『教会堂の殺人』-堂シリーズ第五弾は「罠」に溢れた仕掛けだらけの殺人ゲーム

堂シリーズ第5弾『教会堂の殺人』が先日文庫化されました。

このシリーズ、巻が進むごとにまさかの展開で楽しませてくれるのですが、今回ばかりはかなりダメージを受けて瀕死状態。

最初の頃のような「古き良き本格ミステリ」とは全く別の仕上がりになっています。

正直1作目の『眼球堂の殺人』のようないかにもな館モノの方が好みですが、今作『教会堂の殺人』も堂シリーズ好きにとってはかなり衝撃的な一作となりました。

 

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周木律『教会堂の殺人』

溺死体で発見された大学教授の小角田雄一郎。

彼は失踪の直前「教会堂」と呼ばれる建物に行っていたらしい。

 

そんな情報を得た刑事・船生は、1人で教会堂へと向かった。

かつて関わった双孔堂や、伽藍堂、「堂」と名のつく舞台には怪しい雰囲気しかない。

 

そしてたどり着いた教会堂。

小角田はここにやってきた後に死んだ。

この教会堂にはどんな秘密が隠されているのか。

教会堂の守り人だという人物は言う。

「この場所では、人は常に賭けに挑まなければならないのだ。なぜならば、真理を得る権利と、そのために果たすべき義務とは、表裏一体のものとなっているのだからね」

「賭け、って……意味がわかりませんよ、そんな、ゲームみたいな」

「そう、ゲームだ」

言葉尻を捉え、男が一歩前に出た。

「まさにこれは、不可避の均衡の上に成り立つ『ゲーム』なのだよ」

P.63より

 

宮司司の元に、刑事・毒島から一通のメールが届いた。

ある連続不審死事件についてだ。

1人は溺死、1人は焼死であり、この一連の事件には何か怪しいものを感じる、という内容だ。

共通するのは「教会堂」と言う建物。

この建物に船生刑事が向かっていると言うので、後を追って自分も向かうという。

もし自分に何かあれば、この事件の受け継いでほしい、と。

 

司は考える。自分も教会堂に向かうべきか。

館VS人間?!

『教会堂』を訪れた人間が次々と消息を絶っていく今作。

シリーズではおなじみの船生が、毒島が、司が、そして善知鳥神、百合子までが教会堂の扉を開けていく……。

まったく、奇妙な建物だった。だがその奇妙さこそが、司の記憶を呼び起こす。

ここはーーとてもよく似ている。

その周囲にそぐわない唐突な質感は、双孔堂に。

山間に仕掛けられた罠の如きたたずまいは、五覚堂に。

全体から発せられる禍々しさは、伽藍堂に。

似ているーーそして。

この建物の名前は、教会堂。

やはりーーそういうことなのだろう。

P.158より

今回はミステリらしい犯人VS探偵みたいのではなくて、映画の『SAW』シリーズや『CUBE』のような「人間の心理」と建築物との命がけゲーム、って感じでした。

まさにタイトル通り「教会堂の殺人」というわけです。

ミステリ的な要素はほぼありませんが、スリラー小説としては面白かったですね。それこそ映画を見ているようにハラハラしました。

堂シリーズではほとんど毎回のことですが、この先シリーズがどうなって行くのか気になって仕方ない展開で終わりを迎えます。

堂シリーズ好きとしてはかなりショッキングな終焉で心が崩壊しそうになりました。

どうしてこんな展開にしてしまったんだ!周木律さん!

一作目を読んだ時ままさかこんな事になるとは思ってもいなかったです。

あと2巻で堂シリーズは終わってしまうそうですが、一体どう収束させていくのか……。

 

一つ言えることは、シリーズを順番に読んでいないと楽しめない、ということですね。

これまでのシリーズを読んでいるからこその衝撃があるわけで、いきなり『教会堂の殺人』から読んではいけません。

その分、シリーズを好きな人にとってはものすごい衝撃を受けるので覚悟をしておきましょう。

もうここまで読んでしまっては後戻りはできません。

最終巻までよろしくお願いいたします。

できれば一周回って、また古き良き本格ミステリに戻ってきたら嬉しいなあ。

文庫版あとがきでは、年内に続編が刊行できるであろうということ、その続編、つまり最終巻も程なくして出せる見込みがある、と述べているので期待したいところです。

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4 Comments

ヨウタイガ

堂シリーズ、そして周木さんの作品はまだ読んだことがありません。でも、あらすじを見る限り、すごく興味が湧きますねー。今作はシリーズの中でも大きな動きがあったようですが、いずれ眼球堂から読み進めて見たいです!

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anpo39 anpo39

おお!それならばぜひ読んでみてください!
眼球堂は古き良き本格館モノでとても楽しい作品です!
そしてシリーズを追うごとにまさかの展開になっていき、ほんとこの先どうなってしまうのか。。。

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アラシナオヤ

いとえげつなし。いやあ、ショッキングという言葉が一番ふさわしいかな。館の存在、そして十和田のこれからの動向や物語がどう収束していくのか、興味が尽きません。続編はすぐさま買って読みます。次の堂は一体どんなもんじゃろな、奇抜なミステリでも古式ゆかしい本格ミステリでもなんでもこいやぁ!

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anpo39 anpo39

まさに、いとえげつなし、ですよね。この展開はショッキングすぎますよ……。
コレほど次の展開を気にさせるシリーズも滅多にありませんからね。
私も続編出たら速攻で読んでしまうでしょう。
昔懐かしき本格に戻ってきたら歓喜です。でもそれ以外でも良いです。とにかく、どんな終わり方を迎えるのか気になって仕方ありません!(*´ω`)

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