【百年シリーズ】森博嗣『女王の百年密室』は死の概念を覆す「森ミステリィ」の名作です

森博嗣さんの好きなシリーズ作品はたくさんありますが、その中でも「百年シリーズ」はかなり好きなほう。

私の好きなミステリー小説でありながら、ちょっと普通のミステリではないところがツボなのです。

「本格ミステリ」ではなく、まさに「森ミステリィ」といったところ。

「S&Mシリーズ」や「Vシリーズ」とはまた異なる、森博嗣さんならではの幻想的な世界観が繰り広げられています。

今回はそんな「百年シリーズ」の順番と、一作目『女王の百年密室』をご紹介させていただきますよ(* >ω<)=3

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森博嗣『女王の百年密室』

 

まずは登場人物。

主人公となるのはサエバ・ミチル。日本人。

そしてミチルのパートナー、「ウォーカロン」のロイディ。

ウォーカロンとは、人間と見分けがつかないくらい精巧に製造されたアンドロイドの事。会話も普通にできる。言われなければわからないほど見た目は人間。バッテリーで動く。

 

さて、そんな二人は三日もモノを口にせず、道なき草原を歩いていた。腹ペコである。頼りになるのはどこからか聞こえてくる音楽のみ。

すると、草原を抜けた坂の上で一人の老人マイカ・ジュクと出会う。

「宮殿に行くと良い。今夜は、女王が起きている」ジュクは話した。「夜通し、皆も起きているだろう」

「ああ、あの音楽ですね?」

「眠ることのない目が、街でウインクしている」

「え?」

P.35より引用

そんなジュクに導かれ、ミチルたちは不思議な宮殿へと案内される。

そこは外界から隔離された都市「ルナティック・シティ」だった。

その街の住人ユウイ・ナナヤクに話を聞くと、この街が造られたのは百年前とのこと。住んでいる人種も様々だ。この百年、街から出た人間もいないため、人口は増える一方だという。

その時点で少しおかしいのだが、さらにミチルは衝撃の事実を聞くことになる。

「でも、亡くなる方がいるわけでしょう?ここの平均寿命はどれくらいですか?気候が良いから、皆さん長生きなんでしょうね」

「平均寿命?」アジ・バウは首を傾げた。

「まだ、一人も死んでいません」ユウイ・ナナヤクは、そう答えてから、少し不思議だという表情を見せて、向かいに座っているアジ・バウを一瞥した。

P.64.65より引用

なんとこの街が作られて百年、一人の死者も出ていないのだという。

そんな馬鹿な。

不思議に思いながらも、ナナヤクに案内されたミチルは、この街の「女王」と会うことになる。

しかし、どう見ても二十代にしか見えないその「女王」は、今から五十二年前に生まれたのだという。

・・・この街は何かがおかしい。

「死」という概念の消失

というように、ルナティック・シティでは「人が死ぬ」ということがありません。

その仕掛けはあえて伏せおきますので、ぜひ本書をご覧になってください( ゚∀゚)

結構単純な仕掛けに見えて実は深く、外の世界から来たミチル(つまり私たちと同じ「死」に対する感覚)との意見の対立が非常に面白いです。

「死」とは一体何なのか。私たちが当たり前のように思ってきた概念が崩壊していきます。読み終わった後もしばらく考えてしまいましたね。

この時点で、この作品が普通の本格ミステリではないことはお分かりでしょう。

しかし、やはり殺人事件はおきます。

人が死ぬことのないこの街で。

「密室」とは。

タイトルが『女王の百年密室』ということでお察しの通り、この作品で起きるのは「密室殺人」です。

森博嗣さんといえば『すべてがFになる (講談社文庫)』で圧倒的な密室を見せてくれましたが、今回はまたタイプの全く違う密室です。特殊すぎます。

他のミステリ小説では絶対に体験することのできない、ルナティック・シティだからこその密室なのです。これをぜひ目にしていただきたい。

「やられた!」とかそういうレベルの衝撃トリックではなく、なんでしょう、「こんな密室はじめてだわ!」という感じ。意味わかりませんね。

ここらへんに関しては「本格ミステリー小説」としてではなく、あくまで「森ミステリィ」として楽しんで読みましょう。

続編もぜひ!

この百年シリーズは『女王の百年密室 GOD SAVE THE QUEEN (講談社文庫)』のその後、

第二作『迷宮百年の睡魔 (新潮文庫)』、

最終作『赤目姫の潮解 LADY SCARLET EYES AND HER DELIQUESCENCE (講談社文庫)』へと続きます。

全三部作です。

最終作に関しては、ミステリというより幻想小説といった感じ。好みは分かれてしまうと思われますが、『女王の百年密室』を面白いと感じたならぜひ読んでいただきたいですね。

で、さらにこの「百年シリーズ」の後に読んでいただきたいのが、『彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ)』で始まる「Wシリーズ」です。

「Wシリーズ」は「百年シリーズ」に登場するウォーカロンが存在する未来の世界を描いております。ぜひ「百年シリーズ」の後にお読みください。

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