緒です。殺人が起きまくり、謎が提示されまくるだけです。もちろん探偵もまだ登場しません。
しかし、ややこちらの方がハードな殺人ですね。オカルト色も強いですし。
この微妙な違いが面白くて、同じパターンなのに全く飽きさせないようになっているんですよね〜。
しかも、この「第二部フランス編」で行われる惨劇と「第一部ドイツ編」での惨劇は同時進行しています。
つまりドイツ編の続き、ではなく、ドイツ側《銀の狼城》の惨劇とほぼ同時にフランス側《青の狼城》でも同じような惨劇が繰り広げられているというわけです。
この構成!最高すぎますよね!
というわけで、第一部と第二部はどちらから読んでも問題ないと言われています。と、いってもやはり「第一部ドイツ編」から読むのがいいと思いますけどね(●´∀`●)
ちなみに、第一部と第二部を合わせて20人ほど死んでいます。やばいです。とんでもない大事件です。
幽玄なる山岳地帯、独仏国境の深い渓谷を挟んで対峙する双子の古城・人狼城。フランス側“青の狼城”を訪れた社交サロンのメンバーは、酸鼻極まる連続殺人の犠牲となっていく。
『第三部 探偵編』
さあ、ついに名探偵・二階堂蘭子の登場です。
しかし、一部と二部で提示された膨大な数の謎がここで解き明かされる!というわけではありません。
「第三部 探偵編」はあくまで「第四部 完結編」のための架け橋のようなもので、推理はなかなか進んでいきません。
状況整理などしながら余計に謎が深まったりして、完結編への期待がグングン高まっていきます。
いわばジェットコースターの最初のゆっくり上昇していってる時みたいな。これから一気に落下していくぞ!という感じです。
ここまでくると一刻も早く「第四部 完結編」を読みたくなって仕方なくなりますよ(●´∪`)
合計二十人もの死者を数える人狼城殺人事件解決のため、名探偵・二階堂蘭子は欧州へ飛んだ。だが、人狼城からの唯一の生還者は人格を破壊され、有力な証人は何者かによって命を絶たれていた。
『第四部 完結編』
いよいよ、この長すぎた惨劇にも終わりが訪れます。
あれだけ大量に提示された謎、絶対に不可能だと思われたアレもコレも綺麗に解決されていきます。
あの全ての謎がたった一冊で。これは気持ちが良いです。
そして何より、人狼城のあのトリックは本当にお見事でした。
いやあ、あの仕掛けと秘密は凄いです、、完全にやられましたよ。でもこのアイデア大好きです。かなり興奮しましたねえ!(≡゚∀゚≡)
確かに気軽にサクッと!という感じにはいきませんが、これだけ長く一つの作品に浸り、その分長く楽しい読書時間を過ごせたというだけでも感謝です。
『第四部 完結編』ではただひたすらに、二階堂蘭子の華麗なる推理に酔いしれましょう。
全てはこの「完結編」のために。
人狼城殺人事件の怪異に満ちた謎のすべてが、名探偵・二階堂蘭子の冷徹な論理によってついに解き明かされる。死屍累々たる惨劇の舞台“人狼城”で、蘭子を迎えた真犯人とは?その想像を絶する殺人動機とは?
おわりに
これだけ長い作品です。面白さはもちろん読み応えも申し分ありません。
読む前は「こんなに長いの読みきれるかな」と思ったものです。
しかし完結編に差し掛かった時の「もう終わってしまうのか」というあの寂しさは忘れられません。
これほど長い物語を、飽きさせることなく最後まで読ませてしまう二階堂黎人さんも凄すぎます。
「世界最長」のミステリー小説『人狼城の恐怖』。
お時間のある時にでも是非一度、この物語に足を踏み入れていただければと思います。
それでは、良い読書ライフを!(*>∀<)ノ
京極夏彦氏の作品を読むのも中々疲れますが、2700ページとは突出していますね。
ミステリー小説が好きなのでいつか読むと思います。
楽しみです。
じゃくおさん!コメントありがとうございます(。>д<) 京極夏彦さんも大変ですよね 笑。最初の頃は本当に大変でした、、 『人狼城の恐怖』を読み終えると達成感というか、もうどんな長い小説でも読める気がしてきます。 ミステリー小説がお好きならぜひいつか読んでみてくださいな(●´∀`●)ノ
はじめまして!
3年くらい前からブログを拝見しています。
豊富な読書量はもちろん、文章から小説が好きという気持ちが伝わって来て、勝手に尊敬しています!
私は読むスピードは遅いですが、本格物を中心に読んでいます。中でも米澤穂信さんや法月綸太郎さんがお気に入りです!
今回やっと人狼城を読んだので、勇気を出して書き込みました。
正直、読む前は間延びする感じがあるじゃないかと思っていましたが、そんなこと全然ありませんでした。(しかし読み終わるまで半月ほどかかりました)
トリックはたくさんありましたが、中でも城のトリックには驚嘆させられましたね!( ゚д゚)
作者はよくあんな仕掛けを考えつくな〜と思いましたよ。
なんとか見破ってやろうと頑張りましたが黎人と同じかそれ以下でした(笑)
拙い文章失礼しました。
またコメントしますのでよろしくお願いしますm(_ _)m
ShoTimeさんはじめまして!
三年前からですか!ほとんどブログをはじめた当初からじゃないですか!
うう、嬉しいです、嬉しいお言葉をありがとうございます。。。泣
米澤穂信さんや法月綸太郎さんも私も大好きです。結局本格が最高です。
わかりますわかります、あまりの長編なので最初手を出しにくいんですけど、一度読み出すと止まらない面白さを誇りますよね。
それに驚愕のトリックの数々。あれを解く方もすごいですが、考えつく作者さんの頭の方がすごいですよねえ。
私も全然と言っていいほどわからないことだらけでしたが、とても心に刻まれた作品でもあります。
ぜひぜひよろしくお願いいたします!コメントくださると嬉しいです!(*´∀`*)
人狼城は、自分の中では国内ミステリーNO,1です
これ以上贅沢な作品を知りません
因みに海外ミステリーでは「ユダの窓」が最高峰だと思います
スリルとシンプルなトリックが最高です
江戸幕兵衛さんこんばんは!
ミステリNO.1も納得の素晴らしい作品だと私も思います。
いいですねえいいですねえ「ユダの窓」。
私も海外作品ではカーが大好きです!!
とうとう全部読みました!
1、2巻と3、4巻の間があいてしまったので、結局図書館から4冊一気に借りて、解決編を読むときは前3巻をデンッと横に置いて「どこからでもかかってこい!」という万全の状態で読み始めたのですが…ものすごいトリックでした!殺人のトリックも城のトリックも一つも解けなかったです。蘭子に言われたところを読み返して「ほんまや!」の連続でした(苦笑)あまりに連続しすぎて途中からはポカーンと放心状態…(゚ω゚)
トリックは全てわかってしまいましたが、もう一度じっくり読み返してみたいミステリーです(o^^o)
さくらっころんさんおはようございます!
返信が遅くなり申し訳ございません!
とうとう読まれたのですね、この傑作を。
私もトリックなんて全然わからなくてただただ呆然とするだけでした。
これはほんとすごいですよね、そのお気持ちよくわかります!
読むのに時間はかかりますが、それでも再読したいですよね(*´ω`)