先日14日に森晶麿さんの『M博士の比類なき実験』が発売しました!
今作は『COVERED M博士の島』を改題&文庫化したもの。
ひとことで言うと、孤島に佇む研究所で首なし死体の登場!ってわけです。
はい、大好物です。
この設定をやられちゃあ読まざるをえません。金欠に拍車がかかります。勘弁してください(ノω`*)
ま、仕方がない!早速どんな物語なのか見てみましょう!
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『M博士の比類なき実験』あらすじ
治験モニタのサイトで発見した「全身整形手術」の仕事。
元の姿に戻れないことを覚悟すること、瀬戸内海にあるO島で一年間滞在することが条件であり、報酬はなんと1000万円だと言います。
むしろ別人になって生まれ変われるのなら大歓迎だ、と感じていたアキラはすぐに仕事に応募し、見事に合格しました。
島へと向かう船の中、面接をしたサトルという男性からいろいろ話を聞くアキラ。
M博士の研究所があるO島にはむかし「鬼」がいたという噂があって誰も寄り付かなかったよう。でも博士は「究極のものを創り出すのに孤絶した環境がいる!」なんて言っていて、その島を丸ごと買い取ったというのです。
天才というものは、やはり変わった思考の持ち主のようで。
さて、無事にM博士の研究所に案内されたアキラは、そこで同じ治験者のアヤとミチ、看護師のカンナ、M博士本人と、博士の婚約者レイコと出会います(あとは面接をしたサトル)。
これで登場人物は揃いました。
このように、登場人物が少ないのもありがたいポイントですね。読みやすい!
そして死体となったのは。
「君が受けるのは全身を美しくする手術だ。これから十日の間に、三回に分けて少しずつ行なっていく」
P.39より
と博士に言われるがまま、無事に手術を終えて別人へと生まれ変わったアキラ。
ですが、すぐに自分の姿を確認することができません。
「この部屋には鏡はないんでしょうか?」
「反射性のものは、一階にも二階にもないわ。美容整形手術を受けた後で、あまりの容姿の変貌に精神的混乱に陥る人がいるらしいの。窓がないのもそのためよ。だから、あくまで顔をチェックするのはM博士がいるときに限られるというわけ」
P.81より
鏡のような反射性のものがない。窓もない。自分の姿を確認することができない。
明らかに重要な伏線のようですね!!それがどうなるかはお楽しみ。
で、アキラが手術を終えたあと、お待ちかねの首なし死体が発見されます。
なんと、M博士の。
いやいや!あなたが死ぬのかい!と思いました。
しかも外線番号は博士しか知らないので、こちらから外部に連絡することはできない。
研究所のドアはセキュリティが厳重であり、博士しか解くことができない。
という見事なクローズドサークルの完成です。面白くなってきましたねえ( ゚∀゚)
究極の「美」とは
殺人はこれだけでは終わりませんが、あらすじをご紹介できるのはここまで。すいません。
「全身整形手術」をするという前提のお話なので、ミステリー小説をお好きな方ならなんとなくトリックがお分かりになるのではないでしょうか。
私は半分正解で半分ハズレという感じでした。
しかし「途中で犯人もトリックも分かっちゃったよ!」となってしまってもご安心ください。
この作品、フーダニット(犯人は誰?)よりホワイダニット(なぜそんなことをしたか)を楽しむものなんですよ。
凡人の私では想像もできないような考えに直面する、というのは小説の一つの楽しみでして、今作では「人間の美しさ」についてM博士の恐るべき思考が堪能できます。ぶっ飛んでいますけど、この狂った考えが面白いんですよねえ。
このホワイダニットは間違いなく予想できるものではないので、頭を悩ませずにただ圧倒されましょう。
さらに、終盤の展開とオチもなかなか好み。ストーリー性に関しても十分に楽しませていただきました。
ああ、そういう着地点なんですねえ。。(゚m゚*)
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