今回は先日2016/10/25に文庫化された、倉狩聡さんの『いぬの日』のあらすじ感想などを。
この『いぬの日』は、単行本で『今日はいぬの日』というタイトルだったものが改名されたものとなります。
で、倉狩聡さんといえば第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作の『かにみそ』という作品が有名です。
この『かにみそ』も非常に面白い作品ですので、お時間があればぜひ読んでいただきたいですね〜。
というわけで、今回はそんな倉狩聡さんの『かにみそ』をしのぐ問題作とも言われる『いぬの日』をご紹介です(●´ω`)ノ

倉狩聡『いぬの日』
可愛らしい表紙絵とは裏腹に、テーマは重く残酷な物語となっています。
まず前半では、とある家族で飼われている「ヒメ」という犬の目線で物語が進められていきます。
飼われ始めの頃はみんな優しくしてくれたのに、今となっては邪魔者扱い。ご飯もろくにくれません。
そんな家族に対して、人間に対して恨みを募らせていくヒメ。
そんなヒメはある行動に出る・・・。
そして後半では、動物管理センターに勤める小高という人物の視点で進められていきます。
ここは、人間の勝手で死ななくてはいけない動物たちが集まる場所。
いろんな想いを抱えつつも、その最期まではどうか快適に過ごしてほしいと願う小高。
そんな中、最近では謎の連続殺人事件が話題となっている。
死体にはいずれも無数の噛み傷があるとのことだが・・。
わたしの名前はヒメ。家族はわたしを「犬」と言う。でも「犬」って何?飼い主一家に愛されず、孤独に日々を過ごすスピッツ犬のヒメ。流星群の夜、不思議な石を舐めて驚く程の知能と人の言葉を得た彼女は、一家の末っ子、雅史を支配下に置いて…。
犬たちの復讐が今始まる!
今作がどんな作品か簡単にまとめると、
自分勝手な人間たちに苦しめられてきた犬たちが人間たちに復讐する、
という物語です。
無責任な理由で犬を邪険に扱う人間たち。
結局人間は、自分たち「犬」という存在を下に見ている。
怒りを募らせた犬たちは「ヒメ」を筆頭に人間たちを襲い始めます。
特に後半からはスピードが上がり次々に展開が進んでいきますので、ノンストップで読み切ることができます。
「犬が人間を襲う?!しかも殺しちゃうの?!怖い!(●´・д・」
って思うかもしれませんが、考えてみれば犬が怒り、人間を襲い始めるのも納得してしまうのです。
いや怖いんですよ?怖いんですけど、確かに人間だって無責任すぎるじゃないですか。
飼えなくなったからハイ処分、って。悲しすぎます。
そして、とても考えさせられる。
あらすじだけ見ると「犬に襲われる恐怖を描いた物語」ってなるんですけど、今作はそんな単純な作品ではないんですよ。
とにかく、生き物を飼うとはどういうことか、というのをものすごく考えさせられるんです。
私は現在、犬ではなく猫を4匹飼っているんですけど、今作を読んで「もっと愛してあげよう」と強く思いました。
もちろん今も愛しているんですけど、たまにご飯あげるのめんどくさいなあとか、ニャーニャーうるさいなあ、とか思っちゃったりする時がたまにあるんですよ。
ホント、いけませんよね。
飼うのを決めたのは人間の方だし、こちらもいつも癒してもらってるし。心を込めて共に生きてかないと。
いま私メッチャ心がしんみりしているんですけど、この『いぬの日』を読んだ直後だからです。
今こうしているうちにも犬や猫たちが人間の勝手で処分されているのか、と考えるとテンションがだだ下がりです。
本当にどうにかできないものでしょうか・・・。辛い。。。
「めっちゃテンション下がってるやん!元気だしなよ!(●´∀`)φ」
と思うかもしれませんが、この作品を読めばあなたもきっとこうなります。
特に生き物を飼っている方ならより心に刺さるはずです。
おわりに。
悲しい気持ちになり、テンションが下がったため今回はここまで。
今回は倉狩聡さんの『いぬの日』をご紹介させていただきました。
生き物を飼っている方、もしくはこれからペットを飼おうかと思っている方、そんな方はぜひ読んでみてください。
そして、飼われる生き物たちのことをしっかり考えていただけたらいいな、と思います。
もはやホラー作品の読後感ではないですよ。。
ヒメ・・・・。

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