ドイツの田舎村で起こった凄惨な事件。
それは闇夜に少女が連れ去られ次々と喰い殺されるという事件だった。
崖下には人狼の里が隠れているという伝説がある村で、一体何が起きているのだろうか・・・。
探偵・鳥籠使い一行は事件の舞台となった村を訪れる。
しかしそこの村人達は閉鎖的で訳ありの者ばかり。
人狼の関与が疑われる中、そこにはやがて探偵以外の組織も集い始めて・・・?
過去に関わりのあるものたちで三つ巴のバトルが勃発する。
やがて少女達が喰い殺される事件ととある過去の事件が繋がりを見せ、徐々に真相に近づいていく鳥籠使い一行。
犯人は人か?人狼か?それとも―?
怪物たちがぶつかり合い、凄惨な事件に隠された秘密が明らかとなる―!
連続殺人事件の犯人は人狼?
とある村で起きた連続殺人事件の謎を追ううちに、鳥籠使い一向は人狼の里へたどり着きました。
人間が住む村、人狼が住む村でそれぞれ起こる殺人事件にはどんな関係があるのか、犯人は人狼なのか、動悸やトリックは何なのか?次々に謎が浮かび上がってきます。
一つ一つの謎について丁寧に描写されており、謎解きも一緒に楽しめます。
わかってみると「そんなことか!」と思ってしまうようなシンプルな仕掛けから、異形たちが住む世界ならではの仕掛けまでさまざまなトリックが隠されているので、飽きずに最後まで読めるでしょう。
人間VS人狼だけでなく、夜宴、ロイズといったキャラクターも参加して繰り広げられるバトルシーンも要チェックです。
アクションは前作でもしっかり描かれていましたが、今作では短いながらも充実の読み応え。
ミステリーとアクション、さらにファンタジーのバランスが非常によく、3つの要素のレベルがそれぞれに高いのでいろいろなジャンルの小説をまとめて読んだような満足感を得られるでしょう。
ミステリー要素の増した内容に!
1作目の「アンデッドガール・マーダーファルス」では人ではない何者かによって引き起こされた殺人事件の謎を暴くという内容でした。
2作目の「「アンデッドガール・マーダーファルス2」では大怪盗から宝石を守るという内容でした。
1作目はミステリー要素、2作目はアクション要素が強い内容になっており、それぞれに中途半端ではなく徹底的に作りこまれた世界観に没頭できた方も多いでしょう。
ですがミステリー要素を期待しているファンからは、1作目の謎解きは簡単すぎる、2作目はミステリー要素がなくて不満、という声もありました。
そして3作目は前作、前々作よりもさらにミステリー要素が強まった内容にブラッシュアップされています。
登場人物のちょっとした言動が伏線になっていますので、隅から隅まで見落とさないようにしっかり読み込みましょう。
さらに「閉鎖的な田舎の村の風習」といった、横溝正史などの名作を彷彿とさせる舞台設定にワクワクした読者も多いはず。
連続殺人事件という恐ろしい事件を扱っていますがその謎解きは軽快で、読んでいて気持ちよくなることでしょう。
普通の推理小説では味わえない、異形たちが住む世界だからこその謎解きにも注目です。
ファン待望!5年ぶりのシリーズ第三弾!
「アンデッドガール・マーダーファルス3」は、前作「アンデッドガール・マーダーファルス2」からなんと5年ぶりの続編です。
作者の青崎有吾氏のファンの中でもとくに人気のこのシリーズの続編を待ち望んでいた声も非常に多かったです。
前作から5年が経過しているので、内容やキャラクター設定、世界観のおさらいのために1作目から再読するのもいいでしょう。
今作だけ読んでも十分に良質なファンタジー、ミステリーを楽しめますが、1作目を読むことでよりこの独特の世界に没入することができますよ。
シリーズの刊行の時間があくと、ファンとしてはどんどん最新作へのハードルが上がってしまいます。
次はどんなおもしろい話が読めるのだろう、前作を越えることはできないのではないか、というファンの予想を裏切るような、さらにパワーアップした内容になっています。
表紙や舞台設定からライトノベルのイメージを持たれることも多いこのシリーズですが、今作は500ページ近い重厚な内容になっています。本格的なミステリーを読みたい方にも満足していただけるでしょう。
まだまだ物語は続きそうな予感がする内容でしたので、今から読み始めても遅くありません。ぜひこの機会にお手に取ってみてください。


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