『名探偵は推理しない』-ラノベだからできるちょっと特殊なミステリー小説が面白いんです

 

数ヶ月前にある事件に巻き込まれた以外平凡な生徒である理人は、『はんけん』(犯罪研究部)に所属するよう銀髪に赤い瞳の先輩・恋深から迫られる。

『はんけん』は『完全な犯罪』を追い求める恋深が部長をしており、日々凶悪犯罪の研究をしていた。

恋深にある秘密を見抜かれた理人は渋々ながら『はんけん』の手伝いをすることになる。

しかし、恋深が求めるような凶悪犯罪が学校で起こるわけもなく、事件を探しながら暇な日々を過ごす。

そんなある日、ミステリー研究会から、小説の後半部分を探してほしいという依頼が舞い込む。

前半部分しかない原稿には、いじめを受けていたような手記が綴られていた。

作者を探す内に、原稿は数ヶ月前に自殺した女性のものであることがわかるも、恋深は興味を見せず、簡単に残りの原稿を発見してしまう。

原稿の後半には、真実を覆すような恐ろしい事実が記載されていた。

それは数ヶ月前に世間を騒がせた『失踪SNS』と連動した事件へと発展していく。

平凡な理人と頭脳で『名探偵』である恋深は事件の後ろに隠された秘密へと近づいていく。

『名探偵』そのものに対するアンチテーゼ

 

ミステリー好きは、言い換えれば『名探偵好き』『完全犯罪好き』とも言えます。

「名探偵は推理しない」はそんなミステリー好きの根本を揺らすようなストーリー展開になっています。

名探偵と言われて思い浮かぶのは、観察力や推理力が高いこと!

その能力で難事件や、完全犯罪と呼ばれる事件をあっという間に解決してしまうことです。

しかし、これは作中でも触れているように「そういう事件」に遭遇しなければ発揮されない能力でもあります。

「その特殊体質とは、犯罪者と事件を引き寄せることさ」

(P.218)

理人が小さい時に出会った存在はこうも言っています。

「名探偵は、初めから犯人を知っているんだ」

(P.16)

この一文が物語の中でずっと根底に流れているのが面白い!

恋深はまさしく『名探偵』の素質があり、鋭い観察力と論理的な推理力を持っています。

彼女自身はこの力を「答えが見える」と表現します。

タイトル通り「名探偵は推理しない」で、答えを見つけているわけです。

ですが、論理的に破綻していることは少しもありません!

恋深の口から説明される推理はとても論理的で、わかりやすいものがほとんど。

推理しているはずなのに、推理していない。

この面白さが一番の見どころになっている作品です。

 

また、平凡な少年とされる理人にも秘密があります。

それは「痛みがわからない」というもの。

そのせいで他人に共感できず、またどんな事件でも冷静に受け止めてしまいます。

恋深と理人は正反対の人間として描かれているので、その対比も見ものの一つですよ!

矛盾に満ちたタイトルに惹かれる一冊!

ミステリーやサスペンスの楽しさは、トリックを暴くところや犯人の人間性に多くを依存します。

もちろん、犯人を追い詰めていく探偵の天才ぶりに魅了される人も多いですよね。

普段は偏屈だったり、変わり者扱いされている人が、事件に対すると途端に鮮やかな推理を見せたりすると、ワクワクしてしまいます。

古今東西に「名探偵」は山程存在します。

人は謎が大好きなので、謎を解いてくれる「名探偵」も好かれるのは自然の流れ。

謎があるところに「名探偵」は現れますが、逆に考えれば「名探偵」がいるところに「謎」があるようにも思えます。

ミステリー好きならば、一度は考えたことがあるテーマについて、この作品は独自の視点を持って答えてくれます。

「名探偵は推理しない」というタイトル通り、名探偵は推理しているのではなく、わかっている答えに向かって理論を組み立てているだけという考え方が面白い!

つまり、名探偵は「犯人がわかる」能力を持っている特殊な人間ということです。

この考えを軸にして、「完全犯罪」と「名探偵」が入り組むストーリーは息をつく暇もない展開を見せてくれます。

ラノベの個性的なキャラクターたちが、ミステリーを飽きさせることなく楽しませてくれるので、ミステリーやサスペンスが苦手な人にもおすすめできる一冊です。

最後にはヒロインのために、男の子が頑張る熱い展開も待っています(*´∀`*)

続きが気になり読みたくなる作品

ラノベとしても、ミステリーとしても楽しめる秀作に仕上がっています。

魅力的な登場人物が多く、これからの展開が気になる部分が多い終わり方です。

特にヒロインである恋深とその兄との関係がどうなっていくか見ものです。

またミステリーとしても、単純ではあるものの、読者が何度も考えを組み立て直す必要が出る場面が多くあります。

理人と一緒に恋深の言葉に振り回されながら推理するのも面白い体験かもしれません。

人はそれぞれ個性があり、それぞれに利点欠点があります。

この小説に出てくる登場人物たちは、自分自身という変えられないものに対して、葛藤したり抗ったり受け入れたりしています。

自分だったらどうするか考えながら読むのも面白いかもしれません。

全3巻でサクサクっと読めますのでお気軽にどうぞ(o´▽`)ノ

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