昨日2016/08/31、久住四季(くずみしき)さんの『星読島に星は流れた』が文庫が発売になりました!
単行本発刊の時から気にはなっていたんですが、なかなか読むタイミングがなくて後回しに、、、
しかし今回文庫化を記念に「やっと読む時がきた!」と思って購入しました。
表紙のイラストは綺麗だし、タイトルも美しい。
さらに帯には「米澤穂信氏称賛」と書いてありますからね。これは読んでみたくなるというものです(●>ω<)っ
久住四季『 星読島に星は流れた』
では、あらすじを簡単に。
主人公は加藤盤(かとうばん)、35歳。アメリカのとある小さな町で家庭訪問医として働いています。
そんないつも通りのある日のこと、盤に一通のメールが届く。
それは、以前応募した「セントグレース島での集い」の抽選に見事選ばれたという知らせでした。
セントグレース島。
そこは数年に一度隕石が落ちると言われている奇跡の島。
そんな島に建つ天体観測所「星読館」に住んでいるサラ・ディライト・ローウェル博士は、毎年参加者を募集して島に隕石が落ちてくるのを待つ「集い」を開いているとのこと。
しかも見事隕石が落ちてきた時は、参加者の一人に隕石をタダで譲るというのです!
そんなわけで毎回多数の応募がある中、盤は見事「集い」に選ばれました。
続々登場する個性的なキャラたち
一瞬迷ったものの、すぐにセントグレース島へ行くと決めた盤。
そこで盤は様々な個性的な人たちと出会います。
案内役のNASA職員、エリス・バーナード。
「集い」の主催者、車椅子に乗ったサラ・ディライト・ローウェル博士。
盤と同じ「集い」の当選者、
大学生の美宇・シュライナー。
隕石回収屋のコール・マッカーシー。
アクティブニートのデイヴ。
メガネをかけた美青年、アレク。
陰気な雰囲気の女性、サレナ。
隕石が落ちてくるのを待つ、というなんともロマンチックな「集い」。
しかし、そんな美しい「セントグレース島」で殺人事件は起きてしまいます。
抜群に読みやすいライトノベルミステリー!

数年に一度隕石が落ちてくる島。
そんな島の天体観測所で暮らす女博士。
集められた参加者たち。
そして起きる殺人事件。
見事なまでに本格らしいクローズドサークルミステリですね。この定番な感じ大好きですよ!
しかしこんなに本格な舞台での殺人事件なのに、おどろおどろしさが全くありません。とっても気軽に読んでいただけます。
それは著者の久住四季さんがライトノベルを多く書かれている作家さんだからでしょう。
この作品は本格ミステリーの要素と、ライトノベルの良いところ(文章の読みやすさ、テンポの良さ、個性的なキャラクター設定、ストーリー自体の面白さ、などなど)を丁度よく融合させた感じですね。
本当にサクサク読めます。
「面白いミステリーを読みたいけど、小説とか読むの苦手なんだよな〜」という方にピッタリかと思いますよ!(●´U`●)ノ
それにしても「孤島」「博士」「殺人事件」聞くと、どうしても森博嗣さんの『すべてがFになる』を思い出すのは私だけでしょうか。
ああ、真賀田四季に会いたい、、、(´ω`●)
読ませる物語と気持ちの良い終わり

いわゆるガチガチの「本格ミステリー」を読もうと思って読むと、また違うんですが、それはそれで面白くて。
ミステリーとしてはライトなんですけど、とにかく物語そのものが魅力的でグイグイ読ませてくれます。本格ミステリというより一つの小説としてしっかり楽しませてくれる作品でした。
キャラクターもきちんと立っていて(特にデイヴが好き)、本格ミステリにありがちな「この人誰だっけ?」みたいなことが全くありません。コレ、大事ですよね。
ミステリに関しても、一つのトリックをこれでもかと丁寧に紐解いていく様は「ああ、優しいなあ」と感じました。普段ミステリー小説を読まない方でも問題なく楽しめるでしょう。
ストーリー展開もこれまた丁寧なので、ごちゃごちゃすることもなく最後までスーッと読めるのも良いです。そして終わり方もまた、良し。
ミステリー小説を読みたいけどなんか難しそうだな、という方はぜひこの作品を読んでみてはいかがでしょうか(*´艸`)