堂シリーズ第6弾『鏡面堂の殺人』-クライマックスを迎えさらに面白くなるその先に。

さて、堂シリーズ第6弾の『鏡面堂の殺人』です。

とうとうここまで来ましたね。

全7作品をもって完結する予定との事ですので、最終作の一歩手前、まさにクライマックスと言ったところです。

毎回予想を裏切られる展開に一体どうなってしまうんだと気になって仕方がない堂シリーズ、早速読んでみましょう!

 

『鏡面堂の殺人』簡単なあらすじ

最愛の兄を事件で失った百合子。

彼女の元に、善知鳥神から電話が掛かってくる。

それは異形の建築家・沼四郎が手掛けた初めての館、鏡面堂に来いという内容のものだった。

鏡面堂は百合子にとって因縁深いY市の森林公園に存在する建物だった。

今まで事件が起きたすべての館のルーツたる建物を訪れた百合子に、善知鳥神からある手記が手渡される。

そこには、かつてここで起きたふたつの惨劇が記されていた。

26年前に起こった殺人事件を鏡面堂の管理人が克明に残した事件の解決を迫られる百合子。

消灯すると真っ暗な闇に閉ざされる鏡面堂で起きた密室殺人と消えた凶器。

沼四郎により館に張り巡らされた罠と数多く残された謎。

手記を読み終えた時、百合子は最後の事件に繋がる謎へと迫ることになる。

原点の鏡面堂での殺人は最後の事件へとつながっていく。

現在と過去を往復しながら謎へと迫っていく!

『堂』シリーズ6作品目の傑作です。

このシリーズは、毎回、奇妙な建築物を舞台に殺人事件が起き、それを解決していきます。

物語の根底には殺人事件以外に、大きな謎がシリーズを通して流れています。

少しずつ明らかになる人物関係や謎にワクワクすること間違い無しの作品です。

そして特徴的なのが、シリーズ作品にも関わらず、この作品から読み始めても楽しめるということ。

シリーズにありがちな、前の話を読んでいないと分からない、ということがありません。

確かに、人物関係や今までの事件の関連を仄めかす部分は多くあります。

でもその全てが初見の人でも無理なく理解できるようにしてあるのが、作者である周木先生の腕を感じることができます。

知らない部分がでてきても、興ざめするのではなく「どうなるの?」とワクワクすることができる展開です。

もちろん、今までシリーズを読んできた人ならばニヤリとしてしまうこと確定です。

魅力的なキャラクターたちが無駄なこと無く、話を魅力的にしてくれていますよ!

『……それが、運命なんだもの』

(文庫P44)

こんなことを堂々とキャラクターが言い出すのも面白さの一つでしょう。

この『堂』シリーズでは、奇妙な建物で起こる事件の推理と、もう一つ根底に流れる大きな物語を楽しむことができます。

推理モノという非常に論理的な物語を描きながら、「運命」や「宿命」と言った非論理的なものも話に巻き込んでいます。

2つが両立しているのが、このシリーズの面白さを引き立てています。

ミステリーでありながら、エンタメ性も豊富に含んだ痛快な小説

初めて読み終えたときの感想は「間違いなく面白い!」です。

ここに来ても堂シリーズはやってくれましたね。

普通の推理小説とは一味違うなと感じたのは、推理小説では初めに否定される「運命」「宿命」という単語がよく出てくるところです。

こういう単語が飛び交っていると、推理自体も胡散臭く感じてしまいそうなもの。

それを周木先生は、話を面白くするためだけの味付けとして上手に使っています。

キャラクターの名前に堂々と「神」とつけるのも異色ですが、それ以外に、もう1人「神」とされるキャラクターがいます。

つまり、このシリーズでは神様が二人いるわけです。それなのにファンタジーじゃなくて、推理小説。

しかも、中身は数学の定理が飛び交うような理詰めのお話ばかりです。

『……そのエレガントな解は選ばれなかった』

(文庫P440)

上のような数学の印象を強める会話が散りばめられています。

実際数学の定理や法則の話も多く登場します。推理というものが非常に論理的なものであるのを考えれば、それも当然なのかもしれません。

飛び交う単語は、高校数学の時点でチンプンカンプンな所が多かった私にはついていけない部分もあります。

そんな難解な内容でも、問題なく楽しむことができるのは、ストーリーの面白さ、キャラクターの魅力が合わさったためです。

数学に苦手意識がある人でも楽しめるので、ぜひ、読んでみてください。

この一冊からでも始められる名作

ここまで読んでしまっては、もう最後まで読むしかない堂シリーズ。

推理小説に苦手意識を持っているような人でも、あっという間に物語の世界に引き込まれてしまうでしょう。

個人的な印象としては、アニメ化しても人気が出そうなシリーズです。

推理も推理以外もエンタメ性に富んでいる部分がたっぷりあります。

これ一冊だけでも、あっという間に読み終えてしまう面白さがありますが、既刊を読んでいると更に面白くなることは疑いようがありません!

今回のお話の主人公は百合子ですが、他の作品ではまた違う主人公視点になっています。

くるくる主人公を変えながら大きな物語が進んでいく。

その面白さも感じられるシリーズです。

ああ、2月に発売するという最終巻までワクワクが止まりません!

最終巻発売の前に一気に読んでしまいましょう!

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