今回は森見登美彦(もりみとみひこ)さんのオススメ作品を。
最近『夜行』を読んだらまた森見さんにハマってしまいましてね、再読しまくっちゃいました。やっぱり何度読んでも面白いですね。なんなんでしょう。
最初は5作品に厳選しようとしたんですが、どれもオススメしたい作品ばかりで結局10作品になってしまいました。ぐぬぬ。
森見さんの作品は純粋に物語が面白いというのはもちろん、京都の魅力が存分に描かれていて楽しくなっちゃうんですよね〜。
まだ森見さんの作品を読んだことがないよ、という方はぜひ参考にしてみてくださいな(* >ω<)=3
1.『有頂天家族』
これも森見ワールド全開の京都ファンタジー。狸の家族を中心に、天狗やら人間やら織り成す「家族」の物語です。
もう単純に「面白い小説」。狸のアホっぷりがとにかく可愛いし、狸だけでなく他の登場人物も良いキャラしてるし、でも家族愛に満ち溢れていて、ついニヤニヤしてしまう。
2013年にアニメ化もしましたが、そちらも原作に引けを取らず面白いです。できればどちらも見て欲しいなあ!
ちなみに続編『有頂天家族 二代目の帰朝』も出ているので、続けて読んじゃいましょう。
「面白きことは良きことなり!」が口癖の矢三郎は、狸の名門・下鴨家の三男。宿敵・夷川家が幅を利かせる京都の街を、一族の誇りをかけて、兄弟たちと駆け廻る。
2.『太陽の塔』
自分を振った女の子を「研究」としてつけ回していた京大5回生・森本。そんな彼は、友人たちとクリスマスに向けてある計画を立て始める……。
若き男たちの暴走と妄想を描いた森見登美彦さんのデビュー作。私の大好きな青春小説の一つでもあります。
男たちのアホっぷりが実に読んでいて楽しい。ナイスおバカ。じゃあただ笑えるだけの小説かっていうとそうじゃない。物語がしっかり面白く、グイグイ読まされてしまうのです。
デビュー作の頃から森見ワールドは変わらない。
私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった!
3.『恋文の技術』
京都の大学から能登半島に飛ばされた大学院生・守田。そこで彼は、京都にいる仲間へ手紙を書きまくる。
そんな守田の書く手紙が一冊の本になってしまった!という感じの作品。
というわけで、ほとんど「守田の手紙」で構成されているわけですが、これがかなり面白いポイント。
相手からの返事の手紙は書かれていないのにちゃんとストーリーがわかるし、守田の心の中が丸わかりしてしまうから余計に楽しい。
「真面目にくだらない」という言葉がぴったりでしょうか。とにかく人にオススメしたくなる不思議な作品なのです。
京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。
4.『夜は短し歩けよ乙女』
この作品なくして森見登美彦さんを語れませんよね。森見さんの作品の中でも一番有名なのではないかな。
「黒髪の乙女」に想いを寄せる「先輩」。京都を舞台に、ちょっとファンタジーの入った世界観で繰り広げられる恋愛物語です。
でも決して「王道の恋愛小説」なんてものではないです。でも面白い。これが森見ワールドなのだ。
とりあえず読んでおいて間違いないです。私自身もう何回読んだかわからないですし、その度に面白いって思える。
ただこれが初めての森見作品!という方は、最初は独特の文体になじめないかもしれません。
でも、ちょっとだけ頑張って読み進めていきましょう。いつの間にか、物語の面白さに引き込まれ、文体にも自然に慣れてきますよ。
「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
5.『四畳半神話大系』
『夜は短し歩けよ乙女』を読んで面白いと思ったなら、この作品も続けて読んじゃいましょう。
四畳半に住む京大生を主人公とした、4つのお話からなる短編集です。短編ですが、時間を開けずに一気に読みましょう。
2話、3話と読んでいるうちにどんどん引き込まれ、全話読み終えた時に最高の快感が待ち受けています。
誰もが思ったことのある「あの時、ああしておけば……」「もし、違う選択をしていたら」。そんな物語を森見ワールド全開でお届けします。
私は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。
6.『聖なる怠け者の冒険』
これも森見さんらしい作品。
ちょっとアホな社会人・小和田君の前にタヌキの仮面をかぶった「ぽんぽこ仮面」が現れて。京都の街を追いかけまわしてさあ大変!っていう奇妙な物語。
ファンタジー感があって、夜中、布団の中で一気読みしたいタイプの作品です。安定の面白さだし、小和田君の怠け者っぷりが最高。
最初の一冊、というより、森見さんの作品をいくつか読んでいて、ある程度「森見ワールド」に慣れている方にオススメですね。
すでに「森見さんの作品が好き」という方は絶対楽しめるでしょう。
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。
7.『ペンギン・ハイウェイ』
小学四年生のアオヤマ君とちょっと不思議なお姉さんのお話。
ある日、街に現れたペンギン。さらに続く不思議な現象。アオヤマ君は自らの研究をノートに書き留めていく。
結構SF要素が強めですが、すんなりと物語に入り込めてしまう不思議。何より、ちょっと大人っぽいアオヤマ君がとても魅力的なのです。
SFはあくまでサブ的要素で、アオヤマ君の冒険小説であり成長記という感じ。ラストの余韻が何とも、素晴らし。
小学四年生のぼくが住む郊外の町に突然ペンギンたちが現れた。この事件に歯科医院のお姉さんの不思議な力が関わっていることを知ったぼくは、その謎を研究することにした。
8.『きつねのはなし』
ホラー、あやかし、不思議、奇妙、幻想。そんなキーワードがぴったりな4話からなる短編集です。
森見さんといえば『夜は短し歩けよ乙女』や『四畳半神話大系』、『太陽の塔』などのイメージがあったため、初めて読んだ時は「うおお、こんなタイプの作品も書かれるのか」とちょっとビックリしました。
でも私、この妖しい感じが大好きなんですよ。しかも京都の雰囲気にバッチリ合っていて。京都ってなんかこんなこと起こりそうですもん。
通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという“家宝”を持った女が現われて(「水神」)。闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。
9.『宵山万華鏡』
この一冊で森見ワールドが存分に堪能できる中編集。個人的にもトップクラスで好きな作品です。
6編の物語が収められていますが、2話で1つの物語が出来上がるという変わった構成が面白い。
それぞれタイプの違った物語なので、いろんな森見さんの世界観が楽しめるという点でもかなり贅沢。
そういう意味では、森見さんの作品を読んだことがない方の「最初の一冊」にも良いかもしれません。
祇園祭宵山の一日を舞台に不思議な事件が交錯する。幻想と現実が入り乱れる森見ワールドの真骨頂、万華鏡のように多彩な連作短篇集。
10.『夜行』
この作品もまた『夜は短し〜』や『四畳半〜』とは違ったタイプの物語。言わば、『きつねのはなし』のような”陰”の森見作品。
大学の仲間の一人である長谷川さんが、鞍馬の火祭りの日に突然姿を消した。彼女はどこえ消えたのか。彼女を忘れられなかった仲間五人は、十年ぶりに京都へ舞い戻る。そこで出会ったのは「夜行」という絵。
そして彼らは、それぞれの話を、静かに、語り始める。
SFとホラーを程よくミックスさせたような世界観で、物語に漂うミステリアスな雰囲気がページをめくる手を加速させます。やはりどっちのタイプの森見さんも好きだなあ。
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『きつねのはなし』代表作すべてのエッセンスを昇華させた、森見ワールド最新作!旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。この十年、僕らは誰ひとり彼女を忘れられなかった。
おわりに
というわけで、森見登美彦さんの超おすすめ小説をご紹介させていただきました。
森見さんの作品は「京都」を舞台にしたものばかりなため、読むとめちゃめちゃ京都に行きたくなるんですよ。
学生の頃ホントに森見作品に影響されていて、「いつか京都に住もう」って本気で思っていました。しかも今回再読したせいでまたその想いが再発してしまいました。どうしましょ(ノω`*)
近々、京都一人旅でも行こうかなあ。
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コメント
コメント一覧 (6件)
またまた失礼します!こんばんは~。
「夜行」を電子書籍の無料おためしで読んだんですよ。続き気になってるから、やっぱり買おうな~。って思ったところです。
森見さんは、お名前や作品名は知っていますがきちんと読んだことがないんですよね。。
ありがとうございます、ちょっと読んでみようかと思います。
というか、ほんとに本を紹介する文章がうまいですね。ここのblogに紹介されると読みたい欲に負けます(笑)
こんばんは〜!
そうそう、『夜行』が無料おためしで読めるんですよね。いやーぜひ。続きが気になっちゃうなら読むしかないですよ〜笑。
森見さんは最初ちょっとクセのある文体に馴染めないかもしれないですけど、読んでいれば慣れてしまいますし、そんなの気にならないくらい物語に引き込まれてしまいます。面白いですよ〜。
嬉しいお言葉ありがとうございます!!ぜひ、読みたい欲に負けちゃってください笑(´∀`*)
いつも楽しく拝見しております。
私は四畳半の小津のような、森見さん作品のウザいけど憎めないキャラが大好きで、記事を読んで改めて作品を読み直そうと思いました!
先日電車で、本を読みながら笑いを噛み殺している女性がおり、何を読んでるか気になって仕方ありませんでした。笑
お時間がある時に、「クスっと笑ってしまう」作品特集なんかもやっていただけたら嬉しいです(^^)
これからも楽しみにしています!
30osさん!いつもありがとうございます(*゚∀゚)ノ
わかります。私の中で森見さんのメインキャラって「ちょっとアホな大学生」ってイメーがあって、でもそれがホントに良いんですよね。私も森見さんのキャラ大好きです。私も今回『夜行』をきっかけにいろいろ読み返したんですけど、やっぱり面白いんですよ。
電車でそういう場面たまにありますよね 笑。私も超気になっちゃうタイプです。笑いをこらえる側の経験も何回もありますし 笑。
「クスっと笑ってしまう」作品特集良いですねえ!楽しそうなのが書けそうです!ちょっとお時間かかるかもしれないですけど絶対書きますね!ありがとうございます(* >ω<)=3
恋文の技術と夜は短し歩けよ乙女を読みました!どちらもクスッと笑える場面が多くて面白かったです。個人的には恋文の技術に出てくる男性陣のアホさ加減が大好きです(笑)
さくらっころんおはようございます(´∀`*)
恋文の技術と夜は短し歩けよ乙女、良いですよね!
本当にニヤニヤしてしまうし、私も男性陣のアホさが大好きなんですよ 笑。森見さんの作品はやっぱりキャラのおバカさが好きです。
『太陽の塔』とかもアホっぷりがすごいですよ笑。