海外ミステリー小説

『マハラジャの葬列』- 豪華絢爛なインドの宮殿で起こる殺人事件

舞台は1920年、当時イギリスの支配下に置かれていたインド、サンバルプール。

この藩王国は小さいながらも世界でも有名な裕福な王が治めていました。

イギリス人である主人公のサミュエル・ウィンダムはインドで警部として働いていましたが、目の前でそのサンバルプールの国王が暗殺されてしまいます。

一年前の事件をきっかけにコンビを組むことになったインド人の優秀な刑事、スレンダーノット・バネルジーとともにカルカッタへ向かうウィンダム。

そこではこの世の贅沢の限りを尽くしたような宮殿が待っていました。

不慣れな土地で、誰も信用できない状況の中、ウィンダムとバネルジーのコンビは事件を解決へと導くことができるのでしょうか。

名コンビの活躍が再び見られる!

ウィンダムとバネルジーと言えば、前作「カルカッタの殺人」でタッグを組んだ名コンビです。

戦争の経験や妻を失った悲しみからアヘン中毒になってしまったウィンダムは、その傷を癒すべくイギリスからインドに赴任しました。

そこで起きた殺人事件を解決するために現れたのが現地の優秀な刑事、バネルジーです。

イギリス人とインド人という点もさることながら、支配する側と支配される側といったまったく立場の違う二人が協力し、学び合い、事件を解決へ導く様子は前作同様今作でもたっぷり楽しめます。

前作から一年の月日が経過しており、二人の仲もより気心の知れたものになりました。

だからこその言葉のやり取りにほほえましくなってしまうかもしれません。

今回は二人でサンバルプールという藩王国へ出向きます。

そこには豪勢の限りを尽くしたような宮殿が待っていました。

現代の日本では思いつかないほどのゴージャスな描写が続き、読んでいるだけでもウィンダムやバネルジーたちと同じようにドキドキ、ワクワクしてしまうことでしょう。

ですが初めて赴く土地では普段の常識はまったく通用しません。

登場人物が全員怪しく見えてしまいますが、二人と一緒に誰が犯人なのかを考えていきましょう。

インドの文化や宗教も学べる

今作は今より100年ほど前のインドが舞台です。

ミステリー小説やインドを舞台にした小説はたくさんありますが、100年前のインドの様子を鮮明に描きつつ、かつミステリー要素も楽しめる小説というのは非常に珍しいです。

前作「カルカッタの殺人」がデビュー作にして異例の大ヒットを記録し、続編となる今作も発表されるとすぐに日本語訳化されました。

イギリスの支配下でインドはどのような状態だったのか、支配される現地の人々の様子や、その中でも変わらずに守り続けてきた文化や信仰、歴史などを知ることもできます。

今回はとくに宗教の部分にスポットが当てられていました。

イギリス人が想像するキリスト教の神様と、インド人が古くから信じてきた神様は、姿かたちだけでなく人々にもたらすものも大きく違います。

ウィンダムという視点を通して、それらを私たちも新鮮に知ることができます。

一点残念な点があるとすれば、料理の描写が少ないという点。

インドと言えばスパイスをふんだんに使った料理で、現地の料理を食べるのを楽しみにインドに旅行をする方も多いくらいです。

ですが今作ではあまり料理は登場せず、してもさらっとした描写で終わってしまいます。

登場した料理が気になる方は、ぜひ調べてみてください(*’▽’*)

ミステリーとしても磨きがかかったシリーズ第二段

前作「カルカッタの殺人」でインドの歴史とミステリーを融合させたアビール・ムカジー氏による続編です。

デビュー作でもあった前作ではやや粗削りな点も見られましたが、今作ではより磨きがかかり、ミステリー小説としても上質なものに仕上がっています。

宮殿を出入りする人々やインドの警察に関連する人々など登場人物が多く誰もが怪しく見え、何度も繰り返される推理の内容も二転三転していきます。

インドの人ごみのような混乱の中、どのようにして二人が真実に辿り着くのかが見どころです。

バネルジーの明るさや有能さには、ウィンダムだけでなく読者も救われることでしょう。

ウィンダムも前作に比べると心の傷は癒えているようで、少し明るくなったように思えます。

今後二人の関係はどうなっていくのか、そして次にどんな事件が待ち受けているのかなど、読み終わったそばから次回作への期待が高まります。

第三弾はまだ日本語訳はされていないものの発表済みです。

国内で出版されるのを待ちつつ、ぜひ本作も手に取ってみてください!

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anpo39
年間300冊くらい読書する人です。主に小説全般、特にミステリー小説が大大大好きです。 ipadでイラストも書いています。ツイッター、Instagramフォローしてくれたら嬉しいです(*≧д≦)
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