SF小説

伴名 練『なめらかな世界と、その敵』- 幻の人気SF作家が満を持して登場!

伴名練先生は幻のSF作家である。

そう言われていた理由は、なんとこの先生は同人誌に掲載すると話題の作家だったのです。

作品のほとんどが同人誌に掲載されるため入手が難しいという事で有名で、伴名先生の作品欲しさに年に一度のイベントに参戦する熱狂的なファンもいたほどでした。

そんな幻のSF作家として人気だった伴名先生が、10年目にしてようやく発売した珠玉の短編集、それが今回ご紹介する『なめらかな世界と、その敵』です。

SFやファンタジーを少ないページ数の中にぎゅっとしっかり詰め込み、今までに見たことのないときめきや夢、そして少しの甘酸っぱさや切なさを感じられる、様々なお菓子が詰め合わさったような短編集は発売される前から話題沸騰!発売後もヒットを飛ばしています。

今回はそんな『なめらかな世界と、その敵』の魅力や一部あらすじをご紹介いたします。
伴名先生の魅力をここから知っていただければと思います。

伴名 練『なめらかな世界と、その敵』のあらすじ

この本は短編集となっており、収録作は下記の通りです。

・なめらかな世界と、その敵
・ゼロ年代の臨界点
・美亜羽へ贈る拳銃
・ホーリーアイアンメイデン
・シンギュラリティ・ソヴィエト
・ひかりより速く、ゆるやかに

この中でいくつかあらすじをご紹介します。

「なめらかな世界と、その敵」のあらすじ

誰しもが考える、「今の自分じゃない自分を体験出来たら」という妄想。

いわゆるパラレルワールドの自分を体験できたらどうなのか。

様々な世界にいる様々な自分へ意識を移動できるという面白い行動が可能になった世界。

それは理想を追い求めることが出来る素晴らしい世界だが、同時に嫌なことから逃げ続け、目を背け続けることも出来る世界である。

だからこそ、人間関係は希薄になるし、「あんなこともあったなぁ」と軽く受け流せてしまう。

しかし、この意識の移動には「乗覚」というものがない人間には無理だ。

稀にそのように「乗覚」がない人間がいて、そんな人間は辛くても悲しくても同じ世界にとどまらなくてはいけない。本の外の読者のような世界。

主人公の友人もそんな「乗覚」のない人間のうちの一人だった。主人公はそんな友人を見てどう思うのか。この世界でどのように生きて行く覚悟をするのか。

主人公が様々な世界と様々な人間の心の動きに触れ、選択できる世界でどんな人生を送っていくのか。

当り前が当り前じゃない世界で、人はどのように変わるのか、小さな変化の積み重ねに注目して読んでもらいたい作品です。

「ひかりより速く、ゆるやかに」のあらすじ

入学式は 4クラス117名で迎えたけれど、卒業式はたったの1クラス2名だった。

原因は、修学旅行中のあり得ない事故。

それは、新幹線の中の時空が歪むというものだった。

簡単に説明すると、新幹線内で一秒経過するのに外では二千六百万秒を要している状況。

さらに平たく説明すると、新幹線内の時間は、おおよそ二千六百万分の一になってしまったのだ。

新幹線は、2700年後に目的地に到着する超低速列車になってしまった。

2700年後に到着しても、愛する人は皆亡くなっているし、全く知らない文明に到着してしまう。

動いていないように見える新幹線は、少しずつ前に前に進んでいる。

そして残った2名は、修学旅行を休んだ2名だった。

主人公はある思いを抱えてあえて修学旅行を休んでいた。一体彼の思いはなんだったのか。そして、決断はいかに。

主人公の切ない思いと、新幹線の謎がクロスすることで、SFの面白さと儚さを感じる事の出来る作品です。

表題作がサクッとしているのに対し、この作品は人間の深さを感じるのが特徴です。

伴名 練『なめらかな世界と、その敵』の口コミ【読者の感想】

それでは実際にこの本を読んだ方の感想や口コミをご紹介いたします。

これまで読んだパラレルワールドを扱った作品のなかでも、かなり驚かされる内容です。
嫌なことがあった時に、もしその場から逃げ出せたら、とても救われるような気もするけれど、それは果たして正しい選択なのかと考えさせられます。そして、嫌なことや辛いことがあるからこそ幸せを感じるのだということを改めて考えさせられました。
それぞれの世界に身を置かれた自分の姿を想像させられるシーンが読んでいて非常に共感できる部分が多かったです。
自分ならその時どうするのか?自分の意識の持ち方一つで色んな体験ができることの重要性を考えさせられ良かったと思います。
並行宇宙を行き来する世界での少女の友情を描く作品。SFの世界観にラノベっぽかったり、純文学だったりの文体は読み手を飽きさせない。
パラレルワールドを飛び移るような今っぽい物語は読み進めるうちに世界観に引き込まれ最後は青春の爽快感のような流れ。疾走感のある描写が読みやすかったです。
普段本を読まない私でも親しみやすく面白く感じました。
文章が良い意味で分かりやすく簡単です。小難しくなく、ストレートに面白い内容を面白いと捉える事が出来ました。
そんな中でも登場人物に感情移入をしながら私ならどうするのだろう、としっかり考えさせられる部分が多くあったのがギャップに感じ、最後まで飽きずに読み終えることが出来ました。

どの方も読みやすさや展開の面白さ、スピード感を評価していました。

元々同人誌などの短編で人気があり、力もある作家が満を持しての発売でしたが、期待を裏切らない素晴らしい作品であったと良いレビューが目立ちました。

SFに愛される短編の申し子にこれからも期待

大学在学中に応募した「遠呪」にて、角川書店主催の第17回日本ホラー小説大賞の短編賞を受賞し、ホラー作品も発表している伴名先生。

だからこそファンタジーやSFの中にもホラーというより人間の神髄に迫る薄気味悪さ、お化けや幽霊などは出てこないのにもかかわらずどこかひやりと来る展開が素晴らしく、少しのホラー要素が山椒のようにピリリと効いています。

軽めのストーリーだけど重さのある表題作からスタートし、重いのにもかかわらず読んで億劫になるところがなく、スマートにまとめられた『ひかりより速く、ゆるやかに』で後を少し引きながらも終わっていく・・・話の順番も秀逸です。

短編集となると、サクッと読みながらその作家の特徴が出やすい分野でもあるのですが、伴名先生はサクッと読めるのに長編のように考えさせられ、後に引く言葉のマジシャンのような印象を受けます。

言葉のセンスと場面展開が素晴らしく、頭の中で想像しやすいファンタジーやSFの描写は映像化しても“映える”作品となるでしょう。

そんな伴名先生の珠玉の短編集を是非お楽しみください!

ABOUT ME
anpo39
年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)
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