1899年、ロンドンはとある大ニュースに沸いていた。
なんでも怪盗アルセーヌ・ルパンが、フォッグ邸のダイヤを狙うという予告状を出したらしい。
そこで警備を依頼されたのは怪物専門の探偵『鳥篭使い』一行だった。
しかし相手はかの有名な怪盗アルセーヌ・ルパン。
警備の依頼は世界一の探偵シャーロック・ホームズにも任されていた。
さらには別の思惑を抱えたロイズ保険機構のエージェントまで動き出して・・・?
それぞれの思惑が入り乱れ混沌とする宝石争奪戦。
一体最後に笑うのは誰か?
ダイヤを求めてバトルアクションが繰り広げられる―!
鳥籠使い一向に大泥棒の犯行予告が届く!
「アンデッドガール・マーダーファルス」シリーズの第二弾は、殺人事件ではなく強盗事件がメインです。
怪物専門の探偵である輪堂鴉夜たちのもとに、とある邸宅から宝石を盗むという犯行予告が届きます。
その送り主はあの大怪盗、アルセーヌルパンでした。
勝負は鳥籠使い一向VSアルセーヌルパンになるかと思いきや、次々に宝石を狙うライバルたちが現れる……という、前作を越える衝撃のストーリーになっています。
登場人物が一気に多くなりますが、それぞれのキャラクターがしっかり魅力的に描かれているのでわからなくなるということもないでしょう。
物語の前半ではそれぞれのキャラクターたちが騙し合い、勘違いし、攻防を繰り広げます。
思い込みから生じる誤解もしっかり練られており、良質な舞台の脚本を読んでいるような気持ちにさせてくれます。
一方後半ではアクションシーンが続きます。前半でしっかりと描かれていたキャラクターの情報やそれぞれの狙い、立ち位置が、後半の激しいアクションシーンにも効いてきます。
その中でもさりげなく伏線が張り巡らされており、回収も鮮やかです。
本格的なミステリーを求めていると少し違った印象を持ってしまうかもしれませんが、この世界観が好きな方にはハマる作品です。
あのキャラクターたちのバトルが見られる!
吸血鬼や人狼などが人間と共存している中世の世界を描いた前作が気に入った方なら、今作はさらに楽しめるでしょう。
前作で活躍した鳥籠使い一向が事件解決のために奔走するだけでなく、さらにそこへシャーロックホームズとワトソン、ガニマール警部、さらにはオペラ座の怪人として知られるファントム、人切りジャックなど、舞台となっている中世ヨーロッパだけでなく世界中で有名な創作のキャラクターが大活躍します。
招待状が届いたフォッグ邸の宝石を守ることができるのか、宝石を手にするのは誰なのか、ハラハラしながら読み進められます。
前作はミステリー要素が強かったですが、続編となる今作はミステリー要素も取り入れつつアクションの描写が非常に多くなった印象です。
次に誰が活躍するのか、この状況をどうやって打破していくのか、気になって次々にページをめくってしまいます。
アクションの描写が秀逸で、次々にシーンが切り替わるので途中でダレることもなくスピード感を維持しながら最後まで読めるでしょう。
登場人物たちの軽快な掛け合いも健在です。ときにコミカルに、ときに真面目に、頭の中でキャラクターが実際にしゃべっているように感じられます。
読み応えのあるファンタジー小説をお探しの方へ
前作で異形たちが住む世界での探偵の活躍を描いた「アンデッドガール・マーダーファルス」が、さらにパワーアップしました。
作中では鳥籠使いたちの進むべき道も明確になります。今後どのような未来が鳥籠使いたちを待っているのか、読み終わったらすぐに続編を読みたくなってしまうでしょう。
作中にはオリジナルのキャラクターだけでなく大怪盗のルパンやオペラ座の怪人のファントムなども登場します。
ただ無意味に有名なキャラクターを出しているわけではないということも、読んでいるとすぐにわかるでしょう。
それぞれのキャラクターへのリスペクトを感じられるため、作中に登場するキャラクターのファンでも楽しみながら読めますよ。
主人公たちのライバルとなるキャラクターや一緒に戦うキャラクターが強い理由や特殊能力の説明も徹底されており、ファンタジーでありながら無理やり感のない展開です。
納得しながら読める、読み応えのある作品を選びたいという方はぜひチェックしてみてください。


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